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2007年06月05日(火) 自己責任

夫とちょっとした言い合いになった。
先日の「中国製練り歯磨きに致死量の毒物」のニュースを見て、洗面所に走った私。夫は少し前から、この春台湾に行ったときに買ってきた歯磨き剤を使っているのだ。
台湾なら平気なんじゃないの、って?それがですね、私は北京のスーパーでも同じ製品を売っているのを見たことがあるので心配になったのである。
パッケージを確認すると、やはり中国語。製造元が中国の会社であるかどうかまではわからないが、こういう事実が発覚した中、正体不明のものを使い続けることはない。
……と思い、捨てようとしたところ。「まだ残ってるんだから捨てないでね」と先手を打たれた。
「もったいながってる場合とちがうやろ、もしこれがジエチレンなんとか入り歯磨きやったらどうするの。十数ブランドの製品に混入って言ってたよ」
「心配なら自分が使わなきゃいいじゃない」
「んなもん最初っから使ってへんわ。あなたもそんな得体の知れないものを使わんと、こっちのサンスターのを使い」
「そんなの僕の勝手だろ」
どこが僕の勝手、なんだ。家庭を持っている人が健康に気を遣うのは当然のことじゃないか。
しかし、手の中の“牙膏”が問題の歯磨き剤であると証明しないかぎり説得できる相手ではないので、引き下がった。

そういうことをあまり気にしない人にとっては「神経質だなあ」ということになるのだろう。でも、私は体内に入るものの安全性はかなり気になるほうである。
先日、実家の庭で焼き肉をしようという話になり、私と妹夫婦とで肉の買い出しに行った。が、あいにく国産のロースは売り切れ。
「ロースは食べたいけど、アメリカ産のは嫌だな……」
と思っていたら、私の心を見通したように「あっちにもう一軒肉屋あるから、ロースはそっちで買おう」と義弟。へええ、うちの夫だったらまったく気にしないよ!と感心したら、妹のところも輸入が再開してからもアメリカ産の牛肉は買っていないという。
「だってねえ、わざわざお金出して不安要素のあるもん買うことないやん?大丈夫かなあと思いながら食べてもおいしくないし」
まったくそのとおり。だから私は中国産の食品は一切買わない。
これまでに何度「安全基準値を超える○○が検出された」という記事を目にしたことだろう。何年か前に在籍していた会社で、全国のお得意様宛てにマツタケを贈った直後に「中国産のマツタケから殺鼠剤」というニュースが流れたことがあった。しばらくは問い合わせの電話が殺到して仕事にならなかったが、そりゃあ心配だわな、マツタケをごしごし洗ってから食べる人なんていないんだから。
以前報道番組の特集で、中国の農家の人が「日本出荷用の野菜は自分たちは食べない。食べるのは日本人だから(農薬の人体への影響も)気にしない」と言っているのを見たことがある。スーパーでドンコ(椎茸)の立派なのが国産の半値以下で並んでいても恐ろしくて買えない。
こんなふうに気をつけていたって、外食をしたり出来合いの惣菜を買ったりすれば確実に口に入れることになるのである。友人の中には野菜ジュースを買うのにもメーカーに問い合わせをし、原材料に中国産の野菜が含まれていないかを確かめてからというのがいるが、私はそこまではしないので知らぬうちに摂取してしまっている分がけっこうあるはず。
最近は中国産でなくても不気味なものがいくらでもある。添加物やら遺伝子組み換えやらポストハーベストやら。国産だから安心して食べられるというわけでもない。そう考えると、自分の意思で避けられる分くらいはせめて避けたい。

夫が夕食を家で食べるのは週末だけ。出張先では毎日のように飲みに行き、たまにどこにも寄らずにホテルに戻る日はコンビニ弁当。そんな塩分、カロリー、アルコール過多の生活を彼は六年間も続けている。そしてこれからも続きそうである。
食事をないがしろにしていてもすぐにどうこうなるわけではない。しかし、いずれは自分に返ってくるのだ。
……ということを口をすっぱくして言うが、「今日の晩ごはん」という件名で送ってくる写真付きメールを見るかぎりではまったくわかっていなさそうだ。
奥さんが体のことを考えて作った料理を毎晩当たり前に食べている人とでは十年後、二十年後にどんな差が出るのかと考えると恐ろしい。

【あとがき】
安いものには安いだけの理由がある。と思います。静岡産の倍の大きさで半値以下で売っている中国産うなぎの蒲焼なんてぜったい買えません。