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2005年03月04日(金) 私のリンク・ポリシー

私が誰かの日記にリンクを張って書くとき、“ルール”として心の中に置いていることがいくつかある。
ほかの人に当てはまるかどうかはわからないが自分だったらありがたいと感じるから、あるいは人の振り見てなんとやらでそうしている、という事柄である。

・・・と、その前に。
こういう話を書くとどきりとさせてしまうかもしれないけれど(以前、「うちのサイトはタイトルをよく間違えられる。われ思ふ、ひとマス空けて、ゆえに、でつづく点は三つだ」と書いたら、「リンクページ訂正しておきました。スミマセン」というメールがいくつか届いた)、「うちに張るときはこうしてね」と言いたいわけではないので、ご安心ください。

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というわけでひとつめは、「次回のテキストであなたの日記にリンクさせていただきます」と事前に連絡をすることだ。
「ネット上に公開されているものにリンクを張るのに承諾も報告もいらない」というのはよく聞くし、それが必要か必要でないかといえば後者であろう。しかしながら、一声あるかないかで先方の心証はずいぶん違ってくるはずである。
私にとってそれは新幹線のシートを倒すときに後ろの人に会釈をするのと同じ感覚。「いちいち合図なんかしなくていいんだよ、鬱陶しい」と気分を害する人はあまりいないだろうし、そうしておけばこちらも気兼ねしないですむのだから、面倒くさがるようなことではない。
また、私はテキストを骨太にするために挿入する“エピソード”の役割を期待して引用させてもらうため、「使わせてくれてありがとう」という気持ちが大きい。それを伝えるには報告が一番だろうとも思っている。

ふたつめは、先方の日記のタイトル、書き手の名を明記するということ。
特別な意図がないかぎり、たとえば「こちらのサイト」というふうに表記して飛んで初めて相手がわかる、という張り方はしない。文章のリズムを考えてサイトタイトルかハンドルネームかどちらか一方にする場合もあるが、できるだけ両方出すようにしている。
誰かの日記に自分の固有名詞が登場するとうれしいものだ。ささやかながら宣伝にもなるかもしれない。親愛と感謝の意を込めてそうする、というのがひとつ。
もうひとつは将来そのサイトが閉鎖した場合、過去ログでそのテキストを読んだ人にはリンク先がどういうサイトだったのかということをまるで伝えられなくなってしまうからだ。
タイトルや書き手の名がわかったところでリンク切れしていたのでは意味がない、とは私は考えない。私がテキストの中で引用、あるいは要約という形で先方の文章を紹介するのは、リンク先に飛ばない読み手にも話がわかるようにというだけでなく、そのサイトが閉鎖したときのことを考えてのことでもある。

そしてみっつめ。好意を持っていない人の日記は取り上げないということだ。
たまに「この人はリンク先の日記、あるいは書き手が嫌いでたまらないんだなあ」がありありとしている日記読み日記を見かけることがあるが、いつも私が思い浮かべるのは「人を呪わば穴二つ」という言葉。
よく言ってくれた!と溜飲を下げる人も中にはいるのだろうが、「こういうことを書いちゃう人ってちょっとコワイな・・・」と“引く”人は少なくないのではと思う。いや、その過激なもの言いを小気味よく感じた人でさえ、心のどこかにそういう気持ちを持つのではないだろうか。
私はわかりやすい人間なので、好意を持っている相手にはそのことがすぐにばれてしまうのだが、それと同じくらい、好意を持っていないことを悟られないようにするのも下手であろうと推測する。
自分では意地悪な心を隠してうんと理性的に書いたつもりでも、不快感の“発散”であることはたちまち読み手に見抜かれるに違いない。そして、「なんか、ちょっとがっかり」なんてつぶやかれてしまうのである。

しかし幸いなことに、「自分を貶めたくないから、書きたいのを堪えた」という記憶はほとんどない。好きになれない、あるいは敬意を表することができない書き手のサイトには近づかないため、そこまでの気持ちになる機会自体がないからだ。
誰かの日記を読むというのは、私にとってコンビニでスナック菓子を買う行為と同じである。それは水でも米でもない。口にせずともなんの支障もないそれを私がカゴに入れるとしたら、いかなる理由をつけようともそれは「食べたいから」なのだ。それに魅力を感じているからにほかならない。
これをささやかな“降伏”と見ることはできないだろうか。私が自分の口に合わないとわかっているものに決してお金を出さないのはそういうわけだ。
不味い、不味いと言いながら、吐き気に顔をゆがめながらお菓子を食べつづけている人がいたら、「だったら食べなきゃいいのに」と可笑しくなるだろう。それと同じことである。


・・・と、ここまで書いて気づく。
四年以上書いてきて、ほかのサイトにリンクを張ったことはオフレポを含めても十回前後。
私がポリシーとして真っ先に挙げるべきは、「リンクに拠らない」であったかもしれない。