2002年07月23日(火) |
プロポーズのときに指輪はいらない |
ふだんアクセサリーの類をほとんどつけず、時計さえあまりすることのない私。
が、昔から指輪だけは大事にしてきた。私にとってそれは、装飾品でしかない他のアクセサリーとは明らかに異なる存在だ。
男性に「誕生日に恋人からもらいたいプレゼントは?」と尋ねると、挙げられるアイテムはかなりバラけそうな気がするが、妙齢の女性だったらどうだろう。答えはダントツで「指輪」ではないだろうか。私はそうだ。
「人形には作り手やそれをかわいがっていた人の魂がこもる」とよく言うが、私にとっては指輪がそう。指輪ほど人の気持ちがこもるものは他にないと思っている。だから、本当に好きな人からしか望まないし、そうでなければ価値もない。
ゆえに、それをくれた人とサヨナラしたら、たとえデザインがどんなに気に入っていようと使いつづけることはできなくなる。
「指輪に罪はないしね」と言ってのける女性も少なくないけれど、私は指輪だけは贈ってくれた人の気持ちと切り離して考えることができない。愛情を感じていたいと思うから身につけるのであって、それを失ったからといって単なるモノとして見たり扱ったりすることはできなくて。
それが指輪がバッグや洋服のプレゼントと横並びにはならない理由だ。
結婚指輪に話を戻す。
私は結婚指輪をつけっぱなしにはしていない。窮屈感があるとか料理するのに清潔でないということもあるけれど、最大の理由は傷つけたくないからだ。
長く付き合っていたにもかかわらず、夫は結婚するまで指輪だけはプレゼントしてくれなかった。私がそれに並々ならぬ思いを抱くように、彼も「女の子に指輪をあげる」という行為に特別な意味を見出していたのだろう。
そういうこともあって、私は結婚指輪をとても大事に思っている。そのため、ちょっと近所のスーパーへ、ひと汗かきにスポーツクラブへ、なんてときにはもったいなくてつける気がしないのだ。ファッションリングと同じ感覚で、おしゃれをして出かけるときだけにしている。
ちなみに、私は結婚指輪をしている男性が好きだ。指輪をしていないからよからぬことを企んでいるんだろうだとか、しているから奥さんへの愛情が垣間見えるだとか、いまどきそんなことは思わない。ただ単純におしゃれな感じがしていいなあと。
ええ、わが夫の結婚指輪は傷ひとつないさらっぴんのまま、箱の中でピカピカ光っております。
ところで、結婚式場『ザ・ベルクラシック』のCM。ユースケ・サンタマリアが台所で夕飯の支度にとりかかろうとしている彼女に「これ、もらってくれないか?」とエンゲージリングを差し出すというやつね。
私はあれがどうも好きになれない。彼女がブリッコっぽいのが苦手だし、ユースケのあのオドオドも気持ちはわかるがあまり見たい姿じゃない。
それともうひとつ、「こんなふうにエンゲージリングを用意されるのはぜったいイヤ」と思うからだ。
ユースケ(が演じている男性)のあの風貌と話し方からその性格を推測すると、彼が「彼女の指にはぜったいコレ」というこだわりや自信を持って選んできたとは思えない。そのへんのセンスもありそうにはない。人のよさそうな彼はきっと宝石店の店員に勧められるまま買ってきたに違いないのだ。
そりゃあ差し出された箱の中身が自分好みの指輪だったら、プロポーズは最高に盛り上がるだろう。しかし、現実にその可能性はどれほどあるだろう。
女の子が箱から指輪を取り出す。「は、入らない……」ならサイズ直しすれば済む話だが、もし「に、似合わない……」だったらどうしたらいいのだろうか。
断言しよう。いかに「オレは彼女のすべてを知ってるぜ」な彼であっても、指輪とブラジャーは選んであげるのは不可能だ。だって本人でさえ試してみるまでわからないのだから。
だから、私は百貨店のアクセサリー売場で男の子がひとりで買いに来ているのを見かけると、「ま、可愛い」とニッコリしながらも、「けど、ネックレスかピアスにしときなさいヨ」と念を送ることにしている。
もしエンゲージリング付きの突然のプロポーズで彼女をびっくりさせたいとお考えの男性がいらしたら、彼女がどういうタイプの女性かはっきりさせてから買いに行くことをお勧めいたします。
【あとがき】 プロポーズのときに指輪はいりません!男性はあげたらおしまいかもしれないけれど、女性にとっては正真正銘の一生もの。私なら、プロポーズのときのロマンティックな一瞬よりも、ジュエリーショップを何軒もハシゴして、自分に最高に似合う指輪を探すほうがいい。私なんて、妹と一緒に十何軒ハシゴして「これ!」って決めてから彼を連れて行きましたから。そりゃあ現実的すぎてムードはないですけどね、そのかわり100%満足できるものだから大事にしますよ。結局、男性もそのほうがうれしくない? |