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2005年06月09日(木) アルジャーノンに花束を

実は初日と千秋楽の2回分のチケットをもっている。
なにがって、きかっけはセイントライブイベントでの、平田さんのビデオレター、動く平田さんをじっくり拝見して、この人のナマのお芝居を是非味わってみたいと、思った。
それで、劇団昴のアルジャーノン公演の情報を、平田さんご本人公認サイト様で確認し、サイトのリンクをお借りして、平田さん割引でチケットを確保することが出来た。感謝です。
ところが、昨日の発熱のせいで仕事を1日さぼったしわ寄せが出社した私の仕事メールで待っていた。そのお願いを読んだ瞬間、あらら、これは今日はやばいぞ5時サッサは望めない・・・と予感。普通に考えても、なんの予定が無くても、このせっぱ詰まったお願いは、期日を訊いてちょっと切れそうになるたぐいのお願いごとだったが、ここは冷静に考えて、(出来る、やれるぞ自分)と自分に言い聞かせ、ちょっと集中してがんばりました。おかげ様で、予定より1時間強遅れたが、なんとか職場を後にできた。正直、時計が午後4時を回ったときには、一瞬今日はだめだ、と思ってあきらめかけたが・・・やっぱり初日のどきどき感だけはかけがえのないものがあるし、それは音楽でもお芝居も一緒だろうと思うと、なにが何でも行きたくてがんばりました。
なんという集中力(笑)毎日こんなふうに働いてみろ(と自分に言ってみる・・・苦笑)社長になれるぞ(やだ忙しすぎる)

そんなわけで、開演予定時刻の20分すぎに運良く劇場へ到着。飛び込んだ三百人劇場(昴さんの根城?)はとっても駅に近くて行きやすくて助かりました。でも、やっぱりお芝居は始まっておりました。

それにしても、凄いですねやっぱり、平田さんは掛け値なしに最高の役者平田広明さんでした。この人の魅力を満喫できます、外画以上に素晴らしいお芝居を全身全霊で魅せてくれます。とてもステキでした。

そうそう、実は私は大きな勘違いしてた「アルジャーノンに花束を」(ダニエル・キイス作の有名なSF小説)、この話って、人格が24ぐらい有る人の話かと思ってましたが、違いました。(スミマセン)
アルジャーノンというのは天才になったネズミの名前、主人公のチャーリー・ゴードン役が平田広明さんなんですが、IQ68の知恵遅れでパン屋さんの使いっぱしり、それが(最初を見てないので、ちとわからないが)ネズミのアルジャーノンで成功した治療法を試そうとする医療チームの人体実験に協力して手術を受る、その結果急速に知能が発達し、いつしか誰もが追いつけない超天才になってしまう、しかし天才が得たものは少なく失ったものははかり知れず・・・やがて彼の兄弟とも言えるネズミの様子がおかしくなってゆく・・・

私最近、目があんまり良く見えない状況(コンタクトの度が合わない昨今)でして、一瞬舞台で喋ってる平田さんが、この間TVでオンエアーされた映画の「アイアムサム」(主演の知恵遅れの父役ショーン・ペンを平田さんが演じた)が抜け出てきたみたいで、ショーンペンが居るのかと勘違いしそうなほどのフラッシュバック。そして知性が高まるとどんどんサンジさんに近くなっていった気が(爆)。一番印象に残った脇の方としては、お父さん役水野龍司さん(外画でおなじみのベテラン)そしてお母さんの林佳代子さん(最高のベテラン)、そうそう チャーリーが勤めるパン屋さんのお兄ちゃんの一人のジョー・カープ役が、最近森川さんとの吹き替え共演がやたらに目に付く鉄野正豊さん、ちょっと軽くて乗りのいい若者役で出てました。みなさん良い声なんで、鉄野さんだけが特別目立つという感じではなかったですが、ご本人をみるのは初めてなので、とっても気になって見てしまいました。
あと印象に残ったのは、医療研究チームの方々、いい人なのか、私利私欲の人なのか・・・さまよってましたね。
そうだな・・・初日なので、この人固いってぞという印象の方もいたけど、さすがにリハーサルを積んでこられただけあって、ミスはほとんど気がつきませんでした。

それから、演出や脚本にはスピード感があって、ステージセットも万能なヤグラ足場構成のシンプルイズペスト(おまえらよりはしっかりしてます)、場面展開や切り替えに長い暗転がなく(長い暗転は都合3回ぐらいだった)、演出も台本も相当に練り込まれ、着替えも含めて役者さん達の鍛え込んだ動きには、さすがプロの神業をみている気がしたし、とくに、あの真っ暗闇で、どうしてあんなに素早く(ずっこけたり、ぶつかったりしないで)小道具を隠して、位置を移動して、早変わりしてできるのか、すごいと思った。
なんだか、私が鳥目になったのだろうか・・・それぐらい暗転は暗かった。バックは音楽をほとんど使わず、良くここまで全部セリフで場をつないで行けるのかと唸らせるほどに脚本が良かった。そんなわけで、全体の70%ぐらいをセリフもモノローグシーンも含めた平田さんの独演場状態。
お疲れさまでした、といいたい。

以下横道。昴でのアルジャーノンは初めてじゃなくて、パンフをみると以前には牛山茂さん(わお、外画では2本に1本ぐらいでてるよこの人)が十八番でチャーリーをやられていたらしい(面白そうだ)が、今回、平田さんがチャーリーを演じるのは2回目(たぶん)、演出や台本も一新とのことなので、演じる皆さんも見る側も新しいお芝居を初体験する感覚だったように思う。

マジのお芝居を見るのは20年ぶりぐらいだったが、やっぱり音楽もお芝居もナマのダイナミックな魅力は一緒だ。演じる方々の息づかい、気力、気持ちがすべて手にとるように伝わってくる小さい会場だったので、身じろぎするのも忘れて見つめ続けた。
正直、初日で平田さん的にはまだ手探りの部分もあったのかもしれない、その部分は千秋楽で完成版をみせてもらう、ライブとはそんなものだ、だからこそ、同じ演目だとわかっていても、おなじアーティストのステージを繰り返し見てしまうのだ、ナマの演技だからこそ、毎回ミラクルな瞬間がいつ訪れるかは保証できない、客席との一体感、役者のリズム、共演者たちとのシンクロ、すべての歯車ががっちりかみ合ったとき、奇跡の瞬間がおとづれる。それは一瞬かもしれないし、延々と続くかもしれない、千秋楽でミラクルが頻繁に観れるといいのだが・・・今日見たミラクルは、やっぱりお母さんとの再会かな、もう、涙が一気に溢れて前が曇った。それから最後は雪崩のように心をゆさぶるシーンの目白押しだったが、なんとか冷静に見つづけた。(そこかしこから鼻をすする音が聞こえた)

以上、長々と書きましたが、感想みたいなものです。

さて、次はミュージカルを見たい。ラスベガスで見た「WE WILL ROCK YOU」をもう1回みたい。

やばいな、お芝居にはまりそうな予感、やぱっぱり事務所は都心がいいなと思ってぼやいてしまう。出張も身軽に飛び回れなくなる・・・やばいやばい


PS.ガラスの仮面の始まる直前にスパイダーボーイのDVDの宣伝やってました、残念ながら森川さんの声は聴けないけど、それにしても、このC級映画でTVCMとは、驚きました。


まいける2004 |簡易メールシルバーナの船室(コラム)

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