実はボクには今、ライバルがいる。 写真のネコ(名前はスイカ)なのだ。
話すと長い話なのだが、せっかくなので話すことにするのだ。 夏の台風の前日、ボスが工房の横にいる野良猫一家(母猫と子猫4匹)を見つけたのだ。 台風が来そうなので母猫が子猫を4匹連れて引っ越して来たらしかった。
でも、母猫も子猫もみんな工房の軒下にいるのに、なぜか子猫4匹のうちの1匹だけ車庫の軽トラの荷台に隔離されていたので、アキコは「母猫はこの子猫を軽トラに捨てる気なんじゃないか」とにらんだ。 若い野良猫の母親に対して4匹の子猫はちょっと数が多い。 1匹だけ軽トラに捨てられては可愛そうだと思ったオセッカイなアキコは、母猫の留守中、隔離されていた子猫をこっそり軒下に移したのだ。
ところが・・・隔離されていた子猫は1匹だけ妙に活発で、ミャーミャー鳴きながら軒下から雨の中に歩き出してしまい、それまでおとなしくしていた子猫の1匹(目ヤニで目が開いていないバカな子猫)もそれにくっついてミャーミャー雨の中に歩き出してしまった。 母猫は、活発な子が動き回らないように枠がついた軽トラの荷台にその子だけ置いていたのかもしれない。 仕方がないのでアキコは軒下の3匹の方をみんな軽トラの荷台に移し、母猫のエサを軽トラのヨコに置いて工房に戻った。
ボスとアキコの工房は「野良猫銀座」と呼ばれている地帯(納屋の農作物をネズミから守るために、野良猫にエサをやる家がたくさんあるのだ)にあって、野良猫がたくさんいるのだ。 今までボスとアキコは子育て中の母猫や子猫にエサを与えていたことが何度もあり、エサをもらった母猫はそこをエサ場にして子育てをしていたのだ。 今回も母猫と子猫4匹が車庫で仲良く暮らすはずだった。
ところが! 数時間経った時、4匹でミャーミャー鳴いていた子猫の声が1匹の子猫の声に変わっていることに気がついた。 母猫が子猫を連れてまた引っ越しをしたらしいのだが、軽トラの荷台に子猫を1匹残したままどこかへ去ってしまったのだ。 やはり、軽トラに子猫を捨てる気だったのだ!
しかし残された子猫はあの活発な子ではなく、活発な子の後を付いて雨の中に歩き出してしまったバカな子猫の方だった。 ボスとアキコは「母猫がきっと迎えに来てくれる」と信じて母猫を待ったのだが、とうとう母猫は現れず、母猫を呼ぶ子猫のせつない声(でもひどく大きい声)が一晩中工房に響いたのだ。
ボスとアキコは猫が好きなのに(もちろん犬も好きなのだ!)仕事上、商品に猫の毛が付いてはいけないので「猫は飼えない」とずっと考えていた。 (犬の毛もつかないように、発送のある日はボクだって遊んでもらえないのだ。) ボスとアキコは「この子猫はそういう運命だったのだ」と自分たちに言い聞かせて、子猫の声が聞こえないフリをしていた。
だが、ボクが思った通り、二人とも子猫を見捨てることができなかったのだ。 特にアキコは「最初に隔離されていた子と違う子が捨てられてしまったのは自分のせいだ」という重荷に耐えられなくなったらしい。 幸い、工房は犬のブリーダーをしていた人が住んでいた家で、居住空間とは別に動物を飼うことができる「動物小屋」がたくさんあるので、ボスとアキコはこの子猫を、動物小屋の1つで飼うことにしたのだ。 (ボクがいる運動場も、たくさんの犬が遊ぶための運動場だったので広いのだ。)
そんな訳でたまごや石鹸堂の仲間が1匹増え、ボクにライバルができたのだ。 この子猫「スイカ」は今、ボクの運動場の隣の動物小屋に住んでいるのだ。
アキコがボクだけでなく子猫もかわいがっているのを見るとボクはちょっぴりジェラシーなのだが、アキコが子猫の世話に来る度にボクにもビスケットをくれる(しかも行きと帰りにくれるので子猫1回にビスケット2個なのだ!)ので、ボクは子猫がいても我慢することにしている。 なんと言っても、子猫とアキコの付き合いはまだ2ヶ月ちょっとだが、ボクとアキコの付き合いはもうすぐ9年になるのだ。 この10月でボクは9才になるので、さらに我慢強いオリコウな犬になってもっとたくさんビスケットをもらうのだ。
あぁ、我ながら今日の日記は長かった。
↓スイカ
スイカの「動画」がここにあるのだ↓ 【1】拾われたばかりのスイカ 【2】1ヶ月経ってやけに元気なスイカ
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