せらび c'est la vie |目次|昨日|翌日|
みぃ
周囲の盛り上がりを他所に、クリスマスとは全く無関係なところで、相変わらずに進んでいるワタシの日常。 昨日辞書を買って来た。 この街に引っ越してくる時、車に積みきれなかった本や書類関係を箱で幾つか送ったのだけれど、そのうち一箱届かなかったのがある。 その中には、主に日本語の文庫本やらペーパーバッグ等の、小さい本たちが入っていた。ワタシが長年愛用していた辞書もその中に含まれていて、鼻を近づけると古本独特の匂いがしてうっ!となったけれども、しかしそれなりに愛着もあったので、新しいのを買おうか迷っていた。 そのうちハードカバーの大きな卓上辞典を買った。電子辞書も持っていたので、語彙は少ないものの、暫くはそれで何とかやっていた。しかし流石に語彙が少なすぎて色々と差し支えるようになり、片やハードカバーのは持ち運びに不便だし、どうしたものかと思案しているうち、これはやはり手頃なペーパーバッグの辞書を買うべきだろうという結論に達した。今頃。 それで、季節外れに横殴りの酷い雨が降る中、気合を入れて本屋まで遠征して来たのだ。 本屋が好きである。古い本屋が特に好きだが、真新しいビルディングの本屋も、それはそれで気分が良い。 久し振りの本屋は、少し配置が換わっていて戸惑ったが、それでもワタシには充分過ぎる程の品揃えで、気持ち良く辞書を選ぶ事が出来た。 結局、浮気心を抑えて、以前持っていたのの改訂版を買う事にした。一単語試しに引いてみて、見比べたのだが、例えばワタシが持っているハードカバーの辞書のペーパーバッグ版ではその単語自体が載っていなかった。随分定評のある辞書の筈なのだけれど、さてはこの程度は誰もが知っているものという示唆であろうか。そんな事では、ハードカバーの方はいずれお役御免にしてしまうぞコラ。 実は既にそれを考えている。この業界から足を洗った暁には、この部屋にある本棚を埋めて更に隙間も埋め尽くしている本の山を十分の一くらいまでに処分する心積もりで居るのだけれど、実際大きな辞書は面倒で中々手にする機会が少ないから、それならば思い切って小さいのだけ残して処分しても良いだろうと考えているところである。 こういうものは、家を構えて、腰を据えて暮らしている人には、是非置いておきたい物のひとつではあろうが、何しろワタシは独り者だし、先の知れない暮らしをしている訳だから、却って尻を重たくしてしまうような気がするのだ。 それに所詮辞書の類のものは、何年かすれば時代遅れになってしまって、新しい語彙が載ったやつに買い換えていく性質のものでもある。そういう時に、大きなハードカバーの辞書よりは、小さく手軽なペーパーバッグの方が経済的な痛手も少なくて良い。大きい辞書が居るような調べ物が必要になったら、図書館に行けば良いのだ。いつでも最新のものがあるのだから。 そんな訳で、ひとたび図書館の重要性を行動範囲の中で再認識すると、そこへ行けば買わないでも済むような本を、わざわざ良くもまあ沢山買ったものだなと思う。それは職業的研究的プライドの様なものの所為である。確かに、足を運ばずとも済むように手元に置いておいて好都合なものも沢山あるのだが、まあ無ければ無かったで良かったかも知れないとも思う。
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