うららか雑記帳
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2005年06月10日(金) 浜月の1日を追うとこんな感じ


*朝

 出がけに来客用の珈琲用ミルクが少なくなっていたことを思い出し、慌ててコンビニへ駈け込む。時間を気にしつつレジを済ませたら「ありがとうございました、いってらっしゃいませ」と店員さんに言われて、ああ私もきちんとした社会人に見えるんだなぁとしみじみ考える。
 出勤途中、職場へと向かう交差点で右折しようとしたところ、横断歩道を直進する自転車の中学生と接触事故未遂。雨降りのせいか、自転車など全く視界に入ってこなかった。危ういところだった。朝っぱらから肝が冷える。



*昼

 私は組織のトップの秘書であるわけだが、そのトップは物事を順序立てて喋ってくれるタイプではない。主語がなかったり、述語がなかったりするのが当たり前。彼がなにを命じているのか汲み取り、即座に対応しなければならない。しかし私はどうにも察しが悪く、「アレあるか?」と言われても、何をご所望なのか見当をつけることが未だできずにいる。そんなわけで、今日もやってしまった。指示内容を勘違いして受け取ってしまったのだ。封筒を渡しながら「机の上に置いといて」と言うのでてっきり執務室の机だとばかり思ったら、議場の机のことだとは……。もっと落ち着いて状況から判断しなくては。



*夜

 1日の執務を終えたトップは上機嫌だった。夕方からの懇親会なども珍しく入っていない。そこでいきなり「焼き鳥食いに行くぞ」と言い出したものだから吃驚仰天。古くからこの部署にいる人たちはそうでもないようだが、新しく来た私などは露骨に驚いた顔をしてしまった。だって今夜は異動前の課の集まりがあって、そちらに顔を出したあとは車で2時間ほどかかる地域に住んでいる友人宅に泊まりに行き、翌日は新宿で別の友人と合流し、買い物をすることになっていたのだ。しかし、もちろんトップの誘いを断るわけにはいかず、じゃんじゃん鳴りまくる携帯を横目に焼き鳥を食べるはめに……。予定が全てパアだ。はっきり言っていきなりこういうのは迷惑。急な用事というのは私が嫌っている物事のひとつだし、まして先約があったのに。友人との約束はともかく、職場の先輩たちにはどう詫びたらいいのだろう。異動した私をせっかく誘ってくれたのに。そして焼き鳥だけでお偉方は帰ったが、その後スナックのような場所でカラオケ、締めのラーメンと、夜半近くまで解放してもらなかった。
 その後、他の人は別口のグループと合流したり奥さんに迎えにきてもらったり徒歩で帰れたりするから良いが、私は最終的に夜道に一人残されて、一日の疲れをどっと感じてしまった……。お酒を飲まずには済ませてもらえなかったので、結局、すでに就寝していた親をたたき起こして迎えにきてもらったしまった(タクシーがつかまらず、代行もTEL番号が分からなかったので)
 トドメのように上司には「こういうこともある、私用のことは忘れろ」と言われて、心底うんざりしてしまった。
 まあ、普段はまずお目にかかれない特別職のくつろいだ表情を見れたし、気遣いはありがたかったので、社会人なら付き合いも仕事のうちと割り切って楽しむことにしよう。




憂いを帯びた沈黙が、不意に優しいものへと色を変えた。
「また……逢えるよね」
呟く君の声も、限りなく澄んで穏やかだった。


浜月まお |HomePage

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