せらび
c'est la vie
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みぃ


2005年06月01日(水) もう夏到来かとやきもきさせる微妙な天気

巷では大学生らが夏休みに突入した。

非常勤や常勤の講師をしている友人らは、今頃期末試験や論文などの採点で大忙しである。



そういった事情とは全く関係が無いのだが、ワタシは今他人の書いた論文を読んでいるところである。

これはワタシの若い友人が書いたもので、ワタシ自身が今手掛けている仕事内容と重複する点があるという話を聞きつけたので、それは是非読ませてくれと頼んだのだが、これがまあこうはっきり言ってしまうのは難だが、相当拙い出来で一寸驚いている。

外国人同士だから、他人の文章にケチをつけるのは甚だ気が引けるのだが、先ず目に付くのは句読点の扱いに関する間違いがそこいら中に散らばっている点で、これは相当目障りである。そして不適切な引用箇所多々、文章にあってはならない口語的・慣用的表現多々、幾つもの論点がひとつの文章に押し込めてあって意味不明な文章多々、更にスペリングの間違いや大文字・小文字の選択間違い多々。

多くは、ワードプロセッシング・ソフトウェアに備え付きのスペルチェッカーやらグラマーチェッカーやらを利用すれば、未然に発見出来た筈のものである。明らかに、彼は自分の力を過信している。まあ自分に自信を持つのは良い事なのだが。


ひょっとして彼は、これをもう提出してしまったのだろうか。それは不味いな。

もしワタシが彼の教授だったら、採点以前の問題で、先ずやり直しを課すだろう。

と言っても、これは教育的配慮のある教授ならではの措置であって、この国の大学教授が全てそんなお慈悲をくれる訳ではないのだが、何しろワタシは慈悲深い人間なので学生の訓練という点を先ず重視するだろうと思う訳である。

無慈悲な教授なら、この程度の出来の論文を平気で提出した時点で、何も言わずに「C」とか「D」とか、余程意地悪な教授なら「F」なんていう採点をするだろう。この「F」というのは落第で、単位さえも貰えないから、金と労力が無駄になるという事である。

しかし、百歩譲ってこれらの文法的間違いが一切無かったとして、内容だけ取ったところでどうだろうと考えると、幾ら慈悲深い「みぃ教授」をもってしても、大学院での及第ギリギリの「B」が精々ではないかと思われる。「B+」には及ばず、「B」かまたは「B−」でも充分かと思われるくらいの、理論展開も不十分な、誠にお粗末な論文である。


ちなみにワタシが大学院で授業を取っていた頃には、相当意地悪な教授というのが何人もいて、初年度にはこっぴどく「C」というのを喰らって泣いた事もあるから、決してエリートぶって偉そうな口を利いている訳では無い。



海を越えた余所の国々の大学院を経験した同僚に言わせると、この国の教育システムに比べればあちらは「糞」だという事である。

お下品な言い方でごめんなさい。でも、本当にそう言ったのヨ、あのヒトたち。

何しろ社会科学系の修士なんか一年こっきりで、ろくすっぽ理論なんかやらないって言うんだから、もう吃驚。博士課程だって、三四年も掛けて論文だけ書かしてくれるんですって。その間お金貰えて、総合試験なんかも無かったりするって言うんだから、そりゃあクソだわな。

だからあちらで学位を取ってこちらへやって来た人々が、理論など肝心な事を何も知らなかったりするという事態が、実際良く起こる。

そしてもっと困るのは、そういう輩が何とか自分の無能さの穴埋めをしようとして、ボスが見ていない隙にズルしたり人の揚げ足を取ったりなどして、ワタシなどのような苦労人の足引っ張りをする事なのだが、そういった愚痴は既に述べたのでここではもうやらない。



それにしても、この友人をどうするか。

文法を見てくれと頼まれた訳では無く、読んで感想を聞かせてくれろという話なので、一先ずワタシの率直な感想を述べるしか無いだろう。

自分がこういう立場になってみると、その昔拙い文章を書いて平気でそのまま提出していた自分を思い出し、読む方もさぞかし迷惑だった事だろうと、今になって教授の苦労を思う。

そしてそんな糞な文章を大量に読まされるような職業に付いていなくて、本当に良かったと、密かに安堵したりもする。


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