Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「DEATH NOTE」の小畑健を“L”風に考察してみる
2006年07月18日(火)

……「デスノート」……今まで読んだこともないような漫画だ……。

絵の上手さは言うまでもないが、ストーリーがずば抜けている……。

こんな漫画が世の中に、それもこの日本に存在していたとは……。





……描いているのは……小畑健……37歳。

新鋭漫画家だと思ったら、漫画家歴17年のベテランじゃないか……。





私のプロファイリングでは、

この繊細で緻密な画風からして、鋭い感性と独特の想像力を持った

現代的な若者だと分析したのだが……間違っていたのか……。






「デスノート」の前の「ヒカルの碁」から一気に名を挙げたようだが……

こんなすごい作品を描く漫画家が、なぜ今まで注目されなかったのだろうか……。





……いや……





この場合、なぜこの小畑健が、

いきなりこれほどまでの作品が描けるようになったのか……

その観点から考えるべきだろう……。





「ヒカルの碁」は1998年から2003年まで5年間も連載され、

単行本も全23巻まで出版された出世作だ。

世界唯一の囲碁漫画として脚光を浴び、囲碁ブームまで巻き起こした作品……。





……たまたま……なのか……?





たまたま今まで誰も描いたことがなかった囲碁漫画を描いたら、

それが思いがけずヒットしたとでもいうのか……?






そしてその後の「デスノート」までも……?





……いや、そうじゃない……





いくら長く漫画を描いていたとは言え、

それまで名の知れていなかった漫画家が、

いきなり立て続けに2本の大作をたまたま生み出すなど、

そう簡単にできることではない……。





「ヒカルの碁」にも「デスノート」にも、原作者がいる!





出世作の「ヒカルの碁」にはほったゆみ、

そして「デスノート」には大場つぐみ……

二つの作品の至高のストーリー性は、

むしろこの2人の原作者を評価するべきだろう……。






……なるほど……






小畑健は画力はずば抜けていたがストーリーテリングに欠け、

そこに類い希なるストーリーテリングの才能を持つ原作者が現れ、

その恩恵を受けていたということか……。






そう考えるとすべてのつじつまが合う……。

思い返してみれば、彼のその他の代表作である

若貴兄弟を描いた「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」にも宮崎まさる、

アニメ化された「人形草紙あやつり左近」にも写楽麿という原作者がいた……。





逆に1989年に連載開始されたデビュー作「サイボーグじいちゃんG」は

完全な小畑健のオリジナルだったからか、わずか31話で連載が終了している……。

そして「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」と「人形草紙あやつり左近」は、

原作者がいたにもかかわらず連載期間は極めて短い……。





画力は当時からずば抜けていたというのに……だ。





「力人伝説〜鬼を継ぐもの〜」は、

当時ブームだった現役力士の若貴兄弟を題材としているゆえ、

そう長くは続かないということは、おそらく本人も認識していただろう。

そして「人形草紙あやつり左近」も、

あやつり人形と推理モノという、少年漫画としてはかなり地味な内容ゆえに、

読者が付いてこられなかったというのも容易に想像できる……。





……つまり小畑健は、「ヒカルの碁」と「デスノート」、

立て続けに素晴らしい原作に出会うという幸運に恵まれ、

そのチャンスを活かしてヒット作を生み出すことができたというわけか……。





……小畑健の画力が申し分ないのは言うまでもない。






だが、いくら絵がどれだけ上手かろうとも、

ストーリーが面白くなければ読者は付いてこない……。

それが漫画家の悲しい宿命でもある……。





小畑健ほどの画力をもってしても、

読者はストーリーの面白さにしか目を向けないものだ。

そしてそれが、小畑健が「ヒカルの碁」まで大成しなかった

最大の理由……。





しかし……だ……。





それならば、逆の発想はどうだ……。





絵が下手でも、ストーリーが面白ければ……

いや、少なくとも読者さえ付いてくれば……

その漫画は長生きする……。





えんどコイチの「ついでにとんちんかん」がそのいい例だ。

あの画力で、しかもあの内容で単行本18巻も出したんだ……。

怖ろしい話だが、あれは漫画界の特殊なケースと言えるだろう。





つまり、画力は優れているが

ストーリーテリングに欠ける漫画家が成功するには、

小畑健のように、優れた原作者と組む以外ないと言うことか……。





……似ている……





……武論尊と原哲夫……





……あるいはゆでたまご!!!





小畑健が今後も生きながらえようと思ったら、

今後も才能のある原作者と組み続けていかなければならない……。





……絵の才能は非常に恵まれているというのに……。





……天は彼に……二物を与えなかったと言うことか……。








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