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2004年12月17日(金) 待っててね。

今月初めに髪を切りに行った美容院からハガキが届いていた。
担当してくれた美容師さんの直筆でメッセージ欄がびっしり埋められている。もちろんその大部分は「髪の調子はいかがですか」「ブローはうまくできていますか」といった、客を選ばない内容だったのであるが、文末に「その後、前髪はどうですか。次回お目にかかれるのを楽しみにしています」という言葉を見つけた。
あるスタイルをお願いしたところ、これをするならフロントには分け目がないほうがいい、さりげなく流しましょうと提案された。
しかし、長いあいだセンターやや右寄りで分けてきた私の前髪にはすっかりくせがついている。彼はそれを見て、「じゃあ、もし次回の来店時にこの分け目が消えていたら、がんばってブローをしたんだなということでトリートメントをサービスさせていただきます」と言ってくれたのである。
それから二週間たったいまでも、ひと風吹けば私のフロントには分け目が鮮やかによみがえる。すでにあきらめモードなのだが、「ぜんぜんだめじゃないですか」と叱られそうで、その美容院の前を通るときはつい小走りになってしまう私である。

……あらら、いきなり話が脱線してしまった。書こうとしていたのは、私がこの手のハガキに弱いということなのだ。
使い回しの文面が大半を占めていても、手書き、なおかつ自分用のメッセージが二言三言添えられていると、心証はまったくちがう。
二週間ほど前にもスポーツクラブのスタッフから「最近お越しになっていませんが、お元気ですか」というハガキをもらったのであるが、一読してポイということはやはりできない。
こういうものに返事を書く客はいないだろうし、私も書いたことはない。しかしながら、自分に投げられたとわかっているボールを返さないでいるのはなにかこうすっきりしない。誰かから本を借りたままという状態にあるときと同じ程度に、その出来事は心に引っ掛かりつづける。
自分に宛てて書かれた手紙を読みっぱなし、もらいっぱなしにするというのが、私はあまり得意ではないようだ。

先日、ある日記書きさんと話していたときのこと。「したいこと、しなくちゃいけないことに対して時間が足りない」ということで意見が一致した。もちろん日記書き関連の話である。
彼女は掲示板の書き込みになかなかレスをつけることができないという。仕事を持っている彼女が「日記を書くので精一杯」になるのはいたしかたないことなのであるが、それを心苦しく思う気持ちはとてもよくわかる。
私も同じである。いただいたメールの九十九・九パーセントに返信するのは「そうしたいから」以外の何物でもないが、それがかなり遅れてしまうことがこのところよくあるのだ。
私のweb日記活動には四つの事項がある。「自分の日記を書く」「誰かの日記を読む」「もらったメールに返信する」「誰かに感想メールを送る」である。
優先順位をつけると、
「日記を書く」
「メールに返信する」
「日記を読む」
「感想メールを送る」
となり、パソコンの前にいられる限られた時間を配分している。
……と言いたいところであるが、実際は翌日アップする日記を書いただけで時間切れになることが少なくない。つまり、持ち時間のすべてを日記書きで使い果たしてしまうということだ。
が、そういう日がつづくと、メールを送った人にとっては「返事がまだなのに更新は行われている状態」になるわけで、すまないなあといつも思う。「こんなに長い文章を書く暇があったら、返事くらい書けるだろうに」と思われているのではないか、とも考える。しかし、これが私の不器用なところなのだが、最優先事項をある程度片づけないことには次にかかることができないのである。
ほかの書き手に対し、もらったメールには返信すべき、と思うことはない。仕事や家庭を持つ人がサイトをつづけることの大変さは十分知っている。無理に両立しようとせず、日記書きに注力して明日もいいものを読ませてくれたほうが結果的にはずっと親切である。
しかしそれでも、自分は時間をやりくりして返事を書きたいなあと思う。私はそこからどれだけ力をもらっているか知れない。
それに以前、こんなことがあった。「私はなにか失礼なことを言ったのでしょうか」ではじまるメールが届いた。なんのことだろうと読み進めたら、一週間ほど前に送ったメールの返事が来ない、小町さんは必ず返事をくれる人なので気になって……という内容であった。
フォームから送ってくれたというそのメールはなぜか私の元には届いていなかったのだが、このとき、返事がない状態というのは人をこんなにも不安にさせるのかと思ったのだ。
私からの返信を心待ちにする人がいるとは思わないけれど、誰かになんらかの働きかけをしたらリターンを求めるのは自然な心の動きである。壁に向かってボールを投げたような気分には、できればさせたくない。

長々と書いたが、今日は結局なにが言いたかったのかというと。
「お返事、激しく遅れております。週末にゆっくり書かせてくださいね」
ということであります。

【あとがき】
そんなわけで、日記の新規開拓なるものはもう何年もしていません。仕事や家庭を持ちながら、日記を更新し、あちこち読み、コメントを送り、返事を書いている人もいるのでしょうけど、私にはとても無理だー。