2003年09月24日(水) |
焼肉オフ(オフレポ後編) |
※ オフレポ前編はこちら。
少人数でこじんまり行うオフの場合、それをどれだけ濃密なものにできるかは参加メンバーのキャラクター(つまりノリ)ともうひとつ、読んでいる日記がどれだけかぶっているかという点にかかっている。
web日記の世界がもともと「It's a small world」なのか、今回がたまたまラッキーだったのか。いずれにせよ、櫻屋の主人さん、あぐりさん、くりさんという顔ぶれはしゃべりを目的としたオフのメンバーとしては最高であった。
なにしろ、ジョッキを合わせて乾杯した瞬間から日記話がスタートしたのだけれど、「誰それ?読んだことも名前聞いたこともない」ということがほとんどないのだ。
それどころか、日記のタイトルのあたまの五文字くらいを口にするや、「ああ、○○さんでしょ、東京の」なんて具合に誰かしらから即座に書き手の名前が挙がる。彼女たちの脳内にインプットされている情報量の多さとレスポンスの早さは恐るべきもので、まるで早押しクイズだ。もし彼女たちに日記のタイトルを見て書き手の名前を記入するペーパークイズを実施したら、高得点をマークするにちがいない。
焼肉奉行不在のため、網の上はタン塩もタレのカルビも野菜もごちゃまぜになった、秩序のちの字も存在しない無法地帯。おのおのが無計画に載せていくので次から次へと焼きあがり、それを消費するのに忙しいわ、つっこみどころ満載のトークに黙っていられないわ。「猫の口も借りたい」なんてことを考えたのはたぶん生まれて初めてだ。「自分がいないあいだに面白い話が出てきたら悔しい」と、私は手洗いに立つ間さえ惜しんでしまったほどである。
そうそう。この席で彼女たちによって夢を破壊されたことがひとつあったので、披露させていただこう。
少し前の日記に「色気のある文章を書く日記書きさんがいる」と書いた。あれはいったい誰のことなのよという話になり、ある男性の名前を挙げたところ、三人が神妙な顔をする。私にとってその反応は意外だった。てっきり「それわかる!」と返ってくるものとばかり思っていたからだ。
そして私はあの色気が万人に読み取れる種類のものではなかったことを知った。そういえばその日記を書いたあと、「○○さんのことではないですか?」というメールをいくつかいただいたが、どれもハズレだったっけ……。
話を戻そう。私が「実物も色っぽい人なんだと思う」と言ったところ、ひとりがあっけらかんとこう言った。
「でもその人、見た目は“サエない係長”なんだって」
まあ、ひどい。ただの係長でもサエない部長でもなく、サエない係長だって言うの?
「うん、会ったことある人がそう言ってた」
実は私、彼に松田優作のイメージを抱いていたのだ。
「写真見たことあるけど、かっこいいとかセクシーとかじゃぜんぜんなかったよ♪」となぜかうれしそうに報告してくれる人まで出てきて、思わず頭を垂れる。その人とはコンタクトを取ったこともないが、私は知らず知らずのうちに「この文章に似合うのはこんなルックス」というものを持ってしまっていたらしい。
そこから話は「人は文章だけで恋に落ちるか」に移る。この手の話題は私と櫻屋さんの専門分野だ。「あんたらにはついていけんわ」とあきれまなこのあぐりさんとくりさんを尻目に、ふたり熱弁を振るった。
結論は、「『日記』という名の鏡に映る書き手に恋をすることは、ある」だ。
「閉店の時間ですので、そろそろ」と店員さんから声がかかるまで三時間半、文字通りしゃべり倒した。
くりさんのオフレポには私と櫻屋さんが猛威を振るっていたかのように書かれてあったが、そんなことはない。あの日私は聞き役だった……とはさすがに言わないけれど、三人のマシンガントークに相槌を打つのが精一杯という場面は何度もあった。もし「私たち、今日初めて会ったんです」と言ったら、店員さんは驚いたにちがいない。
終電の時間さえなければ、どれほど四次会にお誘いしたかったか。だから大阪駅で解散するとき、誰からともなく「今度みんなで温泉行って、朝まで語り明かすってのはどう?」「賛成!」と声があがったのはうれしかったなあ。
盛り上がるだろうかという心配はしていなかったけれど、ここまで面白くなるとも予想していなかった。三年間コツコツと書きつづけてきたことのご褒美をもらったような一日だった。
【あとがき】 オフレポは馴れ合いっぽくて好きじゃないって人もいるみたいですけど、私は書くのも読むのも好きです。ミーハーだから、自分が参加したものでなくても読みに行っちゃいます。そこにふだん読ませてもらってる人が登場していたら、なおさら面白い。それにしても焼肉オフは楽しかったです。こういう素敵な出来事がたまに起こるから日記の読み書きってやめられないのよね。 |