綿霧岩
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きっと物語というのは、食べ物とかセックスと同じくらい、人にとって生々しく必要なものなんだと思う。
去年私は常に何かの舞台の本番前で、毎日何かの物語を自分の中に入れていた。 そしてその時はちょっと別の小説を読もうとか、映画を見たいとか、微塵も思わない。 逆に読んであげるとか見せてあげるよと言われても、ちょっとお腹いっぱいなのでいらないです、という気分なのだった。
それが今、舞台の予定が無いとなった途端に、私は連日物語を欲している。 小説を読んだり、DVDを借りてみたり、貪るように物語を楽しむ自分がいる。 誰もがそうなのかどうかはわからないが、私は少なくともそういう人間なのだと知った。 おいしい物語を私は求める。
試しに自分でも自分専用のおいしい物語が作れたらいいなと思って、なんとなく思いを馳せてみた。
私の知らなかった場所があった。 そこにはまだ何もなかったけれどそこは私の行ったことのない場所だった。 それは気持ちが良くて面白い体験だった。 そうか、物語を作る人は、こんな場所を行ったり来たりしているのかと思った。 いや他の人のことはよくわからないけど。 集中が続かなくてそれ以上のことは起こらなかった。 でも面白かった。
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