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明日 咲く花
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2009年10月06日(火) 雨の日は曼珠沙華
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20代 その九
結婚への道、第九歩 孤独が好き
アイツに別れを宣言したからといって、
「別れたら付き合おう」と言われていた男性と付き合うわけでもなく、
静かな日々を送っていた。
週に1度の音楽サークル通いは続けて、帰りにはサークル仲間とお茶したり、
サークルが所属している青少年会館の催しごとに参加したり。
いたって真面目に暮らしていた。
私は真面目に暮らしていたが、家の中は普通の家庭とは違っていた。
父親は昼間からパチンコ。
夕方になると麻雀仲間が集まって来て、家の二階で麻雀が始まる。
そのまま徹マンする時もあるが、たいていは夜中にお開きになり、
麻雀仲間たちは、夜の町に繰り出す。
当時は、母も麻雀に加わっていたので、夜に出かける時は母も一緒だ。
私は、夜に家にいる時は、ぼーとテレビを見たり、本を読んだり、
化粧の研究をしたり、居間で行われている麻雀観戦をしたりしていた。
麻雀を後ろから見ている時の、男の人の背中が好きだった。
特に気に入っていた背中の男性は、私との結婚をご破算にした人だった。
破談になっても、相変わらずその人は私の家に遊びに来ていた。
何のこだわりもなく、私の事を呼び捨てにしていた。
その後、私が結婚してからも何度か彼と出会っているが、
いつも静かに「おぉ!ゆうか!」と声をかけて来ていた。
なんとも変な関係だ。
夜中の喫茶店で、照明を暗くして、大音量で音楽を聴くことも
お気に入りの一つだった。
音楽といっても、たいていはJpopだ。めったにクラシックは聴かない。
どしゃぶりの雨の日、窓の外を眺めながら中島みゆきを聴く。なんて、
最高に美味な時間だった。
山口百恵の「曼珠沙華」という曲が最もお気に入りだった。
そう、私は孤独が好きだったのだ。
たまに友人が遊びに来て、店が終わったカウンターで話し込む事もあった。
泣き上戸の友人がいて、その子との話は、最後はいつも泣き崩れて終了。
その子のお母さんは、ガンだった。
10年ほど患って、天国にいきました。
その子は、お母さんが入退院を繰り返していた家で、お母さんの代わりに
頑張っていた。いつもは陽気で気丈な彼女だけれど、お酒を飲むと
カギが開いて、哀しみがあふれ出ていたっけ。
そんな風に時をつぶしていたある日、電話がかかってきた。
アイツからではない。
アイツの勤めている洋食屋さんの店主からだった。
アイツは、私が別れを告げてから全く元気がなくなり、
本当にかわいそうなくらい意気消沈していると。
どうか、一度アイツに会って、話を聞いてやってくれないか。
そう、頼まれた。
私は、その頼みを断れなかった。
ーつづくー
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