胡桃の感想記
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2005年01月08日(土) |
「アイーダ」大阪MBS劇場 |
◆CAST◆ 濱田めぐみ、森川美穂、福井晶一、有賀光一、大塚俊、石原義文、岩下浩、井上麻美 ほか
いつか観ようと思いつつ、気づいたら2月千秋楽発表であわてて確保したチケット。 1階では分かりにくい照明も見てみたいなと思い、今回は珍しく2階最前列での観劇だった。
舞台は現代の博物館。様々なエジプト展示物を見て回るお客さんたち、そして四角い箱の前で立ち止まる男女2人。そして歌声が聞こえてくるのだが、誰が歌っているのか分からず探すと、展示品の女王が歌っていた。 威厳のある風貌と歌唱力で、物語は過去へタイムスリップ。
古代エジプト。侵略してきたエジプト軍将軍ラダメス率いる軍隊に囚われるヌビアの女たち。 福井ラダメスは短髪に髭ととても男らしい感じ。ただ最初、赤い衣装が派手すぎて違和感だった。 何より低すぎず高すぎず聴きやすくて声が格好イイ。 今回は2階席で、目鼻はあまり見えないのでもう雰囲気と声でオッケーって感じ。 しばらくすると、あんなに違和感だった赤い衣装も格好良く見えてきてしまうのだから、舞台って不思議(笑)。 父・大塚ゾーザーが奴隷の女たちを鉱山へ行かせようと止め、収穫班へまわす福井ラダメス。鉱山は生きては帰れない程、厳しいところなので、ここでラダメスの優しさポイントがアップ。 まぁ、奴隷として拉致された方としてはこの“優しさ”も何さって感じだけど。
そしてこの奴隷としてエジプトに来るとき、船中で一騒動起こしたヌビアの王女アイーダはラダメスの印象に強く残った為、エジプト王女アムネリスの侍女となる。 濱田アイーダは強くて凛とした雰囲気。ハスキーで力強い歌声はさすがである。 支配者としてのラダメスを心変わりさせていくのも頷ける程、同性から見ても魅力的だった。 舞台は短時間でストーリーが進む為、出会った瞬間に恋に落ちるのも多く、一体どこに惹かれたのか分からないまま燃え上がっていることが割りとある(苦笑)。 しかしこの作品は、ラダメスがアイーダに惹かれていく過程がとても丁寧だった。
奴隷になっても誇りを失わず自分に正直なアイーダに対して、アムネリスは“おしゃれ”などで仮面を被っていたのと、コミュニケーション不足で本当の姿がラダメスには伝わらなかったのかも。 登場シーンは華やかで、そしてアムネリスのちょっと天然っぽさも表れていて楽しい場面。ファッションショーなんかもあるのだが、そのファッションが近未来ですごいセンスなのも笑えた。 森川アムネリスは「アイーダ」オーディションで入団した方だからか、歌い方や雰囲気がちょっと四季とは違った。 もともとの可愛らしい声を最大限に生かした華のある歌い方だった。 四季は“スターを作らない”方式らしいので、わりと皆さんオーラを出さないようにしているのかな・・・他の舞台のメインキャストとはオーラが違うと言うか・・・(その良し悪しは個人の好みなので置いておいて)。 だから、森川アムネリスを観ていると「あれ?四季の舞台だっけ?」とちょっと新鮮な気分になった。
登場シーンから綺麗で可愛い森川アムネリスにうっとりだった私(笑)。 濱田アイーダが侍女として着た時、目も伏せずに堂々としているのに対し 「何故、震えないの?」 「震えた方がいいですか?」 「・・・いいわ、そのままで」 ちょっと天然系で育ちの良さが表れていて可愛い!!
そして、ラダメスの小姓(みたいな感じ)の有賀メレブ。 割とさらりと登場しているのだが、とても重要キャラで若いのにいろいろな裏の顔と過去をもった人物。 見た瞬間、薄幸オーラが出ているなぁと思ったら・・・その通りだった。分かっていたのにラスト近くで、慣れない剣で戦い倒れてしまうシーンは涙・涙。 実は彼はヌビア人で、10年前に捕虜としてエジプトに連れてこられ(当時まだ子ども)殺されそうになったのをラダメスに助けられ、以後彼の下で働いていたのだ。 収容されているヌビア人たちの橋渡しになったり、いつか国へ帰ろうとコツコツと王宮からお金をくすねて貯めていたり・・・と若いのにしっかり者。 ちなみに貯めたお金は、ヌビア王(アイーダの父)救出の為に使われることとなる。 その上、王とアイーダを逃がそうと戦い死んでいく・・・。私の中では「アイーダ」のヒーローはメレブって思えるくらいだ。 メレブの父は王宮務めだったので育ちの良い。 何故こんなにメレブを詳しく書いたかというと、もちろん彼に惹かれたのも大きいが、パンフレットあらすじに全く彼のことが書かれていなかったからである(重要キャラなのに・・・)。 有賀さんは今回のメインキャストで唯一何度も観ている人。 四季初観劇の「壁抜け男」から、「夢から覚めた夢」「アンデルセン」など、実年齢は知りませんが、“少年役”が自然に似合う人。 四季で“少年役”が似合う男性って貴重だと思うので、このまま若々しさを持ち続けてほしいなぁ。
大塚ゾーザー、ラダメスの父で陰謀(ファラオの娘アムネリスとラダメスを結婚させた後、ファラオを亡き者にして権力の座を狙う)の首謀者。 大塚ゾーザーは銀髪で(2Fから観ると)衣装も学ランっぽくて若々しかった。福井ラダメスと並んでも、ホントに父子か?と何度思ったことか・・・。 そしてゾーザーの部下達も学ラン仕様(長ランで裾が広がる衣装)で密談のたびダンスしまくりなので、とても格好良い。2階席からなので、舞台の照明や彼らの並び方などもしっかりと楽しめた。
私ってダンスを観るのも好きだったんだなぁと再確認。
互いに惹かれあったラダメスとアイーダ。 侍女アイーダを“友達”と言って悩みを相談するアムネリス。 第二幕のアイーダは国と自分の愛の間で何度も揺れる。父王を助ける為、一度は諦めようとしたラダメスへの想いも結局断ち切れず、最終的に愛を選ぶ。 一方、アムネリスは結婚式前日に2人の関係を知り、それでも式に臨む。そのシーンはダイアナ妃がモデルだとパンフレットに書いてあった。ダイアナ妃も結婚式目前に皇太子から恋人の事を聞かされていたそうだ。式の2日前位には姉に式を取りやめたいといっていたとテレビでみたばかりだったので、さらになんだか生々しい。 この事を知ったのが観劇後で良かった・・・とても悲しくて観ていられないかも。
しかしラダメス、アイーダに猛烈アタックする前に、アムネリスの方をきちんとしてほしかったわ。結婚式1週間きっているのに「結婚しない」とか言わないように!
アイーダも何度あなたに言いたかったか・・・とアムネリスに言うけど、そんな素振りはなかったように思えるけど・・・?(見落としたかしら?)
アイーダとアムネリス、二人の王女はいつの間にか立場が逆転していた。 すべてを捨て愛を選んだアイーダ、愛を失い国を選んだ(というか選ばざるを得なかった)アムネリス。 毒を盛られ余命僅かな父王ファラオに、堂々と後継者を名乗るアムネリスは凛としていて美しかった。 そして愛するラダメスとアイーダを思っての選択・・・エジプトの地に“二人一緒に”生き埋めという処刑。 愛する人をすべて失って、王座につくアムネリスの今後をいろいろ考えさせられるラストだった。
ラダメスとアイーダは一緒に死ねたし、現世(来世?)でも結ばれるみたいだから、良かったねってことで。(やけにあっさり感想)
ラストシーンは現世の博物館。中央の大きな箱は、二人が処刑された時に入れられたもの。その前で出会う二人。 オープニングで迫力ある歌声を聴かせてくれたのは、アムネリス王女だったと最後に初めて分かった。
カーテンコールで最後までアイーダとラダメスは白い現代服だった。 濱田アイーダは白いワンピースで可愛らしいからいいけど、福井ラダメスは普通過ぎて普通の人が紛れ込んだようにしか見えなかったので、第一幕の赤い服で出てきてほしかったなぁ。 福井ラダメスは森川アムネリスをエスコートして退場するときもあったのだが(アムネリスは古代衣装で裾が長いし)、ラストのラストでは濱田アイーダと熱〜く見つめあって退場していた。 そして下手では大塚ゾーザーに腕組をして退場していた森川アムネリス・・・客席から笑いを取っていた。
もう一度、しっかり観たかった作品だった。 でもその時も森川アムネリスと有賀メレブで!←四季はキャスト発表が遅いから狙えないし、もう千秋楽だから無理だけど。
ちなみに、アイーダとアムネリスの友情はミュージカルのオリジナル設定だそうだ。 来月は宝塚版“アイーダ”「王家に捧ぐ歌」観劇予定なので、こちらも更に楽しみになった。トップの娘役さんがアムネリスはおかしいなぁと思っていたが、この「アイーダ」を観た今は、納得納得。
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