| 2010年08月18日(水) |
八月花形歌舞伎 「東海道四谷怪談」 |
17日(火)の夜に観てきました。
ちょー猛暑な夏の夜にふさわしいお話ですねぇ。
日本人として大変に正しい形で夏の夜を満喫した気分ですよ。
四谷怪談はあまりに有名すぎて、ちゃんと知っている気になっていたのですが、
赤穂浪士の討ち入りに絡めたお話だったなんて、全く存じ上げませんでしたよ。
日本人として本当に無知でごめんなさいまし。
見た目は最高にオトコマエなのだけど、実は冷酷なサイテー男、を演じる海老さまは、
いつもながら惚れ惚れするおとこっぷりでいらっしゃる。
海老さまの声って、歌舞伎役者のなかでは、なんか現代風というか、ちょっと
ほかの人とは違うように聞こえますね。何がどう違うかと言われると説明できないのですが。
でも、あの目ぢから鋭く、凛々しくも妖艶にもなれるビジュアルとあのステキな声は、
スター(歌舞伎では千両役者と言うのかしらん)にふさわしい魅力だと思います。
が、今回なんと言っても素晴らしいのはお岩を演じる勘太郎。
細やかな感情表現がそのまま、細やかで美しい所作のすべてに込められていてお見事。
2階席から観ていたのですが、あのお岩さんの動きのひとつひとつは、
至近距離でガン観したいなー、と思いましたよ。
今回ももちろんイヤフォンガイドに助けてもらいました。
お岩が隣人からもらった「身体によい薬」(実は顔を崩す毒薬)を飲み干す場面では、
いただいた人への感謝を何度も言いながら、拝むように丁寧に粉薬を扱う手さばきがとても細やかで
リアルなのですが、ガイドが「この独特な手の動きに客席から笑いが起きることがありますが、
これはよくありませんね。ここは、その動作のひとつひとつからお岩の感謝や治りたいと思う気持ちを
しっかり感じ取っていただく場面です」みたいなことを言っていて、なるほどなぁ、と。
客席で笑いが起きている様子はまったくありませんでしたが、こうやってちゃんと鑑賞の仕方や
気持ちのくみ取り方を教えてもらえるのは、初心者には本当にありがたいです。
勘太郎はお岩を含めて計3役をこなし、終盤では戸板の裏表にくくりつけられた別々の幽霊に
なってたりするので、その戸板返しの早替わりなども見所でとにかく大活躍。
お岩さんが幽霊になってからは、舞台装置もさらに大掛かりで派手で、燃えつきた提灯から
幽霊がぬーっと現れる「提灯抜け」などをはじめ、幽霊があちらこちらに現れ、客席にも現れるという
大サービスで楽しかったです。
歌舞伎の演目をひとつ観ると、日本人としてのお勉強もひとつさせてもらえたような気がして
嬉しいっすね!
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