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- 2005年08月21日(日)
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- 熱かった甲子園、嬉しい雪国高校の連覇!
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今年の夏の甲子園は、久々に熱かった。 テレビ観戦に、ネットでの途中経過に見入った。
大阪桐蔭が誇る150キロ左腕辻内と4本塁打の平田という、 投打の超高校級スーパースターの存在も大きかったが、 大会全体を通して熱戦や話題が満載で、とても充実した大会であった。
春夏連覇を目指していた優勝候補の一角、愛工大名電が、 緊迫した延長戦の末に、2回戦で長崎の清峰に敗れる波乱に始まり、 その清峰が勢いに乗り、これまたV候補の済美を破って序盤の主役に。 その他にも、辻内の19奪三振や、京都外大西の6点差を大逆転ゲーム、 平田の1試合3ホーマー、緊迫したシーソーゲームの打撃戦や投手戦など…
しかし、なんといっても元高校球児のハラ的には、
やっぱり駒大苫小牧であった。
てなわけで、57年ぶりの連覇を決めた 駒大苫小牧の戦いぶりを、テレビ観戦記も含めて綴ってみる。
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【2回戦/5−0聖心ウルスラ学園】
エースの松橋が完封。順当に勝ち進んだ。 しかし、「ウルスラ」って何だろう?
【3回戦/13−1日本航空】
3回戦の日本航空戦はお盆帰省中に実家で全て見た。 次期エースの2年生田中の投球と、素晴らしい駒大苫小牧の守備に酔った。 田中はまだ2年生だが、来年また必ず駒苫を甲子園に連れてくるだろう。 それくらい完成度は高い。145キロのストレートを持ちながら、 「僕はスピードは別にいいんです。一番大事なのはコントロールです」 と語る田中。まだまだプロ並みにゾーン内外の出し入れは出来ないが、 制球は安定している。特に高速スライダーの切れとコントロールは抜群だ。
【準々決勝/7−6鳴門工】
準々決勝の鳴門工戦と準決勝の大阪桐蔭戦はニュースで見たが、 この2つの試合は正直ファンとしては、生中継を観戦したかった。
野球というスポーツは番狂わせが付きものである。どんな実力校でも、 トーナメント戦で優勝するには、最低1試合は勝利の女神の力が必要だ。 優勝した駒大苫小牧にとって、鳴門工戦はそういう試合だったに違いない。
先発のエース松橋が序盤で3失点。1回に林の本塁打で1点返すも、 鳴門工エース田中暁の大きなカーブの前に6回まで散発5安打9三振。 7回に鳴門工に3点追加されて6ー1。もう完全な負け試合であった。 しかし7回に一挙6点を上げて逆転。これは昨夏の神懸かり的な勢いが このイニングだけに降臨したような、そんな集中打と相手の失策であった。
【準決勝/6−5大阪桐蔭】
大阪桐蔭戦は、試合前から見どころたっぷりの事実上の決勝戦。 駒苫の2年生右腕・田中と大阪桐蔭の超高校級左腕・辻内の投げ合い。 下馬評では4番の平田率いる打力の分、大阪桐蔭に分があった。
しかし試合前に駒苫ナインは「辻内君は弱点は精神面。顔を見れば分かる」 と語ってた通りに、崩れるとモロい辻内から2回に5点をもぎ取った。 だがそこは事実上の決勝戦。そのままズルズルと終わらない。
立ち直った辻内が奪三振の山で調子を戻すと自らの本塁打で7回に2点、 そして8回に3点を奪って同点という、高校野球ファンにはたまらない展開へ。 そして10回、先頭の林が辻内から二塁打を放ち、辻の適時打で勝ち越し。
明らかに大阪桐蔭の流れの中、先頭打者として辻内から二塁打を打った 駒苫の林ってのは試合の流れを読める選手だ。他の試合でもここぞという時に打っている。 期待を裏切らない優勝候補同士の実力伯仲の戦いを、駒苫が僅差で制した。
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【雪上で鍛えた駒苫の守備力と総合力】
昨年、北海道勢の初優勝ということで話題を集めた駒大苫小牧。
なぜハラはこの高校が気になって応援していたかというと、 駒苫と同じ雪国(長野)の高校で野球をしていたからだ。それだけである。 雪国のハンデを乗り越えた昨夏の優勝に対して、尊敬の念を込めて応援している。 (自分の出身大学と全く同じ校歌を聞いて、応援したくなったというのも少し…) もちろん、県予選ではまず母校を、そして甲子園で長野県代表を応援するわけだが、 駒苫はそれとは別枠。とにかく共通するのは、「雪国魂を見せたれ!」ってとこだろう。
昨夏の旋風で注目されたその練習方法「雪上ノック」。 北海道同様、長野でも11月中旬から3月下旬までグラウンド練習が無くなる。 なぜならば、雪が降るよりも前に、寒さで手がかじかんでボールを握れないのだ。 キャッチボールで硬球を受けると、グローブをしてても痛くて話にならない。 だから、幾らブルドーザーで雪上を馴して固めて、球が転がるからといっても、 めちゃ寒くて身体は動かないし、ボールが当たれば、感触が無くなる程痛いのだ。 「雪上ノック」は私の経験からすれば「ありえねー」って感じなのだが、 彼ら駒苫ナインは事実やっているわけである。雪国で野球やってない人は 分からないかもしれないが、彼らはスゴいことをしているのだ。 正直云って、気合だーっ!!というモードでないと「雪上ノック」は出来ない。
今大会の駒大苫小牧の守備は鉄壁であった。なんと北海道大会から、 甲子園準決勝まで通じてノーエラーだったのだ。本当に素晴らしい。 打球が速くてイレギュラーも多く、寒い中相当の集中力を強いられる 「雪上ノック」を受けていた彼らは、土の上の打球が「止まって見える」と 云ってたそうだ。昨年が「打撃と勢い」ならば、今年は「守備」のチームだ。
駒苫が今年も打撃のチームだったなら、連覇は出来なかったと断言してもいい。 水物の打撃に対して守備の堅さは、チーム力のあらゆる所に効果をもたらす。 ピッチャーであったハラの経験から云えば、堅固な守備陣がいることは、 繊細な投手心理に相当な安心感を与える。特に高校野球ではその効果は高い。 実力ある投手の力を、常に実力通りに発揮させる魔法は「守備力」である。 守備力は投手力に波及するほか、リズムを生み出し、打線に集中力を与える。 駒大苫小牧の野球は、弱小高校の監督にとってはお手本となるだろう。
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【決勝/5−3京都外大西】
その鉄壁守備の駒苫が今夏初のエラーをしたのが、決勝の京都外大西戦。 先日の土曜の決勝戦は、最初から優勝の瞬間までテレビで観た。
序盤、駒大苫小牧はらしくないプレーをしていた。 連続でバント失敗したりタイムリーエラーをするなど。しかし、 決勝戦ではそういうミスが致命的とよく云うが、ミスから大崩れしない所に、 高次元で安定しているチーム力を感じたのは私だけではないと思う。
対戦した京都外大西も高いチーム力を持っていたと思うが、 去年の駒大苫小牧のような、勢いで勝ち上がって来たチームだ。 駒苫にとっては、昨年の自分達と戦うような印象だったはずだ。
決勝戦にふさわしい接戦となった。初回に1点を取り合ってから 序盤は互いの拙攻もあって膠着状態。勝利の女神もどちらにつこうか迷っていた。 5回裏に駒大苫小牧が勝ち越すと、一気にゲームが動き出す。 6回に京都外大西が1死2、3塁の逆転のチャンスをつくる。 ここで駒苫の田中が圧巻の二者連続三振で踏ん張る。最後は吠えていた。
どうしてもピンチの後をチャンスにしてしまうのが、繊細な投手心理の刹那。 京外西はその裏、死球などで駒苫に追加点を許してしまう。 しかし7回表、駒苫の名手・林のタイムリーエラーで思わぬ失点を許す。 さらに京外西の5番五十川が、駒苫・田中の高速スライダーを捉えて 右翼線に同点のタイムリーツーベース。前の打席でも痛打された打者に対し、 カウント2ー1から投げるスライダーはボールにするべきであったが、 決めようとしてストライクゾーンに入った。しかしインローの厳しい球であり、 ここは打った京外西の五十川を褒めるべきであろう。これで同点。これぞ決勝。
駒苫が試合に勝ったのは、同点にされたすぐ裏の回で再度勝ち越せたからだ。 当たり損ないの内野安打で2点追加。京外西にとっては不運であったと同時に、 勢いを萎えさせた失点となった。勝利の女神が駒大苫小牧についた瞬間であった。
9回は駒大苫小牧の連覇のためにあった。次期エース田中がなんと三者連続三振。 最後の打者のラストボールは150キロを計時。これ以上ない連覇達成の瞬間だった。
マウンド上に選手が駆け寄り、お決まりとなった 全員で人差し指を突き上げるパフォーマンスで、連覇の喜びを爆発させた。
ハラもその瞬間思わず「っしゃーっ!!」と手を叩いていた。
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1948年以来、57年ぶりの連覇という偉業を、 初めて昨年優勝した北海道勢が成し遂げるとは、誰も思っていなかっただろう。
ちなみに、 連覇を目指して決勝戦に進んだだけでも21年ぶりだという。 その21年前の高校とは、あの清原&桑田を擁したPL学園だ。 1年生エース桑田・1年生主砲清原を擁して優勝した次の年、 KKが2年生の夏にもPLは決勝に進んだが、取手二高に敗れたのだ。
そういえば、 今夏、大阪桐蔭の平田が一試合3ホーマーを放ったのも 清原以来だとスポーツ紙面で見出しが踊っていた。
高校野球が最もブームになった黄金期が、 KKコンビのPLが活躍した時代である。
ちなみに、KKの高校3年間は私の中学3年間。 陸上部であった中学時代に、この黄金期の高校野球を夢中で観て、 私は高校で硬式野球部を選んだ。
今思えば、なんて単純なんだろうか。
あの熱い時代の高校野球が、
今年の夏、少しだけ垣間観れて、
とってもとっても良かったと思います。
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KK時代、現中日の立浪が活躍した時代を含めて、 5年間で3度優勝したPL学園でさえ出来なかった夏の選手権連覇。
その偉業を、しかも全く違う主力選手で成し遂げた 駒大苫小牧・香田監督の手腕はとても素晴らしいと思います。 優勝おめでとうございます。
来年のエースである2年生の田中君には、来夏も必ず 道大会を勝ち進んで甲子園に出場するのはもちろん、是非とも、 1933年・中京商以来となる72年ぶりの3連覇を目指してほしい。
050821 taichi
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