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2006年06月02日(金) 『anan』のセックス特集号を読んだ(後編)

※ 前編はこちら

それでは、『anan』の読者1146人を対象に実施したセックスに関するアンケートの結果について、「ん?」と思ったいくつかをピックアップしてみよう。

 [質問] いままでにセックスした相手の人数は?
 [結果] 平均8.1人


ええええ!
周囲を見渡しても、八人を超える男性と付き合ってきたという女性は数えるくらいしか知らない。私の感覚では四人か五人というところ。しかも回答者の大半が二十代なのだから、さらにひとりふたり少なくてもおかしくないのに……といぶかしく思ったところで気が付いた。
「あ、そっか。セックスは恋人としかしないってわけじゃないのか」
自分がそうなものだから、「経験人数」と聞いてつい「付き合った人の数」と解釈してしまったけれど、世の中の女性がみなそうだとは限らないのよね。現にその後の「恋人以外の人とセックスしたことがある?」の質問には43%の女性がYESと答えている。

しかしそれにしたって平均がこれというのは多すぎるんじゃないの……と思っていたら、「200人」という回答が平均値をぐっと上げたことが判明。
実際は、回答の多かった順に「3人」「1人」「2人」だったそうだ。納得。

 [質問] 付き合うときに体の相性を重視する?
 [結果] 66%がYES。結婚の際にはさらにアップし、77%が重視すると回答。


で、なにをもって「相性がよい」とみなすかというと、主な意見は「肌の触れ合いが気持ちいい(42%)」「挿入サイズがしっくりくる(22%)」。
私にとって「相性がよい」という判定はもっとシビアな基準をクリアしてくれる人に対して出すものなので、この程度を満たしていれば「よい」とするのかあ……とちょっと拍子抜け。ま、それはいいとして。

ほかの女性がどのくらいの確率でそういう人にあたっているのかわからないけれど、私は「この人とは相性悪いな」と思ったことは一度もない。
触れ合いが気持ちよくなかった人もサイズがしっくりこなかった人もいない。ひとり、私があまり得意でないタイプのセックスを好む人はいたけれど、「好みが違う」とは思えど「相性が悪い」というふうには思わなかったなあ。だから、付き合いを考え直そうというようなことも考えなかった。
もっとも、その人には数ヶ月で振られてしまったので悩む暇もなかったわけだけれど……。
ふうむ、もし長く付き合っていたら私はどうなっていたんだろう?彼との関係においては精神的な充足のみ求めるようになっていたのだろうか。それとも、だんだんとそのセックスになじんでいったのかなあ。

 [質問] ひとりHはする?
 [結果] 57%がYESと回答。そのうちの半数が「週一回以上」。


え!と驚いたのは上記の結果についてではなく、「女性のひとりHについてどう思うか」に男性読者の一割が「絶対いや」「あまりしてほしくない」と答えていたこと。
えーと……どうして?
女性がそちらの欲求旺盛なのははしたないとか、セックスに積極的になられると気後れするとか、そういうことなんだろうか。

べつのページには、初めての相手とするときの注意点として「愛撫は彼から求められたときのみオッケー」「正常位で処女性を強調して(騎乗位はNG)」なんてことがしつこいくらい書いてある。「初めてのキスから口の中をかき回すような積極的なことをされると、正直引いてしまう」という男性の証言も載っている。
女性の研究熱心を歓迎するようなことを言っていても男性の中にはやっぱり、その場面で自分がイニシアティブを取るために女には奥手であってほしいという思いがあるのかなあ。

最後に、アンケートコーナーの欄外に載っていた「彼には絶対言えない」秘密のエピソードをいくつかご紹介。

コンドームにたまる精液の量を見て浮気調査。 (金融・29歳)

今の彼は会社の同期。同僚に兄弟がいっぱいいることを彼は知らない。 (出版・23歳)

彼のを「大きい〜」とか言ってるけど、実は浮気相手のほうが断然大きい。 (通信・25歳)

浮気相手と会う前日は必ず彼とHをして、もしもの妊娠に備えていたことがある。 (アルバイト・30歳)


ひえええーー。男性のみなさん、お気をつけあそばせ……。


さてさて。付録のエッチDVD for Girls「ラブ・エクスタシー」(ソフト・オン・デマンド監修)の感想でありますが。
登場する男女は付き合って半年の恋人同士という設定。「二週間ぶりに一緒に過ごす休日を女性の部屋で」の昼の部と、「大切な記念日を夜景のきれいなホテルの一室で」の夜の部の二本立てだったのだけれど。

うーーん、AVとして見るにはものたりなかったなあ……。
夜の部ではソフトSMの要素(目隠しと手首縛り)も一応盛り込まれてはいたけれど、あっという間にほどいてしまうし、どうということもない。おとなしいというか、変哲のないセックスだなあという印象だ。
「女性のためのDVDなのでエグい表現は排除し、雰囲気にとことんこだわって愛のあるセックスを描きました」
というプロデューサーの言葉通り、モザイクを入れずにすむようなカメラワークにしてあり、“山場”ではひたすら恍惚とした女性の顔が映しだされる。誌面ではあれほどテクニックの研鑽を説いていたにもかかわらず、DVDでは女性が男性のためになにかをする場面は一切なく(コンドームをつけてあげるシーンはあったけれど。こういう“配慮”はアダルトDVDとしてはかなりめずらしいのではないか)、とにかく生々しい映像は皆無。
よってエッチな気分になることもなく、途中から洗濯物を畳みながら見てしまった私。「愛情表現としてのセックス」がテーマだけにキスの場面がやたら多く、女の私でもじれったいなあと思ったくらいだから、もしこれを男性が見ても退屈なだけなのではないだろうか。

あ、でもひとつ驚いたことがあった。
女性の喘ぎ声だ。絶頂に近づくにつれボリュームを増していき、最後は咆哮とも呼べるような絶叫になったので(慌ててボリュームを下げたほど)、耳が点に。
人がセックスしているところに居合わせたことがないのでわからないけれど、もしかしてこのくらいはふつうの域なのか?でも親と同居しているとかマンション住まいであんな、まるで首でも絞められているかのような声を出したら、何事かと人が飛んできそうだよなあ……なんてあれこれ考えてしまった。


以上が私の感想なのだけれど、前編にいただいたメールを読んでいると「もろAVでしたね!」という方がいれば、「プロモーションビデオみたいで期待はずれだった」という方もいて。同じDVDを見たと思えないくらい感じ方が違っており、とても興味深かった。
あなたはいかがでしたか。