Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 前川つかさ「大東京ビンボー生活マニュアル」
2005年05月10日(火)

 今日は仕事の帰りに古本屋に寄って、前川つかさの「大東京ビンボー生活マニュアル」という漫画を買ってきました。実はこの漫画、大学に入学した時に第1巻だけ父からもらったのですが、とても好きな漫画だったのでいつか全巻揃えたいなと思っていたんです。で、先日久しぶりに読んでやっぱり面白かったので、今日思い立って古本屋に探しに行きました。全5巻で完結しているのですが、2、4、5巻を手に入れることが出来ました。3巻はまた探します。

 この漫画は1986年から1989年に「週間モーニング」に連載されたほのぼの系の清貧物語です。東京の下宿屋「平和荘」に住む主人公「コースケ」と彼女や近所の人たちとの交流を描いた、ビンボーがテーマのマンガですが、悲壮感が全く無くて、むしろ幸せとか自由を感じます。今でいうフリーターの人生観のようなものを描いていると思えます。節約ネタも豊富で、いかにお金をかけずに生活をエンジョイするかを描いています。

 内容は、ひたすら主人公コースケの徒然なる日常が描かれています。コースケは地方から上京してきて、大学を出た後も定職に就かずに、東京の平和荘という安アパートで暮らしています。アパートの住人、大家さん、そしてカノジョ、近所に住むタバコ屋の老夫婦、百円屋の夢二さん、弁当屋のおばちゃん、トンカツ屋の店主、お寺の和尚、大道芸人のキサブローさん、屋台「神様ラーメン」のおやじといった登場人物たちに囲まれて、コースケはビンボーでも楽しく暮らしているのです。その生活は、絶対にありえないだろうけれど、リアリティのある生活用品、郷愁を誘う人間模様を描くことで、「どこかにあってほしい」と思わせるものばかりです。

 絵柄も、特に上手い絵というわけではありませんが、色々なものがコマの中にごちゃごちゃと描かれていて、それがまた味があっていい感じです。コースケも特にかっこいいわけではなく、どこにでもいそうな普通のほのぼのとしたお兄さんと言った感じです。じっとしているのが特技で、誠実で優しさに溢れており、本を読むのが好きで結構頭もよく、ジャズやブルースを愛し映画もよく観たりとなかなか趣味も良いです。なので誰からも愛されており、みんなが「コースケ」「コースケ」と彼を呼び止めます。

 さて、このコースケ君には、非常によくできたカノジョがいます。しかもかなり美人です。名前はひろ子さんというのですが、見た目はこちらもどこにでもいそうな割と質素な感じの娘なのですが、とにかく現実にはなかなかいないほど気立てが良いのです。しかも芸術系を目指しているようで、絵心もあり、かなり才能がありそうです。
 カノジョは特にビンボーではないのですが、コースケのアパートに差し入れを持ってちょくちょく遊びに来ては何をするでもなくのんびりとしたり、コースケの貧乏料理を美味しそうに食べたり、たまには街で待ち合わせをしてどこかへ遊びに行ったりと、コースケの生き方や考え方、コースケのすべてに共感しているといった感じがします。きっと東京という大都会に住んでいるので、コースケのほのぼのさが、そんな日常の喧噪を忘れさせてくれるのかもしれません。

 「大東京ビンボー生活マニュアル」のひろ子さんは、僕にとっては究極の理想の女性像といえるかもしれませんね。こんな女性がそばにいたら、確かに他には何もいらないと、心から思えるかもしれません。こんなによくできた女性は現実にはなかなかいそうにないですが……。



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