僕より若い(25歳くらい)職場の同僚Aと、他の同僚の人物評をおもしろおかしくしていたとき、
じゃあ自分はどうか、という話になった。
Aは
「おれは何でも偏りなく、バランスを大事にしているつもりです」
と話していた。
要するに、明る過ぎず暗過ぎず、真面目過ぎずふざけ過ぎず、
何でもそこそこな自分でいるようにしている、ということらしい。
それを聞いて僕は、10代の頃を自分を思い出した。
僕も、かなり長い間、「バランスの取れた」人間を目指していた時期があった。
そして、それは、バランスを取ろうとして取れず、苦しんだ時期でもあった。
今思えば、バランスを取ろうなど、笑止なことだったのだ。
(Aが言う「バランス」と僕の考えていた「バランス」は、別のものだろうと思うから、Aが間違いだ とは思わないし、Aをバカにするつもりはない)
そもそも、バランスって何ぞや?
僕の考えていたバランスとは、結局
「何でもそこそこできる」
「何でもそこそこ分かる」
ということだった。
何という傲慢さ。
人間一人の能力など高が知れているのにに、何でもできるなど……。
若さ故の過ちか。
今思い返してみれば、僕はただ、
「何かの立場に立つ」
ということを恐れていただけだったのだ。
バランスを取る、などと格好いいことを抜かしながら、本当は、
自分という人間が何を考えているか、を明確にする勇気がなかっただけ。
早い話が、自分に自信がなかったのだ。
僕は自分に自信がないことを(自分自身からさえも)隠して、他人の考えにケチを付け、
軽蔑することで自分を保っていた。
イタイ。
壮絶にイタイ奴だ。
そりゃ友達少なくなるわ。
今は、そんな思いからは全く解放されて、幾分かはマシな人間になったと思う。
人間は偏ってて当たり前。
そう思えるようになったら、他人も自分も受け入れられるようになった。
少しは、大人になれたようです。
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