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- 2005年08月07日(日)
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- 俺を東名で瞬殺した赤いランエボ、その正体は?!
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J-WAVEにチューニングを合わせていたら懐かしい曲が聞こえてきた。 渡辺美里の『サマータイムブルース』である。 ヒヤッホー!ナイスだDJ!昔からファンである私でなくともこれはイイ曲。 《眩しい太陽 標的にして〜 週明けの第三京浜 選んだ〜》
口ずさみながら、俺は犬をナビシートに乗せて、週末の東名高速を走っていた。
次の曲でDoobie Brothersの『Long Train Runnin'』が流れてきて、 今日はなんだかいい感じの選曲だな〜と思うのもつかの間、ふと時計を気にした。 出発が遅れているので、クルージングしている場合でなかった。 『Long Train Runnin'』のテンションに合わせてアクセルを踏み込んだ。
追い越し車線を140〜150km/hで走っていく。 俺の愛車、SCION xA号は、「ウ"ゥゥゥーーーー−ン」と、 いつもよりちょっと頑張ってる感じの鳴き声を上げているが、上りではキツい。
御殿場あたりで、バックミラーに後方から近づいてくる赤い点が映る。 その点はどんどん大きくなり、真っ赤なランエボだと判明した頃には、 そいつがパッシングしてきやがった。1回、のみならず2回3回と。 「どけやコラ!俺様のお通りだ!」というわけだ。 すでに思いっきりテールトゥノーズで、スリップストリームモードである。
「なんだテメエ!アメーーんだよ!俺様のxAでチギッたろか?!」と、 ブレーキチョイ踏みして赤い閃光を放ってすぐ一気に加速で置き去りに… などと、熱いハートに火が点きそうになったが、あっさり白旗をあげる。 何故なら俺のSCIONxAは以前ご紹介の通り、ただのトヨタ・イストなのだ。 ただの1.5Lエンジン vs 世界に誇る2Lターボの4WD。ハイハイ無理無理。スミマセンスミマセン。
ちょうど微妙に上り坂で、しかも左の走行車線にクルマが2台連なっている。 まずはこの2台を抜かなければ。上り坂で140km→150kmの追い出し加速はイストに堪える…。 苛立つランエボ様は、右へ左へと、俺のサイドミラーに己の姿を映す。 イスト君は、いつもより3オクターブぐらい高い声で鳴きながら、 ノロノロ(といっても130〜140km/h)と走る隣の2台を抜き、左によけてランエボ様に車線をお譲りした。
まるで、今年のダービー馬・ディープインパクトが最終コーナーを回り、 直線で武豊がムチを入れた瞬間…、そんな感じであった。 押さえ付けられて苛立っていたランエボ様は、一気にアドレナリンを解き放つ。
ウ"ゥゥォォォォオオオオオオンプシューーッ! ンウ"ォォォォオオオオ…
140km/hからの追い出しにも関わらず、ものすごい加速を見せるランエボ。 さすがにトルクが違う。一瞬にして過ぎ去っていく赤い車体。 中を覗いて、どんな奴が運転しているのか確認しようとしたが、 ほとんど横一線の赤い残像しか目に映らなかった。一体何km/h出してんだ? 前方に目を凝らすと、赤いのが瞬時に左へ映り、 すぐさま右に切り込んでいく姿を確認して最後、見えなくなった。
微妙に呼吸音が荒い。まるで嬲るようなレイプを受けた後のようだ。 横でお嬢(=ウチのミニチュアダックス♀1歳2ヶ月)がキョトンとしてる。 その時かかった曲が、アルバム『ケツノポリス4』より『ドライブ』。
その後は犬と楽しくドライブドライブ!ってな感じで、呼吸を整えた。 沼津〜富士と走り抜けると、左には海が見えてきた。爽快である。 清水ICの手前に「由比」というPAがある。海沿いの気持ちいいPAだ。 海を見ながら休憩とばかり左の側道に入る。まばらにクルマが止まっていた。
ふと、前方に目を奪われた。 御殿場でブチ抜かれた、あの「赤い悪魔」が停まっていたのだ。 テールトゥノーズの時、車内のあらゆるミラーに映し出されていたので、 ナンバーも覚えている。間違いなく「奴」だ。
俺は赤いランエボの隣にクルマを停めた。キーを抜き、犬を連れて降りる。 あたりを見回すが、「それ」らしき人はいない。子供連れの家族、 若いカップルが2〜3組、老人とその息子のような二人連れ、少年野球チーム、 中年のパック旅行軍団、中年カップル、・・・といったところか。
「まあいいか…」と、特に気にせず、俺と犬は海沿いのテラスのような 場所まで歩き、思いっきり背伸びをして固くなった身体をほぐした。 お嬢はテンションが高く、リードを千切らんばかりに飛び跳ねている。 オジサン・オバサン達に「あらやだっ、かわいいわねー」と云われ、 いつものように興奮しながら歩伏前進していくお嬢。 子供達に抱かれたり、くしゃくしゃされたりするお嬢。
近くにいたお婆さんが近づき「あ〜〜小さいわね〜おチビちゃん〜」と お嬢を抱き寄せる。尻尾が全開でスイングしている。 隣にいた中年の男性が、「どうもウチの母がスミマセン…」と頭を下げた。 「いえいえ構わないですよ!。ウチの犬はスキンシップが大好きなんで」 俺は答えた。お婆さんは歳は70歳ぐらいだろうか? 顔にしわをいっぱいに寄せながら、満面の笑みでウチのお嬢を撫でていた。 「この仔まだ赤ちゃんなの?」お婆さんが訊いた。 「いえいえ、もう1歳2ヶ月」ですよ。 「え?そうかい、1歳ってもう大人でしょ?いいねえ小さいままで〜」 お婆さんはとても犬好きのようであった。俺も自然と顔がほころぶ。
「それじゃ〜お前、失礼しようかね」お婆さんが息子に向かっていった。 「どうも、ありがとう」「それでは失礼します」二人は礼をいった。 お婆さんの後を息子がついて歩いていく。俺は思わず目で追ってしまった…
その二人が歩いていった先は、なんと赤いランエボだった。
「見つけた!あの人だったか!、見かけによらない運転するんだな〜〜、 しかもお婆さん連れてるのに、アブナいじゃんか…」
そんな感想を抱こうとした矢先、信じられない光景に顔を打たれた。 ドライバーだろうと思った息子の方が、ナビ席側に歩いていくではないか!
「え?、ウソっ?!、まさか…」
赤いランエボの運転席に座ったのは お婆さんの方だった。
俺は思わず再び駆け寄って、お婆さんに訊いてしまった。
「お婆さん!、お婆さんがずっとこれ、運転してたの?!」 「ええそうよ、どうして?」 「息子さんは運転しないんですか?」 「あ〜僕ね、昔怪我して右手首から上が動かないんですよ」
俺はちょっと絶句してしまった。お婆さんがコレを運転してた事と、 息子さんの怪我の事と…。ふとお婆さんに訊かれた。
「あら、あなたのクルマ、その隣の黒いやつかしら?」 「え、ええ」 「クリアのリアランプで覚えているわよ。さっきはご免なさいね」 「え、ええ、全然いいんです」 「じゃ失礼しますね。子犬ちゃん、大事にしてくださいね」 「あ、はい…」
お婆さんは、マニュアルシフトをガコガコっと動かして1速に入れた。
「じゃあね」「はい…失礼します!」
ウ"ゥゥォォォォオオオオオオンプシューーッ! ンウ"ォォォォオオオオ…
お婆さんは、駐車スペースから左へステアを切り、 少々テールが流れ気味に側道のストレートへ出て加速していった。 呆然と見送る俺と犬…。
あれは「赤い悪魔」ではなく「赤い魔女」だ…
俺はしみじみ思った。
クルマへ乗り込み、キーを差す。 犬は水を飲んだ後、多少つかれたのか、ペタっとして寝てしまった。 コンソールパネルにはナビが起動すると同時にラジオが流れて来た。 その時かかっていた曲は知らない曲であったが、 さっきから俺の頭の中でずっと流れているのは、何故だか知らんが、 シンディ・ローパーの『Girls Just Want To Have Fun』だった。
050807 taichi
【追記】 おたよりメールにて、「すげ〜婆さんだ〜」「かっこいい〜」などの感想を頂戴しましたが、 その中で「エボの何?」「クラッチ大丈夫なのか?」「実際の歳は聞いてる?」という質問がありました。 実はクラッチはお婆さんに聞いてまして、「昔から運転してるから大丈夫よ」と云ってました。 確か結構クラッチ重いんですよね?。未だに「ありえねー」と思っているんですが・・・ 70近くに見えたんですが、運転席に座ってる姿は60前後か50代に見えなくもないって 感じでしたよ。オーラのせいですかね?しかし、ビックリしすぎたし恐れ多かったし、 とても実際の歳は聞けませんでした・・・。 息子さんも以前は運転してたみたいですね。 エボ何代目か?は、詳しくないので外観での見分けは自信ないです。最新ではなかったと思います。
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AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
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