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(旅シリーズ その2)
サラリーマンは島へいけ。
沖縄・ケラマ、座間味島。 港から、無人島の海へ。
港からボートで渡ったその島は、白い砂と碧い海のコントラスト。 シュノーケルを着け、その海へスキンダイビングを試みる。
身体が青に溶けていく―――。
ホワイトアウトならぬ、 「ブルーアウト」
※無人島近海にて、一面を青に囲まれた視界のイメージ図↓
一面、 永遠に続きそうな純度の高い青。 その青いっぱいに、まるで幾何学模様の絵柄のような エメラルド色の幾千の魚たち・・・
その領域とは別の場所では、 華やかな珊瑚と、艶やかな魚のポップアート展示コーナー。 それは確かに素晴らしく、美しく楽しかった。
しかし、 エメラルド柄の一面の青の中にただ漂い、存在し、 その青に囲まれ、その青とシンクロし、
やがてそれにとり込まれ、 同化してもいいとさえ思えてくる 此の感覚は、
真夏の都心のスーツ族に、 あまりに甘美で危険な誘い。
ボンベ背負ってのフルダイブなら、 俺は逝っただろう。
沖縄・ケラマ、阿嘉島 新月の夜、浜へ。
砂浜に寝ころんで、 その星空に我が身を捧げてみる。
星天浴――。
天体観測というよりも、しっくりくる。
ダイナミックなまでのさそり座が、 ハサミの手からカギ型のシッポの先まで、 心臓に赤く輝くアンタレスを中心に、目の前に広がる。
新月の夜―――、
王様不在の夜だけに、 一つ一つの星たちが己を主張して止まない。 6等星ぐらいまで完璧に見えるだろうか・・・。 (北極星が5〜6等星。都心では殆ど見えない。)
織姫星(ベガ)と牽牛星(アルタイル)を分かつ天の川も 恐ろしくはっきりと見える。
都心では、 プラネタリウムでしかお目にかかれない、満点の星。 ――こう表現してみて、この表現自体がおかしいことに気づかない 都心に従属する労働者の俺・・・少し悲しくなる。
寝ころんで見上げているため、視界には星空しか見えない。 まるで我が身が、宇宙に投げ出されてしまったかのよう・・・。 宇宙という大いなる存在の中で、俺は完全に裸になってしまった。
海、そして宇宙。
逃げも隠れも出来ない空間の中で、 裸にされ、心の中まで何もかも見透かされ・・・、 悲しさ空しさ、愛しさ優しさ、全てを分かったうえで、 包み込んでくれる、大いなる空間、その空気。
そんなAIRが、島にはある。
都会のサラリーマンよ、 渇き切る前に、島へ行け。 鬱になる前に、島へいけ。
030717 t a i c h i
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AIR〜the pulp essay〜_ハラタイチ
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