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【Ａ】
「今度の広告のプレゼンだけど、ターゲットへの共感を重視して
タレント起用でいくべきかな？、それとも、商品性能の訴求を重視して
商品ビジュアルでいくべきかな？、君、どう思う？」
「ん〜、ビミョーですね〜〜」
【Ｂ】
「課長の今朝の様子、ちょっと怪しくない？」
「そうそう特にさ〜、由紀恵が近づいていった時！
何だか超ビミョーじゃなかった？」
「うん、すごくビミョ〜、ビミョ〜！！」
【Ｃ】
「ちょっとあの人、どう思う？」
「うん、ちょっとビミョ〜だよね〜」
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「微妙」というコトバ、こんな使い方してませんか？
ハラもつかってます。
先日、こんなニュースが…
（Yahooニュースより引用)
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迷ったら「ビミョー」９６％ 文化庁の語世論調査
いいか悪いか判断がつかなかった時に「ビミョー（微妙）」という言葉を使う人が５８％に上り、１０代では９６％を超えることが１２日、文化庁の日本語に関する世論調査で分かった。素晴らしいやすごい、おいしいなどの意味で「ヤバイ」を使う１０代も７１％に達した。
文化庁は「“微妙”は価値判断を避ける若者言葉だが、何とも言い表しようがないという本来の意味と近いため、４、５０代でも高い数字となったのではないか。定着するかは現時点では判断できない」と分析している。
調査は１月から２月にかけ全国の１６歳以上の男女３千人を対象に実施、７３％から回答を得た。
（共同通信） - 7月12日21時9分更新
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ちなみに､
『微妙』の本来の意味は下記の通り。
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び‐みょう〔‐メウ〕【微妙】
[名・形動]
1. 趣深く、何ともいえない美しさや味わいがあること。
また、そのさま。みみょう。
「その着物は微妙な色合いですね〜」
2. 一言では言い表せないほど細かく、複雑なさま。
また、きわどくてどちらとも言い切れないさま。
「今のクロスプレイ！、微妙なタイミングだ〜！！」
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さて、この『ビミョ〜』ですが、上記記事にある通り、
今ものすごく日常会話にでてきます、
＊＊＊
冒頭の【Ａ】は､「ん〜、（その方向性の決断はとても）ビミョ〜ですね〜」
と、被修飾語が省略されてはいますが、上記２の意味で使われてます。
＊＊＊
しかし【Ｂ】は､「何だか（その時の課長の様子は）超ビミョ〜じゃない？」
本来の意味の２番目を用いて、
「超〜なんとも云いがたい｣＝「超〜普段どおりでない｣・・・すなわち､
「明らかにおかしい！｣という内容を､明言せずに伝える手段として、
『ビミョ〜』という表現が使われています。
＊＊＊
【Ｃ】では、「うん、ちょっと（性格的に)ビミョ〜だよね〜」
【Ｂ】と同様に明言せずに伝える手法ですが､さらに飛躍しています｡
明らかに本来の『微妙』の意味をすっ飛ばして､ダイレクトに
「ビミョ〜」＝「変！｣という意味で使われています。
＊＊＊
まとめますと、
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�＾娶�を保留する時に用いる
�△覆鵑箸覆�思うことはあるが、断言できない時、
「なんとなく」の存在だけでも伝えたい時に用いる。
��「変！おかしい！」と確信しながらも、
そう明言せずにやわらかく表現する手段。
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なんとまあ、日本人的な話でしょうか？
「あなたって変よね｣・・・というより､
「あなたってビミョ〜」・・・というわけだ。
政治家の『前向きに検討いたします』と同様である。
これはこれで、コミュニケーションを円滑に進める
テクニックとして役立っているのだろう。これはこれで大切だ｡
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しかし、ハラが本当に云いたいのは、
『ビミョ〜』という言葉を使うなってことじゃなく、
こういう使われ方がどうなのかってことでもない｡
自分の意見を求められるようなファジーなシーンで、
すぐに『ビミョ〜』と答えて､
そのまま放置して片付けてしまうことが、
昔よりすごく多くなっているのではないか？ということ。
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今、表現や価値判断がものすごく簡略化されているように思える。
『最高』か、『サイテ〜』か、
そのどちらでもないものは全て『ビミョ〜』なのだ。
人間関係でも表現でも仕事上の判断でも、
中途半端でなんとも云いがたい段階っていうのは必ずある。
便利でスピーディーな世の中だからか、現代人は、
中途半端な状態に耐えられないのだ。我慢が出来ない。
反面、相手から見る自分を曖昧な位置に常に置いておきたいのだ。
だから、不確かな他人・周囲に対してなるべく明言したくない。
不確かな他人に対しては、己も不確かなものに見せておきたいのだ。
曖昧模糊なものを、すぐにでも無理矢理レッテルを貼りたい。
正誤真偽は別として、キャラが確定すると安心なのだ。
それが瞬時に出来ないものは、永遠に『ビミョ〜』フォルダに入れられる。
中途半端でファジーな状態そのものを、なんとか表現しようとしたり、
もっと突っ込んで調べて理解しようと努めたりすることが、
出来なくなったのだ。そういう時間自体に我慢が出来ない。
時代の流れにあわせてスピーディーな対応は宜しいが、
果たしてそのようなシステマチックな価値観だけでよいのか？
そういう価値観の中では、『ビミョ〜』なものは嫌われて当然。
そういう傾向が多くなってきているのは確かであろう。
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昔の日本人は、ファジーなものを捉えるのが上手かった。
『諸行無常の響きあり〜』『花の色は移りにけりな〜』
『浅黄色 岩緑青 群青色 紺碧色 常盤色 碧玉色…』
風景や想い、微妙な色合いにどれだけの和名が付けられているか。
どんなに印象派でも結局論理的な欧米詩にくらべて、
日本語詩がどんなに叙情的か。
日本人の特性であるファジーな態度や表現は
他国から悪いと云われ続けて来たものの、反面、美点でもあったのだ。
それら、ニュートラルで移ろいゆく状態のものが、
すべて『ビミョ〜』という一言で
片付けられつつあるような気がしてならない。
微妙なものを表現するとき、当然ながら誤差があり、
間違えてる可能性はあるだろう。だって『ビミョ〜』なんだから。
ひょっとして現代人は、間違いが怖いのだろうか？
誤差があった時の責任の所在は？とか思って、
「微妙｣をカタチにすることから逃げているのだろうか？
だとしたら､なんて打算的なコミュニケーションなのだろう･･･
ファジーで混沌とした段階にこそ本質があり、
すべての答えがある気がしてならない。
仕事も交際も、ファジーから発生するのだ。
『ビミョ〜』から商売が生まれ、恋愛が生まれるのだ。
でも、『ビミョ〜』としか表現出来ないなら、
あなたは相手からも『ビミョ〜』というシールを貼られたまま。
曖昧なものを捉えて表現し、
カタチにしようとする行為を避けるなら、
次第に感性が朽ちていってしまうのではないか？
そしてやがては
『０』と『１』と『ビミョ〜』だけの世界に
なってしまうのではないか？
そんなコミニュケーションだったらサルでも出来る。
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ハラは、頭の回転が遅い部類に入る人間なので、
瞬間的に言い表せなかったり、コトバが出なかったりする時に、
『ビミョ〜』と使うことは頻繁にある。
表現に感性が追いついていない段階に使う。
しかし私は、
言い表しにくい『ビミョ〜』な事象であればあるほど、
それを表現したい衝動に付きまとわれる。
人の性格の話、最近の流行や傾向の発信源について、
あの人が放ったあのコトバに真相について、
目の前にいる人がとった態度の意味について、
旅行先で見た筆舌に尽くしがたい海の色合いの表現について…
『ビミョ〜』なものを、『ビミョ〜』な状態そのままに、
コトバや絵にしてみたいのだ。
瞬時にでも間を置いてでも、
ハッキリすべき事はハッキリとしながらも、
『ビミョ〜』な状態そのものが本質であるならば、
それをありのまま受け入れて、極力表現したい。
そもそも､ファジーさを表現するには、
ある一点だけを捉えて瞬時に判断は出来ない｡
ある人について､ある一側面だけ見てレッテル貼れないのと一緒。
一定の時間、一定の広い範囲、色々な側面を見ること。
広い視野を持ってファジーな事象を捉えられて、
豊かな表現力を持って『ビミョ〜』をカタチにできる･･･
そんな人間がハラは好きであり、尊敬してしまいます。
そして、己もそうでありたいと思う。
050713
taichi
...
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AIR〜the pulp essay〜＿ハラタイチ
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