 半ば意識を失いつ下車をしたのは品川でした 黒地に桔梗のドレスを纏い 青ざめた顔で結婚式を挙げたその男は つい先だって誰もいないエレベーターの中にて私を抱いたことを 忘れてはいなかったのでしょう、眼を合わそうともしませんでしたから お慰みか。と思い 惨めな思いで受け取ったブーケは皮肉にもガーベラ 奇しくも品川。デジャヴに殺されたく。 発狂して叫ぶカソリック目黒教会 腕を這う蟻をぶちと音を立て潰し 服薬。更に飲酒。 風は飽くまで強く こんなに血まみれでやさしくなどなれない あのほぼ他人同士のふたりを正しくセックスしてよいと許可したという 神様、そこにいるのなら もうどうでもいいからはやくらくにしてください 苦しい
それでもガーベラを風にかざして私は笑ってみた 髄が溶けている割には上手く笑えたような気がした
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