Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 ここがヘンだよレディーファースト
2006年07月22日(土)

 僕の知っている女性で、非常に気が強く、失礼極まりない人がいます。この女性は僕より少し年下で、僕はあまり親しくはないのですが、一応仕事上一緒に活動したりすることがあるロックバンドのメンバーで、ボーカルを務めています。

 彼女は自分は平気で周りの人間に対して失礼極まりないことを言ったりするのに、自分が同じようなことを言われるとすぐに怒り、さらにことあるごとに男に対して“レディーファースト”を強要する、とてもわがままな人なのです。
 しかし、その反面容姿は非常に恵まれていて、さらにスタイルもいいことから男性にちやほやされていて、彼女のことをよく知っているバンドのメンバーを除く多くの男性は、喜んでレディーファーストと言って彼女に先を譲ったりしています。

 レディーファーストとは、皆さんもよくご存じの通り、ドアを通る時、椅子に座る時などに、女性を優先する欧米のマナーですが、僕的にこのマナーを解釈するならば、レディーと呼ぶにふさわしくない女性に対しては、例え相手が女性であっても優先する必要はないということです。つまり、自分が無礼者であることを棚に上げて男にレディーファーストを強要するのはちゃんちゃらおかしいということですね。だいたいレディーファーストは本来、男性が女性を気遣って行うものであり、女性が男性に対して要求すること自体間違いなんですよ。

 ちなみに、僕は日本男児として、この女に媚びるようなレディーファーストという欧米のマナーはとても嫌いです。ですからよほど好きな女性か好感が持てる女性でない限り、特に女性に限って先に譲ったりするということはありません。もちろん欧米に行ったときも、基本的には女性を特別扱いすると言うことはありません。
 こう書くと誤解を受けそうなので付け加えておきますと、単純に“譲り合い”“思いやり”の精神を言うのであれば、女性に限らず自分に余裕がある限りは老若男女譲ればいいことですし、僕のことをよく知っている方々ならご存じだと思いますが、心が広く精神的に余裕がある僕は、あらゆる場面で女性に限らず見ず知らずの人に道を譲っています。

 そもそもレディーファーストというのは先に述べたように欧米の文化で、日本でそれをするというのは本来間違いであり、「女性に優しい、礼儀正しく強い男」を演出しようと、日本でレディーファーストなどと言っている男性はちょっとどうかと思いますし、それをされて喜んでいる女性も何だかなあと思います。

 レディーファーストは、女性の立場を尊重しているというより、女性を“弱く自立できない人間”“庇護されるべき対象”とみなしているということなんですよね。様々な場所で「男女平等!」と叫んでいるくせに、ドアを通る時、椅子に座る時だけレディーファーストはないだろう……。

 レディーファーストのわかりやすい例として、1906年に起こったタイタニック号沈没の際に、イギリス人紳士たちが女性と子供を優先的に救命ボートに乗せ、多くの紳士がタイタニック号とともに沈んだという有名なエピソードがありますが、まさにこの当時の貴族の女性は“弱く自立できない人間”“庇護されるべき対象”だったのかもしれませんね。それでも、主人公のローラのように気高く思いやりがあり思慮深い女性ならいいですが、多くの貴婦人たちは強欲で浅ましく、人の不幸を笑っていられるようなマリー・アントワネットであっただろうことは想像に難くありません。そんなレディーたちのために命を落としていった紳士たちは、実に哀れですな。

 ちなみに、レディーファーストは元々、中世ヨーロッパで、騎士が自分の身を守るため、女性を盾として先行させたのが始まりであると言われています。つまり最初の意味合いでは、女性を犠牲にして男性が助かるという、まったく正反対の意味だったんですね。



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