暖かい雨も降ったことだし、そろそろボクの庭にも大好きなキュウリグサ が花を咲かせたに違いない。 そう思ったボクが庭のクローバー畑をじっくり見ていたら、やっぱり小さ い花が咲いていた。
さっそくボクは助手のアキコに報告し、写真を撮ってもらった。 キュウリグサはアキコも大好きな花なので、張り切ったアキコは地面に這 いつくばって、ピントを合わせづらい小さな花を必死になって写真におさ めた。 隣りに咲くハコベと大きさを比較するための写真も撮り、これでバッチリ だ!とボクもアキコも思ったのである。
しかし、撮影した写真を見たアキコが「これはキュウリグサじゃない」と 言い出した。「全然違う!」と。 ボクも見てみた。そうしたらやっぱり違った。全然違う!のだ。 これはたぶん、ペンペン草の小さい時・・・だろう。
キュウリグサでなかったのは残念だったが、この花もかわいい花なのだ。 かわいい花だったのでアキコもきっと満足しているだろうと思って見たの だが、アキコは這いつくばった時についた服の泥を見つめていた。 アキコは黙って何も言わなかったが、キュウリグサじゃない花のために服 に泥がついてしまったのが不満そうであった。 アキコだって、必死に写真を撮っている間、キュウリグサじゃないという ことに気づかなかったくせに、まるでボクが悪いみたいなのだ。 あぁ、早くキュウリグサが花を咲かせないかな。
|