声優さんと映画とアニメと
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2007年01月11日(木) 機内映画鑑賞報告

アメリカテキサスへの出張便(成田ーシカゴのJAL便)で見た映画の概要と感想です。

「All the King's men」 (2006年アメリカ)
主演:ショーン・ペン、ジュード・ロウ
共演:ケイト・ウィンスレッド、アンソニー・ポプキンス他
1949年アカデミー受賞作のリメイク?
ギャングオブニューヨークなどの脚本家スティーヴン・ザイリアン監督作品で、アカデミー再来の呼び声も高かったらしいが、アメリカでの興行収入的におおはずれだった作品。なのですが、かなり面白かったです。
主人公ショーンペン演じるウィリー・スタークははじめ田舎の無名の政治家で、不正と戦い弱者や田舎の虐げられた人々を救済する野心に燃えて、やがて民意をつかんで州知事になる。彼の燃えるような演説は虐げられてきた弱者の人々の勇気を書き立てる説得力があり演じるショーンペンの演技も迫真である。
しかし、そんなスタークが知事になったとしても、彼を支持しない富裕層や大企業からの圧力のため議会の抵抗も強く、がて権力を行使するにはそれなりの政治的なやり方があることを知りそれを身に着けていく、すなわち悪をもって悪を滅ぼす悪からの善を主張し実行。そんな彼を地方の小役人時代から見守り、支援の記事を書きながらもアンニュイな態度でスタークを見守る若き新聞記者がいた、それがジュードロウ演じるジャック・バーデン。スタークは知事に当選した直後、自分を支援する記事を書き続けた彼が記者を首になったのを知り、自分の側近とするべくジャックを呼び寄せた。もともとスタークを支持しない富裕層出身のジャックであったが、スタークの側近となり、彼の政敵を追い落とすための情報収集を仕事として彼の下で働き始める、そしてとうとう知事の弾劾に賛同を表明する育ての親のような元判事(ホプキンス)と対立することになる・・・

この作品、映画として面白かったですし構成も内容も素晴らしかったのですが、手放しでべた褒めにできない微妙な空気というか、脚本の出来がたぶん微妙なのと、演出に中途半端さが目立ちました、惜しい作品です。とにかくショーン・ペンの熱演が目立ちますが、実際にこのショーン演じるスタークという男がまず表現しきれていない(これが最大の欠点)。主人公でありながら、特に後半に向かって人物描写があいまいになって失速、一方のつかみどころがなく何を考えているのかわからないアンニュイな空気を漂わせるハンサムでいかにも上流出身という記者のジャックが、実はこの作品のメインの主人公であり、彼の人生とスタークにかかわったせいで変わってしまう彼の環境や彼の心理がこまかく描かれていて、ジュード・ロウファンが一番おいしい作品。彼(とむかし何かあったらしい)の幼馴染として登場するケイトウィンスレッドが美人で目を奪われるシーンもあるが、彼女の性格描写がかこれまた複雑。ただ特に後半に向かってジャック(ジュード)の母の愛人(社会的地位のある元判事)として登場するアンソニーホプキンスとジュードロウの静かな演技対決は、なかなか。元判事とジャック、ジャックと母の関係描写から家族の空気をにおわせながらも、ジャックが持つ人との係わり合いを希薄にする雰囲気のせいで、このあたりの人間描写が特にミステリアス。やがてお話は後半、主役がスタークからジャックに完全に移行。じわーんと泣いてしまいました。うーん、終わり方はあんまり好きじゃないなぁ、もう一ひねりほしかった、というかもうすこし先まで描いても良かったのではないかと思える終わり方だった。
結論、ショーンペンとジュードロウのファンは手放しで面白いので是非見ましょう、政治もの、サスペンスもの、社会派ドラマ好きという方には、前半と後半での主題のずれも含め、焦点がボケぎみでまとまりに欠いたメッセージみたいな印象を持つかも・・・。
とにもかくにもシュードが美形でした。今回は字幕で見たのですが、是非声は美声で育ちのよさがにじみ出る演技を得意とする森川さんに再び演じてもらいたいなぁ・・・

「リトル・ミス・サンシャイン」2006年アメリカFOX作品
これが最高に面白くて素敵な作品だったので、ちょいと今調べました。

主な出演者
アビゲイル・ブレスリン - オリーヴ
グレッグ・キニア - 父・リチャード
トニ・コレット - 母・シェリル
スティーヴ・カレル - 叔父・フランク
ポール・ダノ - 兄・ドウェイン
アラン・アーキン - 祖父

ちょっと太めでめがねっこのオリーブは憧れの美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の最終審査にひょんなことで出られることになる。しかし、同じ日に同性愛の失恋から自殺未遂といういわくつきの大学講師の叔父が家にやってくる、彼女の家にはパイロットになれるまでの沈黙の誓いを断行中の反抗期の兄、仕事をやめて事業を起こそうとしているが空回りの父、コカイン中毒で養護施出戻りの祖父、そしてそんな家族全員を面倒見る母という家族に囲まれて暮らしていた。そのオリーヴのために、とにかくさまざまま個人的問題を抱えたまま、家族全員が1台の黄色い古いバス(フォルクスワーゲンかな?)に乗って千数百キロかなたの会場まで行くことになる。旅の途中のどたばたによって、どんどん各家族の置かれている状況が悪化していくにもかかわらず、どんどん家族のきずなが強まり結束していう様子がほほえましく素晴らしい、家族愛コメディ作品。とにかく何が起こるかわからないはらはら感を手放しで楽しめる作品。ほのぼのできることこの上ない。見終わってこんなに嬉しくなった作品はビックフィッシュ以来。
ネット情報によれば、サンダンス映画祭での評判からFox Searchlightが配給権を高額で獲得し話題となったとのこと。2006年7月公開、上のAll the King's men よりずっと売れた作品。(予算はずいぶん違うというか、こっちはぜんぜん予算がかかってないのではと思うのですが・・・笑)

主人公の女の子の自然な演技がとてもかわいらしく、周囲の家族の変人ぶり、それを滑稽ともしないで淡々と進むお話の組み立ても自然な人間関係の描写で好印象、しかし、車の故障やおじいちゃんにかかわるエピソードでの顛末で家族のどたばたが笑わせてくれるし楽しい。これはチャンスがあれば是非みて和んでいただきたい作品。
ちなみにこちらも字幕でみましたが、お兄ちゃんのドウェインには是非にも宇宙戦争で好演した野島君を、お父さんのグレッグギニアにはできれば松本保典さん、おじいちゃんには斉藤士郎さんが(ダーマ父)がいいなって脳内変換しておりました。脚本さえよければ、このテのコメディは吹き替えが最高にはまる作品のはずです。

今回、ディパーテッドをはずすと新作の洋画は上記2本以外にSCOPEとかもありましたが、寝てしまいました。でも最初に見た2本は、なかなか大あたりでした。


まいける2004 |簡易メールシルバーナの船室(コラム)

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