dependance diary** 2004年10月、彼が逮捕されました。
突然の出来事に戸惑いながらも奮闘した日々。
そして2005年2月、執行猶予4年と言う判決を受けて彼が戻ってきました。
そんな私達の毎日を綴ります。


dependance diary**





■初公判<前半>
2005年01月11日(火)


ついにこの日が来た。






去年まで着ていたリクルートスーツに久し振りに腕を通す。
自分の体の形に合わせていた筈のこのスーツはブカブカで
スカートなんか折らないとずり落ちてくるほどだった。
いつの間にこんなに痩せたんだろう…



ブカブカのスーツに身を纏いながら裁判所へ向かう。
彼の公判が行われる裁判所は予想以上にとても高く、大きかった。
初めて足を踏み入れる法廷もテレビで見ていた法廷よりもはるかに広く、
沢山の椅子の数に一瞬グラッと来た。。。


私は弁護士さん側(向かって左)の列の一番前に座った。
情状証人としての資料を渡され、記入させられた(名前生年月日住所)。
資料を書き終えると同時に右側のドアが開き、
彼が現れた。
傍聴席に居る私を見つけるなり、
彼は少し微笑んだ。







彼が歩いてくる…
ガシャンガシャン、と言う音。
初めて見る彼の両手に手錠・腰縄姿。
覚悟はしていたものの、やっぱりその姿を見るのは辛く、
彼は立派な犯罪者なのだと、改めて感じた。





彼は下を向き
弁護士さんの前の席に警察官2人に囲まれて座った。









そして裁判官3人が入ってきて開廷。







彼が真ん中の証言台に立たされ
裁判官から誓約をさせられる。
そして検事からの罪状認否が読み出され、
(これがすっごい早口で何を言ってるのか分からない^^;)
時折彼に証拠品を見せ「これに見覚えはありますか?」「あります。」
検事が何度か資料を裁判官達に渡す
と言う一連のやりとりが淡々と行われた。
弁護士さんが何かを話してすぐ、情状証人の時間が来た。
彼の尋問が先だと思っていたのでビックリした。







木の塀を越えて中に入る。
彼の横にある真ん中の証言台に立ち宣誓を読み、
椅子に座る事を命じられた。




まず弁護士さんからの質問が始まる。
今思えば全部打ち合わせしていた通りの内容ばかりだった。
しかし、緊張の余り、何が何だか分からなくなってしまい、
自分でも何を話しているのか分からなくなった…。
検事からの尋問もとても厳しく、悔しくて、涙が出た。
考えていた事が上手く言えない…でも言わなくてはいけない…
手も足も震え、顔が赤くなったのも自分でも分かった。






無我夢中だった。





弁護士さんと検事達の尋問が終わると
裁判長からの質問が始まった。
裁判長は私に優しく、ゆっくりと、
先ほど質問された事とほぼ同じ事を聞いてきた。
落ち着きのある裁判長の優しい笑顔に私はホッとし、
さっきよりは答える事が出来た。
私が答える度に笑顔で頷く裁判長。





「最後に、
 彼に言いたい事があれば、
 彼の方を見て言ってあげて下さい。」





ビックリした。
彼の方を見て話して良いのかと。
私がえっ…って顔をしていると





「大丈夫ですよ^^」






ゆっくりと横に居る彼の方を向く。
手を伸ばせば触れられそうな距離。
正直、そこで彼の腕に飛び込みたかった…
私は彼を見つめ、彼も私をまっすぐ見ていた。





「頑張って更正してください。
 一緒に頑張って生きましょう…お願いします。」







これが精一杯の言葉だった。。。





彼が唇をかみ締め、コクンと頷いた。。。





「内妻emi*さんの証言は以上です。」


私は彼の横を通り、
傍聴席へ戻った。





私はこれで良かったのだろうか・・・
私の証言した事は正しかったのだろうか・・・
彼の為になったのだろうか・・・



分からない。
ちゃんと考えていた事を言えなかった自分。
裁判官に想いは伝わったのだろうか・・・






















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