ボクの庭の隅にツツジやボケの木があってよく見えないのだが、最近お 隣の畑の隅にきれいな紫色のものがちらちら見えていた。 ボクは紫色のものに気づいてからずっと、あの紫色は一体何なのかがと ても気になっていたのだ。
今日、ようやくアキコがそれに気づいて「あれ、何か紫色のものがある」 と散歩の時に脇道にそれてくれた。 お隣の畑の隅に咲いていたのは写真のノコンギクであった。
ノコンギクというのは野に咲く紺色の菊のこと、つまりはそのまま名前 の通りの菊である。 この季節、この辺りではどこにでも菊の花が咲いているので、ボクは気 になっていた紫色のものが菊の花であったことに正直少しがっかりして しまった。
でもよく見たらこのノコンギクはとてもきれいな色であった。 ノコンギクには色の薄いのから濃いのまでいろいろあるが、この花たち は特別に濃い色をしていて、お花屋さんで売っている花にも負けないく らいきれいである。 この菊たちはボクを見て「なんだ、犬か」と思っていないような顔をし ている。 お日さまの方を向いて笑っているような菊たちをほんの少しでも「また 菊か」と思ってしまったボクは自分が恥ずかしいのだ。 ボクもこの菊たちを見習ってもっとヨイコにならなければ。
|