せらび c'est la vie |目次|昨日|翌日|
みぃ
朝起きたら物凄く乾燥していて、大急ぎで寝床の脇に用意しておいたグラスの水を飲み干す。それから三四杯続けて飲むのだけれど、まだ水分が足りない気がして、顔を洗いながら水をぴたぴたとやって、スクワランオイルを付けてみる。これ程の乾燥状態は珍しい。 ラジオでも今朝の街はすっかり凍えていると言うので、髪を切りに行く計画について暫し迷う。しかしこの週末は吹雪くらしいから、だったら今日行ってしまうに限るかと思い直す。ちなみに今日の気温は最低マイナス12度、最高マイナス7度、体感気温はマイナス21度との事。大気中の水分は30から40パーセントと言うから、成る程、乾燥している訳だと納得。 さて、もう此処まで来たら、序でだから、ワタシの住まいの様子に付いてすっかり述べてしまおうと思う。細かい話になって恐縮だが、これはワタシの覚書に近い状態になってきているので、読者の皆様にはその旨ご了承頂く事にして、話を進める。 元来書斎などというものを持つような身分ではないのだけれど、ワタシの現在の住処には幸運な事に部屋数に余裕があるので、台所と寝室兼居間とは別に、書斎を設けている。大した広さではないのだけれど、此処には商売道具である本や書類の数々で一杯の本棚や箱等が並べてある。 これは、 以前にも少し述べたけれど、ワタシという人間が不釣り合いな業界に入ってしまって以来、ただ我武者羅に追い付かなくては、早く一人前にならなくては、と懸命になった結果、その職業的研究的プライドの為に彼是と取り揃える羽目になった品の数々でもある。 これは商売柄必要な範囲の量には違いないけれども、とは言えワタシ個人のこの業界に対する心情的な旬が過ぎたというか熱が冷めてしまったというか、そういう今となっては、残念ながら心をときめかせる類の物では無い。 つまり、これも「死蔵品」のうちに含めても良いのではないかと思うのである。これらは、現在のワタシの所有物の中で最も目障りな物たちである事には違いない。これは、単に見かけの嵩だけの問題ではなく、こうした心理的しがらみという点も考慮すると、非常に厄介で心の痛い代物である。 こういう事態に至ったのは誠に残念ではあるが、しかしワタシは今のところ、出来るだけ早期にこの業界から足を洗いたいと望んでいる。そしてひとたびそれが実現した暁には、まずこの書棚に幾重にも積み上げられた大量の本を、速やかに処分する所存である。 以前試みに、これらの中から一生のうち何度でも読み返したいと思うような、ワタシの人生に本当に必要な本、というのを取り出して箱に詰めてみた事がある。するとそれらはほんの十分の一以下、例のビール箱にして二箱くらいに見事に収まってしまったから、何だ結局そんなものだったのかと、我ながら一寸呆れてしまった。 そして面白い事に、自分で選んだ道だった筈なのに、この二箱の中には、業界関連のどの本も含まれていないのである。何という皮肉。そしてそれにも関わらずワタシが費やしてきた月日と金額を思うにつれ、ワタシは呆然とする。 これらの蔵書以外に、現在六箱程にぴちぴちと詰まった様々な資料のコピー類も、殆どが不要になるだろう。本当の重要書類というのは、税金関係や領収書の類のものに限られ、恐らく箱一つか二つ程度に収まるだろうと想像している。 これらの死蔵品・不用品を一切合財処分する事が出来たら、どれだけ気が晴れる事だろう。ワタシはその日を待ち望んで、その日の為に生活を進めていると言っても良いだろう。普通はもっと建設的な目標を立てるものだろうけれど、こういう風にこれとこれを終えさえすればもうこれらをすっかり処分出来るという開放感の為に事に精進するというのも、また一案である。 早くこの状況から抜け出し、本棚毎そっくり処分する心地良さを味わう日が来る事を、ワタシは心の底から祈って止まない。 次回は、この所あんまり寒いので気が引けるのだけれども、衣類についてをまとめる。
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