コミュニケーション。
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前回の日記の続き。>>6/11 不幸の顔してやってくるもの。
産休中のことは約束してもらえたものの、 旦那の機嫌は最悪までいき、 だんだんと元に戻っていく間、 嫌味をたくさん言われた。
ネチネチはしてないし、 怒りの本当の原因は私の両親にあるから、 私がいるのを疎ましがりもしないんだけど、
「可愛くなったと思ってたのに」とか、
「絶対美脚になれよ」とか。
きちんと謝ったりもしてみたけど、 それは止まなかった。
原因は違うところでも、 私の信用が失われてしまったのはよくわかった。
大元は旦那の口座でも、 私の給料は私の財布、という考え方でいると思ってたから、 最悪まで怒らすことはないかな、と思っていたけど、 そういう問題ではないのだ。
口では、俺が払うなんてお門違いだ、と言うし、 勿論その思いもあるだろうけれど、 何も問題がないと思っていた私に実はあった、 ということが怒りを呼ぶのだ。
自分にいくらいくらの損害があるから、というだけでなく、 何で今まで言わなかった、 何でお前の親は金に対して考えが甘いんだ、 何でお前もそうなんだ、信じられない、 という部分が、一番占めているんじゃないかと思う。
実際そう聞いたわけじゃないんだけど、 私だったらそう思うからだ。 自分が払わなくてよくても、 信用していた人に実は借金があって、と聞いたら、 理由はどうあれ、とりあえず怒ってしまうだろう、と思った。
そこまで考えて、自分が甘かったのを理解した。 優ちゃんは、私のこの甘さを怒ってる。 それが全部じゃなくても、確実に怒ってる。
一緒の布団に入って、じっとしても、 絶対に眠れないのはわかっていた。 私、これからどうしようって、涙が溢れてきた。
優ちゃんの機嫌はそのうち直るだろうけれど、 もう、前みたいに、 何の憂いもなく愛されることはないかもしれない。 万が一そうしてくれても、私が、信じられないかもしれない。 これから生活を共にするのに、 ずっとしこりが残るかもしれない。
優ちゃんが眠らないうちに布団を抜け出すと、 いつも優ちゃんは迎えにくる。 明日も仕事だしな、と思ったけど、 私のことが、やっぱり少しは疎ましいだろうから、 今日は来ないだろう、と思って抜け出した。
窓を開けると、夜のひやりとした空気が流れ込む。 私の人生で、 こういう泣き方はもうしないと思っていたのに。
昔は、寺島と私と、悪いのは半々だった。 例えば、原因は私でも、寺島が向き合わずに話が進まない、とか。
でも今回は、完全に私が悪くって、 優ちゃんはきちんと向き合ったうえで怒ってて、 私もきちんと信頼を回復させるために動かなきゃいけなくて、 そして優ちゃんと私には、確実に未来がやってくる。
どうしたらいい、と泣くなんて嫌だったけど、 泣くのはこの子によくない、って思ったんだけど、 涙が止まらないのが余計に辛かった。
優ちゃんとの間では、お金だけがタブーだ。 お金のトラブルを優ちゃんは何より嫌う。 お金にだらしないのも嫌う。 他のことならまだしも、何故この問題に対して、 もっと慎重にならなかったのだろう。
後悔しても仕方ない、ではこれからはどうしようか、 最大のタブーで失った信用は、 どうすれば取り戻せるというのか。
まったく見当がつかなかった。 不安だけが残って、嫌だった。
今夜眠れるかな、と思ったとき、 寝室のガラス戸を開ける音がして、 優ちゃんが迎えにきた。
「寝ないと、子どもに悪いだろ」
それは、確かだ。
「俺も寝れないから」
確かだけど、放っておいてはくれないの? そんな風に思う一方で、 勝手にスネてりゃいいんだ、と寝てしまう人じゃなくて、嬉しい、と思った。
寝れないのは、優しいからだって知ってる。 本当に、私には勿体無いくらいの人だと思う。
そして今日、優ちゃんの機嫌は、ほぼ直っていた。 支払いや、復帰のことも、冷静に話せるようになった。
いつものように、私を褒めたりはしない。 もし褒めてくれても、私も笑えないだろうとは思っていた。 これから、どうやって笑えばいいだろう、と思った。 優ちゃんが笑ったとき合わせるくらいかな、とか。
いつまでもメソメソはしていられない。 でもいつものように笑って、ヘラヘラしているとも思われたくない。 何事もない顔をしていた。
優ちゃんは、プリントアウトされた書類をとりにきたとき、 私の腕に腕を寄せていた。 どうしたの、と聞いたら、何か言いたげな顔で、 更に腕をすり寄せていた。
私への怒りは、少しずつ溶けてきてはいるのだろう。 褒め言葉も、少しずつは戻ってくるだろう。 でもそんな、受身の姿勢じゃなくて、 能動的には、信頼は取り戻せないだろうか。
そう思うとまだ涙は出てくるけど、 やっぱり、泣き続けてはいられない。
私の頭ってのは本当単純なの。くすん。
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