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2007年07月27日(金) 夕食のおかずの品数問題

住所、氏名を登録して利用している会員制の掲示板で、三十代の主婦のこんな投稿を読んだ。
「朝食の献立をごはんと味噌汁にしたら、夫が『味噌汁だけでメシが食えるか!』とぶち切れ、食べずに出かけてしまいました。味噌汁にはじゃがいもとにんじんが入っているのに、です。以前夕食にごはんと豚汁を出したときもおかずはないのかと激怒しましたが、私は夫の考えが理解できません。具の入った味噌汁は立派なおかずではないでしょうか」

「一汁○菜」というくらいだから味噌汁はおかず(菜)にはカウントされないと思います、というレスがいくつかついていたが、私はそれがおかずに含まれるか否かという問題より、「ごはん+汁物」という献立のなにが不満なのかわからないというこの女性の感覚をへええ!と思った。
私は主食がごはんでもパンでも汁物がほしいタイプなので、たいてい味噌汁やスープを作る。それこそ「飲む」より「食べる」と言うのがふさわしいくらい具だくさんにするのだけれど、しかし「だから、これとごはんでオッケーだろう」とは思ったことがなかった。自分ひとりの朝食ならそれだけで済ませることもできなくはないが、誰かのための食事としてはちょっと考えられない。
中村うさぎさんが初めて元夫の実家に行ったとき、姑に「朝食はごはんと味噌汁だけ、おかずは一切なし」という嫌がらせをされたという話をエッセイに書いていたが、テーブルにごはんと汁物だけを並べられて「はい、どうぞ」と言われたら、やはり大方の人はあ然とするのではないだろうか。
どんなに質素な食卓でも卵か納豆、せめて海苔、漬け物くらいはいるよなあ……。

立て続けにもうひとつ、別の掲示板(発言小町)でも「その献立では気の毒だわよ」と投稿者のご主人に同情してしまう書き込みを読んだ。
夕食のおかずを「ブロッコリーの明太子マヨネーズ和え」「ナスの煮びたし」「冷奴」「トマトのサラダ」にしたら、夫に「たんぱく質がない」と文句を言われた。たんぱく質が必要と言うけれど、夫はボディビルダーでもスポーツマンでもないふつうのサラリーマン。献立を考える大変さも知らないで怒る夫が許せません、という内容だ。
これにもかなり驚いた。「たんぱく質なら冷奴があるでしょ!」と言い返しても無意味である。夫は肉や魚のメイン料理がない、と言いたかったのだから。
この献立では私だって物足りないと思うだろう。だってどれも冷製の野菜のおかずばかり。おなかを空かせて帰ってきてこんなダイエット食のような夕食だったら、むっとするのもわかる。


ところで、一般的な家庭では夕食のおかずは何品くらい並んでいるんだろうか。
写真付きで“わが家の晩ごはん”を紹介しているようなブログを見ると、メインのほかに小鉢がいくつも並んでいてそれはもうすばらしい食卓だけれど、こういうサイトをしているのは料理自慢の人だろうから、その品数をスタンダードと見ることはできない。
「突撃!隣の晩ごはん」を見ていた頃は、どこの家もそうたいしたものを食べていないのねーと思っていたが、実際に自分がよその家でごちそうになる機会はほとんどないのでよくわからない。

ちなみに、わが家の夕食の基本形は「ごはん」「汁物」「サラダ」にメイン料理一品、副菜一品である。というわけでテーブルの上はそれほどにぎやかではない。
が、これには一応私にも言い分があって、夫の帰宅はたいてい二十二時を回るのと、出張先から戻ってくる新幹線の中でビールを飲んでくるのとであまり満腹にはさせたくないから……である。
だからたまに空っぽの胃袋を引っ下げて帰ってくると、「おかず、二品だけえ?」(彼にとって味噌汁とサラダはもちろんおかずではない)と言われてしまう。そんなときは急遽出し巻きやギョーザを焼いたりするが、明らかに献立に合わないときは「ごはんはたーんとあるよ!」と言って海苔で勘弁してもらう。
掲示板に書き込んだ主婦のご主人のようにふてくされたりせず、おとなしく食べてくれるのを見ながら、「俺は少しずついろいろなおかずを食べたいんだ!」というタイプの夫でなくてよかったと思う。

さて、あなたのお宅では夕食のおかずは何品ですか?

【あとがき】
私がよそでごはんをごちそうになるのは夫の実家に帰ったときくらいのものですが、すごいです。義母が料理好きだけあって(ものすごくおいしい)、いつ行ってもテーブルに乗り切らないくらいの品数。まさに「いろんなものを少しずつ」の世界。息子夫婦が帰ってくるから特別に張り切って作った、ということではないみたいで、義母のまめさには舌を巻いてます。