胡桃の感想記
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2005年06月05日(日) |
「モーツァルト!」梅田芸術劇場 |
☆東宝ミュージカル☆
【Cast】井上芳雄 市村正親 山口祐一郎 西田ひかる 高橋由美子 久世星佳 阿知波悟美 花王おさむ 吉野圭吾 高橋愛子(アマデ) ほか
「僕はウィーンに残る」のシーンで井上ヴォルフガングに白いカツラを投げつけられ、足に当たった山口コロレドは“ううっ・・・”とダメージを受けていた。 どうしよう、山口さんってばおかしくなっていくのが止まらなくなっている(笑)。
久世ヴァルトシュテッテン男爵夫人にウィーンに誘われると、アマデは行きたがるのだが、井上ヴォルフガングは父姉に対し迷っていた。 山口コロレドとの決別後、自由になったはずなのにアマデと対立。 「影を逃れて」(ここで一幕終了)から井上ヴォルフガングと高橋アマデの対立は明確になっていた。
西田コンスタンツェはぶりっ子役作りが、もう受け入れられない。 プラター公園の“子どもみたいっ”と“家にくる?”は計算高さを感じるぶりっ子で、もうやめてーと思ってしまう。 しかも今日は、「乾杯、ヴォルフガング」では歌詞を間違えて歌えなくなっていた・・・新人じゃないんだから、上手く誤魔化して欲しかった。初めて観る人も多いだろうに、何が言いたかったのか、ちっとも分からなかったよ。二人が・・・何?!みたいな。 この人って、最近ドラマとか舞台に出ているのかな?というか日本に住んでいないんじゃないの。だって台詞が、外国の人が上手に話す日本語みたいだったもの。初演より、井上さんの演技力が格段に良くなっているし、きっと中川さんも上手くなっているだろうから、何だか浮いてしまうのだ。 歌は上手いかもしれない。でも音楽にのせて感情と言葉を伝えるのがミュージカルだと思うので、それでいくとメインナンバー「♪ダンスはやめられない」もイマイチだった。悲しみもありつつ、後半は怒りで強くなるはずなのに裏声の綺麗な声で歌っちゃマズイでしょ?
私は初演の日生劇場とドラマシティの松たか子さんしか観てないけど、飾らない直球のコンスタンツェで「♪ダンスはやめられない」も迫力だった。演技も上手で喜怒哀楽メリハリがあった。
勿論、ヴォルフガングも井上さんと中川さんは違うから、一緒でなくてもいいけど、昨日初めてみたぶりっ子には唖然としたなぁ。 もう少しやさぐれていて(笑)。
「魔笛」シーンの“MOZART!”垂れ幕は今日も微妙だった。昨日はいきなり布が勢いよく落ちてきたけど、今日は布が引っかかって“ん?何か書いてあるの?”状態(まー私は知っているけど)。 しかも、それを眺める井上ヴォルフガングの間が長く感じて“どうしようかなぁ”と言っているようだった(笑)。それを高橋アマデが“えいやっ!”(←そんな事は言っていない)と引っ張って、二人で取り合いして、井上ヴォルフガングが取るまで無駄にドキドキしてしまった。
高橋ナンネールは、しっとりとした綺麗なナンバーで、父・市村レオポルトとのデュエットが多い。初演は、上手だけどちょっと負けちゃっている感じがしていたけど、今回は力強さが加わって、市村さん・井上さんと歌う時も存在感を出していた。
井上さんも高橋さんも初演も上手だった。でも今回の成長ぶりに驚いた。井上さんの場合は、プラス演技力も。いい意味で余裕があり、ちょっとしたナンバーの間や台詞の後にも“ヴォルフガング”が表れていた。初演はホントにいっぱいいっぱいの限界を超えた熱演だったんだなぁ。あの頃は新人だったし、それはそれで良かったと思う。
松本幸四郎さんも「ラ・マンチャの男」を若い頃から演じているようなので、井上さんや中川さんも何年も何十年も演じてほしい。とりあえず15年は大丈夫!!
パリから母を無くし一文無しで帰って来たヴォルフガングを、カフェで皆が噂するシーン(シカネーダー登場前)は、とても笑えた。市民たちが、コロレド大司教、アルト伯爵、レオポルト、ヴォルフガングの真似をするのだけど、皆さん気合が入っている(笑)。 特に上手なのがレオポルト役の人で、気合が入っているのはアルト役の人かな。コロレド役は楽しそうだけど、ヴォルフガング役は靴にキスだもんなー、美味しいのか貧乏くじなのか(笑)。 それを見た井上ヴォルフガングは、当然怒って喧嘩。でもその後のシカネーダーのナンバーの時、さりげなく下手でコロレド役だった肉屋(野沢さん)にステップを教わって仲良くなっているシーンがたまらなく好き。 そして今、「ローマ人の物語」でカエサルを読んでいるので、“ブルータス、お前もか”というシカネーダーの台詞にちょっと過剰反応(笑)。
井上ヴォルフガングはうっとりする裏声と、父への悔恨シーンでの狂った感じが恐ろしくてとてもよかった。
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