今日ボクはとても嬉しい。 なぜなら、ボクの庭の隅にフキノトウが顔を出したからである。 そういえばボクが生まれて初めて誉められたのは、このフキノトウを見 つけた時であった。
生後3ヶ月の小さいボクがボスとアキコのところにもらわれて来た時、 ボスもアキコもボクも山の中に住んでいたのだ。 そして毎日ボスやアキコがボクを散歩に連れて行ってくれた。 (ちなみに今はボクがボスやアキコを散歩に連れて行ってやっている。)
慣れない山での暮らし、よく知らないボスとアキコとの暮らしで、小さ いボクはいつも何だか不安でドキドキしながら暮らしていたのだが、あ る時、散歩中にフキノトウを見つけてアキコに教えてやったら、アキコ がとても喜んで、ボクをとても誉めてくれたのだ。
ボクがオリコウな犬になったのはあの瞬間からだったかもしれない。 その後しばらくボクはフキノトウを見つける度にアキコに教えてやった ので、「フキノトウ探しの名人」と呼ばれていたのだ。
ボクは今だってフキノトウ探しの名人なのだ。 今日もフキノトウを見つけてアキコに教えてやったら、アキコはとても 喜んで、ボクをとても誉めてくれた。 いくつになっても誉められるのは嬉しい。 ボクはますますオリコウな犬になってしまいそうである。
|