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2004年04月07日(水) リンク集は置かない

四月からトップページの色をピンクから青に変えた。引越しや衣替えのシーズンだからだろうか、最近リニューアルしたサイトをあちこちで見かけ、うらやましく思っていた。
「このトップにして一年半経つし、うちもそろそろ模様替えしたいなあ。だけど、その時間もアイデアもないし……」
じゃあせめて色だけでも変えて気分を新しくするか、と考えたというわけだ。
そして、ついでというわけでもないが、コンテンツからプロフィールを削った。少し前からいらないなあと思っていたのだ。書き手の概略がひと目でわかるそれをなくしてしまうことは、読み手にとっては親切なことではないかもしれない。しかし、年がいくつで、どこで誰と暮らしていて、なにが趣味でといったことをそんなに性急に知ってもらうこともないだろうと思ったのだ。
また、それらをここを訪れたすべての人に平等に知っておいてもらう必要もない、とも。このサイトを知って間もない人と長く読みつづけている人とのあいだで、書き手についてのイメージや情報量にうんと差があっていいじゃあないか。
そんなわけで、個人サイトにおける三種の神器とも言える「プロフィール」「掲示板」「リンク集」のなにひとつない、正真正銘のテキストサイトになった。

掲示板とリンク集はサイトを開設した当初から一度も置いたことがないのだけれど、どうして設置しないのかとたまに訊かれることがある。
掲示板については管理が大変そうだから。レスをつける時間は取れそうにないから書かせっぱなしになるのが忍びないし、不適切な書き込みに腹を立てたり、その対応にエネルギーを費やすのも気が進まない(通りすがりに人の家の庭に唾を吐いていくような真似をする人はどこにでもいるものだ)。
ではリンク集を置かないのはどうしてか。理由は三つ。
一つ目は、私がブックマークを人に知られるのをとても恥ずかしく思うタチだから。
「なにを笑うかでその人がわかる」というフランスの諺があるが、「なにを読むか」も然り。それには下手な自己紹介よりもずっと内面が表れる。だから、メッセンジャーで話しているときに「誰の日記を読んでるんですか?」と訊かれても、私はいつもメジャーどころしか挙げることができない。
二つ目は、リンク集を常に「最新」の状態にしておくためにはかなりの気苦労を伴うからだ。
いっときは夢中になっていたサイトなのにいつしか足を運ばなくなっていた……という経験は誰にもあるのではないだろうか。明確な理由がなくても「なんとなく飽きちゃった」でお気に入りのサイトというのは移り変わっていくものなのだ。
しかし、その「いまでは求めなくなったサイト」をリンク集にラインナップしていたら、事は少々厄介である。心の中で関係を切るのはたやすいが、掲載しているサイトをブックマークから外すのはなかなか勇気のいることだ。
ある日記書きさんはあるサイトのリンク集から自分のサイトが消えているのに気づき、なにか気に入らないことをしただろうかと考え込んでしまったという。それはごく自然なリアクションだ。それがわかっているから、私はメンテナンスのたびにかなり神経を消耗させなくてはならないだろう。
この「自分のサイトなのに思い通りにできない」ストレスはサイトの寿命を縮めかねない。よって私はリンクの申し込みをいただくと、承諾の返事に「張るも切るも遠慮なくどうぞ」の一文を添える。そうは言われても……だろうとはわかっているが、せめてもの気遣いだ。
そして三つ目、これがリンク集を置かない真の理由。私にとってナンバーワンでありオンリーワンであるサイトを載せることができないから。
私は本当に好きな人の前では、気持ちを伝えることもできない十五の小娘状態になってしまう。「リンク集に入れさせてください」なんて一生言えそうにない。
が、そこを加えることができなければ「仏作って魂入れず」のようなもの。そのリンク集は未完成だし、本物ではない。

ところでリンク集と言えば、前回の「笑えなかった冗談」で、私が登録しているいくつかの日記リンク集(個人サイト内のリンク集ではなく、日記サイトを集めたポータルサイト)について書いたのだが、そのあとがきに「日記リンク集にも個性があって、それぞれを男性に例えるなら、私はテキスト庵のような人が好み」と書いたところ、賛同のメールが四通も届いたので驚いた。
それがどんな男性か伝わったのもすごいが、リンク集を男性に例える発想をほかの人に理解してもらえるとは思っていなかったので、「すごくよくわかります」「私もそうです」と言われ、すっかりうれしくなってしまった。
がつがつしていなくて、淡々とした柔らかい物腰の中にきちんと「自分」を持っている。そう、そんな男性が私は好きなのよ……って、誰も私の好みのタイプなんか興味ないわね。シツレイしました。

【あとがき】
リンク集から外されたことがあるかどうかはわかりませんが(リンク集は一度拝見したら、そうそう見に行くものではない)、以前「これこれこういう理由で、もうここには来ないと思います。長いあいだありがとうございました」と見知らぬ方からメールをもらったことがあります。わざわざ「明日からもう読みませんね」と挨拶しに来るなんてめずらしいなあと思ったもんです。これを丁寧とか律儀とかいうのかはわかりませんが。