Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 ポーラ・ラドクリフ、念願の世界タイトル
2005年08月14日(日)

 元F1チャンピオン、ミカ・ハッキネンの出身地であるフィンランド・ヘルシンキで開催している世界陸上は今日、最終日を迎えましたね。

 今月6日から始まった世界陸上は、9日に為末大が男子400メートル障害で今季自己最高タイムの48秒10で2大会ぶりの銅メダルを獲得し、アメリカのジャスティン・ガトリンが男子100メートル、200メートルの2冠を達成、13日にはロシアのエレーナ・イシンバエワが女子棒高跳びで自身の持つ世界記録を1cm更新する5m01の世界新記録を樹立して金メダルを獲得、同日の男子マラソンでは日本の尾方剛が銅メダル獲得と、何かと見所が多かった大会でした。

 あいにく僕は今週色々と忙しくて世界陸上をまったく観ることができず、ネットのニュースで結果を読んだり深夜のスポーツニュースで観て知ることしかできなかったのですが、僕としては為末の男子400メートル障害での銅メダル獲得とともに、今日行われた女子マラソンの結果が嬉しかったです。
 メダルが期待された日本女子マラソン代表は、原裕美子の6位が最高で、97年アテネ大会から続いていたメダル獲得を5大会ぶりに逃し、団体も2位にとどまり、連続優勝は「4」で止まってしまいました。しかし、女子マラソンと言えば僕の中では何と言っても印象深いのが、イギリスのポーラ・ラドクリフです。

 世界記録保持者のラドクリフは、世界中の期待を集めた昨年のアテネ五輪で序盤は先頭に立ちましたが、25キロ過ぎの野口みずきのスパートに対応できず、体調も崩して36キロ付近で座り込み、涙を流しながら棄権。さらにその後傷心のまま挑んだ5日後の1万メートルも6000メートルでトラックを離れてしまったあの光景は、まだ皆さんの記憶にも新しいことでしょう。
 今回の世界陸上では、「自分のために走る」とあえて周囲に背を向け、報道陣の取材にもほとんど応じずに集中し、6日の1万メートル(9位)で好調を確認し、マラソンの金メダルへと準備を、着実に重ねました。決勝ではスタート直後からレースを引っ張り、一度も振り向かず前だけを見て走りました。世界記録の時のようにペースメーカーはいません。誰にも頼らず、自分の力を信じてひたすら走り続けたそうです。最初の5キロは慎重な16分47秒。しかしそこから徐々にペースを上げてリズムに乗っていきました。まさに勝つためのレースでフィニッシュへと突き進んだということですね。

 これまでラドクリフは、世界ハーフマラソンや世界クロスカントリーの優勝は何度もありましたが、本格的な世界タイトルは今回が初めてです。速さだけでなく強さも証明した31歳は、この優勝を機に、さらなる高みへと駆けることでしょう。
 アテネでの雪辱を果たし、悲願の世界タイトルを手に入れたラドクリフ、その表情はアテネでは決して観られなかった、すがすがしい笑顔でしたね。



金メダルを手にするポーラ・ラドクリフ
(2005 ロイター/Alessandro Bianchi)



↑エンピツ投票ボタン
My追加


≪過去 未来≫ 初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加