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- 2005年02月18日(金) ∨前の日記--∧次の日記
- 「京都議定書」発効。何を浮かれているんだ?!

97年12月に京都にて採択された「京都議定書」が、
先日2月16日に、7年の月日を経て発効となってしまった。



そもそも京都議定書とは?
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先進国などに対して、2008年〜2012年の間に温室効果ガスを
1990年比で一定数値を削減することを義務づけた。

主要国の削減率は、日本6%、米国7%、EU8%、カナダ6%、ロシア0%など。
全体では5.2%の削減を目標とした。また、国際的に協調して目標を達成するために、
温室効果ガスの排出量の取引ができる仕組みなども導入。

日本のほかEUなど125カ国・地域が批准したが、ブッシュ米政権は01年に離脱。
「京都議定書」が発効するためには、批准した先進国の二酸化炭素の排出量が
90年時点の55%以上を超えなければならず、これまで発効ができなかった。

しかし昨年11月、京都議定書の批准案にプーチン大統領が署名。
ロシアの批准によって米国抜きでも二酸化炭素の排出量が61%を超え、
2月16日の発効となったわけである。(「環境goo」より)
================================



2月16日には日本国内はもとより、各国で発効祝賀イベントが行われた。
各国首脳より
「地球は京都議定書を必要としていた」「本議定書を生んだ日本に感謝」
などのコメントが寄せられて、お祝いムード一色であった。







しかし、何をそんなに浮かれているのか?


日本にはイバラの道が待っているのを
皆さんご存知か?








**************************************



さて、

90年時点より温室効果ガスの排出について
90年比6%の削減率という目標数値を
皆さんはどう思うだろうか?








やってやれないことはない!
と思うだろうか?
でも、この先読めばきっと愕然とするだろう。






まず何よりも今現在、

90年よりも6%減らさなきゃいけないのに、
01年の時点で、90年の5.2%増加!という事実!

さあ本当にどう思います?






そこで下記を見てほしい。これは環境省が発表している
「地球温暖化対策推進大綱」の概要の一部である。

これは何かというと、環境省が京都議定書を受けて作成した、
こうやって目標のー6%を達成する!
という対策の内容が書かれているのだ。その中身を見てみると、



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1.「エネルギー起源二酸化炭素」については、
新対策投入でやっと90年並目標。つまり削減率±0%

要は、これ以上増やさないようにするのみということです。

【対策の内容】
●高性能ボイラー・高性能レーザーなどの技術開発および普及
●高効率給湯器の普及・促進。(それ以外は漠然としすぎて意味不明)
●低公害車の開発・普及。公共交通機関の利用・促進
●太陽光発電、太陽熱発電、燃料電池、廃棄物発電、その他新エネルギー
●原子力発電の推進






二酸化炭素は減らない。その大元凶は排気ガスだ。

自動車を減らせといっても無理。
だからハイブリッド車の普及に頼るしかない。


お役人方々、あなた方が真っ先に、
センチュリーベンツセルシオやらを降りて、
プリウスとか、フィットヴィッツなどの燃費のいい小型車に乗り換えろ!
いいじゃないか、パッソとかで運転手付きでも!イケてるよ!


あと、
公共交通機関の利用・促進って、
何だその取って付けたような空論は?!無理だろそりゃ。
よっぽどネタがないのか?


結局、原子力ワッショイワッショイになりそう…



そこまでしても、ここでは90年比較の現状維持でしかない。









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2.「非エネルギー起源二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素」
削減率−0.5%分

ようするに、廃棄物や下水汚泥を減少させる対策をとること。









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3.「革新的技術開発及び国民各界各層の
更なる地球温暖化防止活動の推進」

削減率目標−2.0%分

【革新的技術開発】
●省エネ型の設備開発、●自動車軽量化用材料開発、●低消費電力型電子機器開発

【国民各界各層の更なる地球温暖化活動】
●白熱灯の電球型蛍光灯への取り替え、●夜間屋外照明の上方光束のカット
●冷蔵庫の効率的使用、●節水シャワーヘッドの導入、
●事務所の一旦消灯、●無駄なコピーの縮減等




ここはかなり笑える。


こういう細かいことが環境省の大綱の概要に掲載されていることにびっくり。
いや、当然大事なことなんだけど、云いたいのは、
この項目で―2.0%分の削減対策の内容を示さなければならないところで、
その内容が「みんな、小さなことからコツコツと頑張れ!」だけ。
あと、民間の省エネ新技術に望みを託すという他力本願ぶり。

これで―2.0%削減やりますっ!って世界に宣言してんのが、笑えるのだ。



「白熱灯を蛍光灯へ・・・」「夜間屋外照明が・・・」
「冷蔵庫を効率的に使用・・・」「事務所の消灯・・・」



おいおい、何か、
東電のでんこちゃんみたいなこと云っているよ!


「無駄なコピーの縮減」って、そんな小さな事は分かっているから、
あなた方はもっと大きな削減の仕組みを考えてよ!って感じ。
やはり、ネタが無いのだ。




何だか、
最新技術と国民努力で―2.0%削減を見込んでいるのがおかしい。
これって、―6%の目標に組み込んで義務的にするものではなくて、
プラスアルファの期待値として考えるべきものじゃないの?











=============================

4.「吸収量の確保」
削減率目標−3.9%分

要するに、森林や都市緑化を進めて、温室効果ガスを吸収させる対策。








ここでなんと、−3.9%の削減を目論んでいるってのが驚き。
森林たちに―3.9%分のガスを吸っていただくってこと。


期限は2012年。


おーい、
森ってそんなに早く育つのか?


それに、育ってからしばらくの間ガスを吸収させないと
効果が現われないんじゃないか?



もっと先の第2次目標時期に見込むのなら分かるが、
2012年で森林たちに―3.9%分を背負わせるのは、ちょっと無理だろ?




この項目も、
いかに気合の数字目標であるかが分かる。








********************************



環境省「―6%」対策の
まとめ。







もうお分かりかと思うが、―6%削減という目標に対して、
環境省が世界に「この対策で達成します」と云ってる内容は、
まるで、ブリトニー・スピアーズに、


「あたし〜明日トーキョードームでコンサートやりたいのよね〜
ちょっと手配してよ、当然超満員でお願いね。」
などと頼まれて、


「ハ、ハイ!分かりましたっ、な、何とか気合で頑張ってみまッス!」
と云っているようなもんである。






********************************



では、日本以外の
各国の状況はどうなのだろうか?


日本と同様に削減に向けて苦戦が強いられる状況なのだろうか?








英国(削減目標/EUで―8%)

英国は90年以降、火力発電から転換し天然ガスの生産が盛んになった。
そのために既に1990年水準以下の排出量になっている。
これに加えて「再生可能エネルギー利用システム」へ取り組んでおり、
目標達成は大丈夫と思われる



ドイツ(削減目標/EUで―8%)

90年の時点では、東西ドイツが統合したばかりで、東ドイツの旧式設備による
温暖化ガスの大量排出が行われていた時期であり、基準が既に甘いのだ。
さらにEU全体で計算することが許されていて、遅れていた東欧諸国の分だけ、
さらに90年の基準が甘甘となる。この基準に対して相対的に8%分
良くなればよいのだから、達成には問題ないといわれている。



ロシア(削減目標/±0%)

ロシア、ウクライナなど旧ソ連諸国は、90年以降は経済停滞により
既に98年の排出が90年に比べて4割減っているのである。





アメリカ(削減目標/―7%)


アメリカに関しては日本以上にクルマ社会であり、削減には多大なコストを
投じない限り目標達成は困難とされていた。ただし日本と違ったのは、
「達成困難だからいち抜けた〜」と、京都議定書から脱退したことであった。
このアメリカの脱退により、議定書の批准に7年の月日がかかったのだ。
なんともアメリカという国民性を表している行動である。
「No」と云えずに、要は気合で乗り切ろうとしている日本と、
「ムリなものはムリ」と速攻断るアメリカ。どちらが良いのかは分からんが、
とにかく批准していない以上、目標達成義務を課せられていないのだ。




発展途上国(削減目標/なし)


今や飛ぶ鳥を落とす勢いの中国、そして韓国、インド、ブラジルといった、
今後確実に工業化が見込まれ発展する国々には、なんと京都議定書では、
数値目標が課せられていないのだ。努力目標のみである。
※アメリカはこのことにも反発していた。











要するに、日本だけが
重い十字架を背負ってしまったのだ。




******************************



目標は目標として努力した上で、
出来なかったら仕方ないんだから
世界に謝ればいいじゃん!










と、おっしゃる方
あなたは甘いっ!!


世界の100以上の国々で批准されて発効の運びとなった以上、
京都議定書は立派な「国際法」として成立したのである。


目標達成できないならば、
カネを払ってでも達成しなけりゃならない。

でなければ、政治的にも経済的にも国際的立場が弱くなり、
その影響は貿易に及ぼし、為替に影響を与え、
強いては、国民の生活に影響を及ぼすのだ。







ちなみに、京都議定書には「京都メカニズム」というものが設定されており、
その中に「二酸化炭素の排出量取引」というものがある。



これは何かというと、


例えば、ロシアのような目標達成に余裕のある国に対して

「申し訳ないが、お金を出すので、
わが国の削減できない未達成分の
ガス排出量を買ってもらえないだろうか?」

と持ちかけたり、



例えば、発展途上国に対して、

「あなたの国にお金を出して、
森林を増やしたり省エネ設備を作るので、
あなたの国で削減できたガス排出量を、
我が国の達成削減量に加えさせてくれ」

という取引を認める仕組みである。


自国で削減できない分は、他国に買ってもらうか、
他国を助けて達成した分を、自国に足してよい、ということ。









そう、お気づきだろうか?
日本の最終手段は、やっぱり、




カネで解決するしかないのだ。





おそらく膨大なカネがかかるであろう。
何せ―6%分の削減に値する設備投資額が必要だからだ。
森林であれ、省エネインフラであれ、世界に対して払わなければならないのだ。
いやだと云っても、世界から求められることになるだろう。


ロシアが最後に議定書の批准を決めたのは、
排出量取引で日本からボロ儲け出来ると、
プーチンが踏んだからに間違いないっ!




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*****************************




まとめ








議定書の発効とは別に、
地球温暖化を防ぐための個々の努力は続けなければならない。
議定書ありきの話ではない。



しかし、
こと議定書の話となると、こういう現状なのである。



世界一の排ガス排出国・アメリカが参加していない。

中国・インド・ブラジルなどの発展が見込まれる国々には義務がない。

そして、結局は国民のカネを出して形だけの解決をするしかない日本。




本当にこの議定書で、
地球温暖化への対策が進むのだろうか。





京都議定書が発効されただけで
地球環境が守られたかのような世界の騒ぎ


を見ていると、


参考書を買っただけで、
その内容を理解した気分になっている
受験生と同じ


に見えるのは俺だけか。




議定書発効云々ではなく、
企業も個人も己で出来るところを
コツコツと努力をしていきましょう。


050218
taichi
...
    

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