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2005年07月23日(土) 返却の理由

「合鍵の行方」からどうぞ。

サイトをお持ちの方には同意していただけるのではないかと思うのだけれど、読み手の方から届くメールの数というのは日によってかなり違う。
私にとっては出来がいいのも悪いのも、テキストはどれも同じだけかわいいのであるが、メールボックスが愛知万博のマンモスラボ並みに賑わう日もあれば、シーズン終わりの海の家のように閑散としている日もある。
そして、前回のテキストは前者だった(ありがとう)。


「思い出のキス、ベストスリーなんてよく選べますねえ。そんなの覚えてませんよ」と感心半分、あきれ半分で何人かに言われたけれど、“とっておき”があるってそんなにめずらしいかな?
もしこれが「よかったエッチ、ベストスリー」だったら身も蓋もないし、私には選ぶことができないけれど、キスならばっちりだ(ベストテンを挙げろと言われたら無理だけれど)。
上手だったとかムード満点だったとか、そんな話ではない。唇のキスもそうでないキスも、思い出すと幸せに包まれるものも胸が苦しくなるものも混じっているけれど、とにかくその三つは特別で、私はたぶん一生忘れない。

で、合鍵の話。
前回、「合鍵を渡したら留守中に部屋を物色されるのでは?なんて考えたことがない」と書いたが、トラブル経験者もやはりおられるようだ。
日記を読まれて大ゲンカをしたというのはまだかわいいほうで、「当時、貯金箱のお金が減ることがあったが、どうしても訊けなかった」といまだにモヤモヤしたものを抱えているという話には胸がきゅっとなった。また、
「(部屋を物色されるかも、と心配するなんて)アホか!と言いたい。そんな相手となぜつきあうのか」
と息巻く、某男性日記書きさん。ほんとそうよねえーと相槌を打ちつつ読み進めたら、「私はそれで浮気がばれました」というオチつきであった。物色されてるがなー!

「もらった合鍵は別れるとき、どうしていましたか?」については、返しそびれていまも持っているという人も何人かおられたけれど、彼らを除くほぼ全員(二十人中十八人)が「返却する」という回答。それを返すことで区切りをつける、と見事に口を揃える。
やっぱりそういうものよね、だって“愛”鍵だもの・・・としみじみ頷く。
前にも書いたように、私は恋人が部屋に残していったものを捨てられない女である。指輪などプレゼントされたものを返したこともない。しかし、もし合鍵をくれた男性がいたなら、それだけは返したのではないかと想像する。

私は別れたら、相手とは一切の連絡を断つ。電話もしないし、メールも送らない。いつもそうだ。
きれいさっぱり吹っ切った・・・というわけではない。むしろその逆だから、中途半端につながっているのがつらいのだ。彼の中の自分が日毎に小さくなっていくのを見るのは耐えられない。別れた恋人とはいい友人になるという人もいるだろうけれど、私にはそんな器用な真似はできない。
だから、私にとって「合鍵を返す」という別れの儀式は形の上でのけじめというより、「もう、これで終わりなんだよ、わかったね?」と自分自身に言い聞かせる、思い知らせる意味で必要そうだ。

* * * * *

いただいたメールの中にはなかなか切ないものがあって、読みながら岡本真夜さんの「サヨナラ」が頭の中を流れた。

別れの手紙と 合カギ入れて
ポストに落とした
勝手にサヨナラ 決めてゴメンね
許してほしいの


その場面を想像しただけで胸がつぶれそうだ。
合鍵、もらったことなくてよかったよ。おかげでこの痛みを味わわずに済んだんだもの。
いや、まあ、私は振られることのほうが多かったけどさ(・・・もっと悲しいじゃないか!)。

ひさしぶりの週末更新なのに、なんか話が暗いな。

【参照過去ログ】 2005年1月26日付 「別れた後、思い出の品をどうするか」