癒し

癒してほしい。

僕は傷ついたから、疲れたから、なくしたから。

癒しがやってきて、僕の傷を全部消してほしい。
癒される映画を見たい、本を読みたい、音楽を聴きたい。
愛する人が欲しい。

お気に入りの映画を見て、本を読んで、音楽を聴く。恋人と遊ぶ。 
それでもまだ気持ちは埋められない。また次の癒しを探してる。

こんな癒しなんて全部マボロシ。それはすべて、消えてしまうものだから。

僕は傷だらけで生きている。傷を隠したいとは思わない。この傷はかけがえのない傷。

家族を失い、友達を失い、恋人を失った。
罵倒され、馬鹿にされて、虐げられた。
コンプレックスを抱えて、人に負けた。

傷ついたときに立ち止まって考える。

『戦うか、逃げるか』。

どちらを選ぶ。戦ってもっと傷つくのか。逃げてマボロシの癒しで誤魔化すのか。

『戦え』と僕は言う。

戦って手に入れた言葉や感情はいつまでも僕の中に染み付いて、その傷を確かな形にしている。

いつも人生の判断は難しいけど、逃げるだけの人間になりたくはない。汚れて泥だらけになって、血だらけになって、かっこ悪くて、ださくて、気持ち悪くても。

傷ついて、戦って、僕の体に残っていった傷が、今の僕を癒してくれている。

その傷が僕自身になっていく。
2005年01月16日(日)

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