胡桃の感想記
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2005年06月04日(土) 「モーツァルト!」梅田芸術劇場

☆東宝ミュージカル☆

【Cast】井上芳雄 市村正親 山口祐一郎 西田ひかる 高橋由美子 久世星佳 阿知波悟美 花王おさむ 吉野圭吾 高橋愛子(アマデ) ほか

三年ぶりの再演。
井上ヴォルフガングは伸びやかな高音のテノールは変わらないが、男らしく安定感が増した歌声。細かいところまで行き届いた演技で、台詞も時々裏声が出て表現力が豊かになっていた。

台詞のない高橋アマデは何を考えているのか分からなくなる時がある。
仮面舞踊会(悪夢)のシーンでは、優しく井上ヴォルフガングを案内しているかと思えばどつきまわしていたし。

イメージが違う西田コンスタンツェは一幕オープニングの墓探しの台詞で大丈夫だと安心したのに・・・ブリッコ(死語)すぎる。若々しい感じにしたいのかもしれないけど、元々声が可愛らしい人なので、変に作りすぎず自然にした方がいいと思うのですが。所々の仕草やポーズもブリッコだったし。後ろから見ればいいかもしれないけど、近くで見ると無理やり若作りを感じました・・・。母親の阿知波セシリアや姉妹たちに「芸術家よ!」と言い返す台詞と絶叫シーンは自然で強さが表れていて良かったけど。歌は上手いけど「ダンスはやめられない」の後半はもっと感情的に強く歌って欲しかった。大切なところで歌詞が聞こえないんだもん(まぁ私は歌詞分かるけど)。品は大切だけど、ブリッコと上品さはいらない。

高橋ナンネールは歌声が力強くなっていて更に上手になっていた。パパの市村レオポルトとのデュエットはどれも綺麗で何だか泣けてくる。

山口コロレドは初演の日生劇場よりドラマシティの方が面白くなっていたけど、今回は初日から面白かった。馬車の出発シーンではいきなり背もたれの壁に頭ぶつけるし、途中のトイレシーンでは、もういっぱいいっぱいで足をガクガクさせながら移動しているし(笑)。
しかしさすが帝王・・・いえ今回は大司教様ですが「神よ、何故許される」のナンバーはもう劇場の空気が震え、空間すべてを包み込むような熱唱だった。拍手ももしかして一番長かったかもしれない。

吉野シカネーダーの登場シーンは何だか面白くなっていたみたい。ステッキ使いにちょっとヒヤヒヤしたけど、シカネーダーがいると舞台の雰囲気が“陽”になって楽しいから好き。

久世ヴァルトシュテッテン男爵夫人も初演より熱唱だった。この人だけあまり老けませんね・・・ヴォルフがあんな子どもの頃からいるのに。

初演とあまり演出の変更は無かったように思う。バックのスライド映像も使いまわしが多々あるものの(笑)、綺麗で見やすいしセンスもよかった。「エリザベート」のドットの荒いのじゃなくてよかったよ・・・。そしてオープニングのアンサンブルは迫力で涙が出そうになった。(初演と同じ反応の私)

「レクイレム」を仕上げる井上ヴォルフガングと高橋アマデのシーンはとても印象的。自分が死んだらお前も死ぬと言われたアマデが、ゆっくりと常に持っていた白い羽ペンをヴォルフガングに差し出す。ずーっと一緒いて愛し合い、そして憎しみあった二人だけど最後の選択は二人で選んだというラストがとても好き。短いとはいえ満足した人生だったのかなぁと。

初日と言う事で、井上さんは「僕?!」と言いながらご挨拶。演出家の小池修一郎さんと作曲家シルヴェスター・リーヴァイさんを呼ぶ前には市村さんのアドバイスに「さすがパパ!」と言いながらスタンディングの客席に着席を促していた。

魔笛シーンで“MOZART!”の垂れ幕が勢い余って早く落ちてしまい、ただの布を取り合う井上ヴォルフガングと高橋アマデ・・・というちょっと訳のわからないシーンになってしまったのを小池さんがカーテンコールの舞台挨拶で説明して謝っていた。初日ならではの失敗・・・みたいな?リーヴァイさんは英語で涙を流して感動したと西田ひかるさんに通訳してもらった後、用意していたメモを見ながら日本語で挨拶してくれた。とても上手な上に長かった(英語の挨拶は通訳いらないくらい短かったのに)。日本のカンパニーは一番いいとのことです。リーヴァイさんの日本語に感動でした。ちなみに小池さんとリーヴァイさんは8列目センターでのご鑑賞。・・・良い席(羨ましい/笑)。


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