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K-1 WORLD MAX 2005 〜世界一決定トーナメント開幕戦〜
第9試合 トーナメント1回戦 K−1ルール 3分3R延長1R
魔 裟 斗(日本)○3−0● イム・チビン(韓国)
(3R判定勝ち 30-28,30-28,30-28)
「楽勝でしたね。」
試合後にこう語ったのは、「日韓イケメン対決」を制した魔裟斗。 無論、魔裟斗の方が圧倒的にイケメンなのだが、 今回感じたのは、精神的な強さが出て来た点であった。
魔裟斗というファイターについては、俺は今まで、 どこかチャラチャラした印象を持っていたが、 昨年のWORLD MAXでの決勝戦での敗退や、 あの大晦日のKID戦が転換期となったのだろうか、 挑戦者からやり直す意味で、自己改革を図っていたらしく、 それが昨日の試合中に現れていて、今までの見方を少し変えようと思った。
試合数日前、相手である韓国キック界のカリスマから 「日韓対決では絶対に負けない、韓国を代表して日本を倒す」 などと挑戦状をもらったにもかかわらず、 「ナンセンス。日韓とか俺には関係ない。俺はKー1王座奪還しか 考えていない。今度の試合はその通過点に過ぎないよ」と一蹴し、 「雑誌『LEON』を見て、シブいオヤジになりたい」と云っていた。
このコメントはまた軽い感じがしたのだが、 今日の試合を見て、このコメントは相手に対し、 「お前なんか話題にもならないくらい、俺は意識もしていない」 というパフォーマンスであったのだろう。
それと共に、「シブいオヤジ」が持つ落ち着きと風格をもって、 練習や試合に臨めるようになりたいということだったのだ。
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その通り、今日の魔裟斗は終始危なげなく落ち着いていた。 踏み込んでのワンツー、ハイキックを交わしてのカウンター、 相手の右にかぶせる左フック、接近戦でのアッパーなど、 多彩なコンビネーションパンチを軸に相手を圧していた。
いつもと違うのは、多少キックが少ないなーというのと、 左ではなく、ワンツーの右を盛んに打って出てたという点であった。
一方の韓国のエース、イム・チビンは、うわさ程の強さはなく、 調子が悪いのか、これが実力なのか、ノラリクラリとした 決定打を許さないディフェンスはたいしたものだが、それだけだった。
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敗れたイムは、試合後のコメントで
「自分の準備が足らなかった。魔裟斗選手は思った程強くはなかった。」
と、むなしい負け惜しみを云っていた。
一方、魔裟斗サイドの会長が試合後に、 魔裟斗なんと半月前の練習中に左の靭帯を延ばしていて 殆ど練習が出来ない状態で、今回の試合を止めようかと 悩んでいた事を明らかにした。
左足は、殆ど満足にキックが出来ない状態だったとのこと。
いや〜魔裟斗は本当に勝ってよかった。 負けてたら、韓国人から「K−1の元王者はこんなものか」と云われ放題だし、 負けた後に「実は靭帯を延ばしていて…」とコメントするのもカッコが悪い。 負けたら鬱憤溜まりまくったことであろう。自信を無くしたかもしれない。 すでに去年、負けを知った彼は、もう勝つしかないのだ。
そういう不本意な状態ながらも、あの試合ぶりであったことは、 相当な精神力を持ってして戦ったのだろうと想像できる。
事実、昨年までの茶髪で全身に何やら飾りをつけて戦っていた姿と比べて、 今日の彼の戦いぶりには、TV画面と通して観戦しているこちらが 圧される程のオーラがあった。彼が自らコメントしていた通り、 「これを乗り越えた事により、またひとつ成長した」 のであろう。それを得たいがために、キャンセルせず出場したのだろう。
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ちなみに魔裟斗同様、王座奪回を目指す 3年前のWORLD MAX初代王者アルバート・クラウスの 試合は初めて見たが、「上手い」の一言。 パンチ力は相手のカラコダの方が上であったが、 それを肌で感じたクラウスは、ガードを固めながらのローキックでリズムをとり、 相手のラッシュ時にガードの甘い部分をピンポイントに フックやアッパーで確実に打ち抜いていた。試合巧者である。 結局は3−0の順当な判定勝ちをおさめた。
タイプ的には非常に魔裟斗に似ている。魔裟斗以上にイケメンだし。
魔裟斗は一昨年、このクラウスを破って日本人初のK−1王者となったのだが、 特に女性ファンは、この二人のイケメン決勝戦を望んでいるだろう。
あと気になるのは、衝撃的な右フック一発でKIDをKOさせた ギリシャのマイク・ザンビディスか。 強烈なパンチ力があり、しかもコンビネーションが上手い!
KID戦も見ていたが、KIDを応援しつつも、 ザンビディスが繰り出すワンツーを見ていると、 上記のKOシーンで終わる結末の予感が1Rから感じられた。
こいつは決勝までいくかもしれない・・・。
昨年の決勝で魔裟斗を破ったディフェンディングチャンピオンのムエタイボクサー ブアカーオは、圧倒的な強さを見せたが、 魔裟斗が昨年の二の舞になるとは思えない。
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とにかく俺は今回、 魔裟斗に抱いていたチャラいイメージを捨て、彼を応援したい。 昨年負けて、怪我をして、26歳というファイターとしては決して若くない年齢になり、 たどり着くべき境地がやっと見えて来たのだろう。
「LEONに載っているような、シブいオヤジの深み」・・・
ニックネームが、「反逆のカリスマ」から 「円熟のカミサマ」に変わるのはいつか?
ファッション性に隠れていた、 彼本来が持つストイックさが目覚め始めてくれば、 王座奪回はかなう!
準々決勝、そして決勝戦は、7月!
050504 taichi
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AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
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