Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 F1、バトンBAR残留決定!
2005年09月21日(水)

 F1では、現BAR・ホンダのジェンソン・バトンが、来季はウィリアムズとの契約を交わしているものの、バトン自身が来季もBARに残留したいと強く希望し、BARもバトンの残留を望んでいるため、3者による交渉が続いていました。その交渉がようやくまとまり、今日正式にバトンのBAR・ホンダ残留が発表されました。
 本来であればバトンは来季、ウィリアムズとの契約に基づいてウィリアムズへと移籍するはずでしたが、BARに残留したいバトンとバトンを引き留めたいBARが、バトンとウィリアムズとの間に交わされた契約自体を買い取ったようです。

 そもそもバトンは、昨年の開幕前からトップチームであるウィリアムズへの移籍を希望しており、BAR側は自分たちの契約の方が有効であると主張し、裁判沙汰にまで発展しました。しかしその結果、バトンの契約はBAR側が有効であるとの結論に達し、バトンは2005年までBARに残留し、ウィリアムズとは2006年に移籍する契約を交わして決着が着きました。

 ところが、昨シーズンはBAR・ホンダが思いの外活躍してコンストラクターズランキング2位、逆にウィリアムズは低迷してしまいました。ウィリアムズの低迷は今シーズンも続き、さらにエンジンを供給しているBMWが今季限りでウィリアムズと決別し、ウィリアムズは来季コスワースエンジンに格下げとなってしまうため、ウィリアウズの魅力が薄れてしまい、バトンはウィリアムズへの移籍からBARの残留へと心変わりしてしまったのでした。

 BAR・ホンダとしても、実力は折り紙付きのバトンが残留してくれれば願ったり叶ったりなわけですから、それならバトンが残留できるよう何とかしようと、ウィリアムズとの金銭的な交渉が開始されたのでした。
 最初のうちはウィリアムズ側も、いくらお金を積まれてもバトンを手放すつもりはないと一点張りでしたが、結局BAR側が20億円とも30億円とも言われているお金でバトンとウィリアムズとの契約を買い取るという形で決着し、バトンは晴れてウィリアムズの拘束から解放されたというわけです。

 この結果、すでに現フェラーリのルーベンス・バリチェロがBARに移籍することが決まっているため、来シーズンのBARのドライバーラインナップはバトン&バリチェロのコンビとなり、現在BARに乗っている佐藤琢磨は、事実上来季のBARでのレギュラーシートを失ったことになります。

 ジェンソン・バトンは、昨年のウィリアムズ移籍騒動と言い今回のBAR残留問題と言い、非常にわがままな振る舞いが目立ち、チームと交わされた「契約」というものをあまりにも軽く考えているとしか思えず、特に佐藤琢磨ファンの間ではかなり批判を浴びているようです。
 しかし、僕個人的には、例えバトンが「ああしたい、やっぱこうしたい」とわがままを言ったとしても、その対象であるウィリアムズとBARが最終的にそれを承諾し、一応円満な合意に至ったわけですから、そのこと自体は別に問題はないのではないかと思っています。まあレーシングドライバーとしては、より強いチームで走りたいと思うのは当然のことですし、契約していたウィリアムズが予想外に低迷し、さらにBMWエンジンも失ってしまうなんてことは、バトンがウィリアムズと契約を交わしてた時点では知るよしもありませんからね。それでも、本来は「契約は契約」なんですが……。

 なぜジェンソン・バトンのわがままがここまでまかり通ってしまうのか?このことに関して、ある琢磨ファンの方が「地獄の沙汰も金次第」という言葉に例えていらっしゃいましたが、僕はそれは全然違うと思うんですよね。バトンは実力があるから、BARもウィリアムズも、バトンの才能が欲しいからここまで取り合うわけで、一言で言うなら、「実力がすべて」なんですよ。F1とはそれだけドライな世界なんです。
 そう言う意味では、最終的にバトンがBARに残留し、そのバトンに大きく実力で離され、結果を残せなかった佐藤琢磨がBARを放出されてしまうのは、当然の結果だったと言えるでしょう。チームとしても、より実力のあるドライバーを乗せていい結果を残したいわけですからね。

 ただ、僕は今回バトンを残留させるために、BARが20億円とも30億円とも言われる大金をウィリアムズに支払ったというのは、賢明な判断ではなかったと思います。いくらバトンに実力と才能があるからと言って、1人のドライバーのためにそれほどの大金を積むのは、チームとして馬鹿げているとしか言いようがありませんね。それだったらバトンは諦めて琢磨を乗せ、バトン残留のために使う予定だった大金をマシン開発に当て、よりマシンを進化させる方が、チームとしてはいいはずなんですけどねえ。
 思い出してみてください。そもそもBARは99年からの初参戦から2003年までの4年もの間浮上できずにいましたが、高い契約金が足かせとなっていた元チャンピオンのジャック・ビルヌーヴを放出した途端、飛躍的にチームが進化したわけですからね。

 僕としては、バトンにはウィリアムズに行ってもらい、琢磨に残って欲しかったです。昨年のバトン移籍騒動で当時のBARチーム代表のデビッド・リチャーズが更迭され、代わりにニック・フライがチーム代表に就任しましたが、ニック・フライのチーム運営はどうもドライバーの実力に頼りすぎている感じがしますな。きっとデビッド・リチャーズだったら、僕の希望通りというか常識的な考え方として、バトンはさっさとウィリアムズに移籍させ、大金はマシン開発に有効利用していたでしょう。

 いずれにせよ、BARは来季資金不足でそれほど速いマシンを用意できないのではないでしょうかね。シーズン中のマシンの開発も途中からストップしてしまうのではないでしょうか。そしてウィリアムズが来季復活してタイトル争いに名乗りを挙げようものなら、バトンはBARに残留したことをとても後悔するでしょうねえ。

 でももしそうなっても、もう君のわがままは通用しないよバトン君。



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