Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「エンジン」はなかなか面白い
2005年05月17日(火)

 キムタクがレーサー役を演じて話題になっていた月9ドラマ「エンジン」ですが、昨日で第5話が終わりました。このドラマは欧州F3000のドライバーだったキムタク演じる神崎次郎が、チームを解雇されて失意の帰国をし、父の経営する児童養護施設に居候しながら、国内でのレーサー復帰を目指すというストーリーです。

 これまでにも何度か書いているように、基本的にはその父親が経営する児童養護施設の子供たちと、挫折している次郎との交流を描いたホームドラマ的な内容なのですが、やはりトヨタの全面バックアップを受けており、しかもフォーミュラニッポンの元ドライバーで現チーム監督の近藤真彦をアドバイザーとしてつけているだけあって、ちゃんと要所要所ではレースドラマしてるじゃん、と感心しています。
 しかもそのレースシーン、今はまだ本格的なレースシーンは登場していませんが、次郎がかつて在籍していた国内F3チームでの、エースドライバーとのマッチレースのシーンなどはよくできていて、トヨタが買い取って自社のサーキットにした、まだリニューアルして間もない新生富士スピードウェイを舞台に、なかなか迫力のあるバトルを見せてくれます。もちろんマシンはF3のマシンではありますが、実際にドライブしているのはスタントマンか本物のレーサーでしょうけど、そのポイントポイントでキムタクやエースドライバー役の視線を交え、さらにオーバーテイクシーンなどではマシンの乗っているキムタクをかなり引き気味で撮っており、あたかもキムタクが実際にマシンの乗って走っているかのように見えます。
 特にCGを使ったり迫力を出すために変な演出などもされておらず、淡々と走っているのをカメラワークやアングルで見せているので、それが返ってリアルに表現されていると思います。

 ドラマの制作費用や諸処の問題を考えると、実際の決勝レースのような十数台のマシンでのレースシーンというものはなかなかドラマでは再現できないでしょうし、ストーリー的にも無理があると思いますが、F3のマシンで、それも実力を試すための2台だけのマッチレースだったらストーリー的にも納得できますし、トヨタの協力があれば実現できますから、それらを効果的に使ってドラマを盛り上げているなと思います。

 レースシーンだけでなく、児童養護施設での子供たちとの交流シーンも、共感できる部分も多く、非常によくできていると思います。様々な家庭の事情で親と別れて共同生活をしている子供たちは皆、様々な不安や問題を抱えています。そんな中に「元レーサー」という型破りでマイペース、それでいて挫折して悩んでいる次郎が現れ、徐々に子供たちはこの次郎という子供のような大人に影響されていきます。
 子供たちが抱えている悩みと次郎が抱えている悩みがうまいことリンクしており、それでも何事も決してあきらめない次郎の前向きな姿勢が、子供たちだけでなく、彼らを見守る保育士たちにもシンクロしていきます。次郎の行動や発想は、子供たちや保育士にとって、まさに「目からウロコ」というわけです。

 ただ、このドラマ、ひとつだけ不満があります。それは、泉谷しげるの良さがほとんど出ていないと言うことです。泉谷しげるといえば今や様々なドラマに出演する、頑固者で言葉遣いが乱暴な演技が定評のあるベテラン俳優ですが、彼の今回の役所は、次郎がかつて在籍していた国内F3チームの監督というものです。僕が知る限りでは、泉谷しげるの役所ではかなり地位が高く頭も切れそうな役所ですが、車椅子に乗っていて、いつもチームの帽子とカッコイイ目のサングラスをかけており、言葉数も少なく、何を考えているのかわからないようなキャラクターです。そのため知らない人が見たら、一見泉谷しげるだと気付かない人もいるかもしれないほどです。
 僕は役者としての泉谷しげるはかなり尊敬しているのですが、このドラマではその彼の真骨頂が観られず、かなり違和感を感じています。もちろん現時点では意図的にそういったものを抑え、後半で彼の良さが活かされていくのかもしれませんが、泉谷しげるには、もう少しいつものように怒鳴り散らしてもらいたいものです。個人的な意見を言わせてもらうと、泉谷しげるにはこういった上品な役は似合わないような気がします。



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