Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「ラブ・アクチュアリー」
2005年02月17日(木)

 先日、以前から気になっていた映画「ラブ・アクチュアリー」のビデオを借りてきて観ました。この映画はヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、コリン・ファース、ローラ・リニー、エマ・トンプソン、アラン・リックマン、キーラ・ナイトレイ、ローワン・アトキンソンなど、総勢19人の蒼々たる豪華キャストで贈る、アンサンブル形式のドラマ仕立てで構成されたラブストーリーです。

 この映画は「妻の死を乗り越えようとする男」「愛で言葉の壁を乗り越えようとする作家」「2年3ヶ月と30日片思いのOL」「夫の浮気の動揺を隠せない主婦」「女性部下に誘惑される上司」「憧れのまなざしに気付かない花嫁」「老いぼれロック歌手」「恋に落ちた英国首相」「初恋に悩む少年」などのそれぞれの恋愛模様が巧みに織り込まれ、またそれぞれの人物がどこかで交友を持っているという関係で、実によくまとまった映画でした。
 恋愛の形や悩み、それにシチュエーションは非常に様々で、この世は、実に愛に満ちあふれていると言うことが実感できる作品です。そして、それぞれのエピソードが少しずつ同時進行していくので、その全ての恋愛の行方をテンポ良く追っていくことができます。普通は恋愛ものの映画なら、ひとつの恋愛を2時間かけて描いていくものですが、この映画は同じ時間の中で様々な恋愛を描いているわけですから、恋愛ドラマというものは、突き詰めれば15分程度でも十分表現できるんだなというのがよくわかりましたね。

 製作は「フォー・ウェディング」「ノッティングヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」など、ハリウッド映画とはひと味違うウィットに富むスタイルで共感を呼ぶ愛の名作を贈り続けてきたイギリスのスタジオ、ワーキング・タイトル。その中心的な存在である脚本家のリチャード・カーティスが自ら初メガホンをとり、すべての人々の心を優しく包み込むような素晴らしい愛のドラマを完成させました。

 この映画では、冒頭で述べたとおり米英屈指の演技派スターたちが映画の感動を支えていますが、多くの俳優が他の出演作品のイメージとそれほど印象の違いを感じませんでしたが、愛妻家でありながら女性部下に誘惑されてしまう上司を演じるアラン・リックマンに関しては、日本で知られている作品でしか知らない僕にとっては、衝撃に近いほどの印象の違いを感じましたね。
 アラン・リックマンと言えば、最近ではヒットシリーズ「ハリー・ポッター」に登場する無口のセプルス・スネイブ先生役が有名ですが、僕的に最も印象深い彼の役は、あの「ダイ・ハード」の一作目、高層ビルを乗っ取る悪党のリーダー。ラストでビルの最上階から、ものすごい形相をしながらスローモーションで落ちていく、あの非常に冷酷非道な極悪人が、「ラブ・アクチュアリー」こんなに素敵な役を演じていて、しかもそれがとても似合っているのが非常に衝撃的でした。もちろん役者なんですからそりゃあ様々な役を演じているでしょうけど、あまりにも僕が今まで知っていたアラン・リックマンとのギャップが激しすぎて、いい意味で驚きでした。「ダイ・ハード」ではとても不敵で冷酷に見えた彼独特のニヤリとした笑い方が、「ラブ・アクチュアリー」では大胆な誘惑に困惑する苦笑に見えるから不思議です。というか、その笑い方で「ダイ・ハード」の悪役だったことを思い出したんですけどね。

 ちなみにその他の役者に関しては、コリン・ファースは「ブリジット・ジョーンズの日記」の印象にとても近く、今回も恋愛に対して非常に誠実な役で、僕的には一番好感が持てました。ローワン・アトキンソンは今回、恋を見守る宝石店員という役回りで出演していますが、その商品を丁寧に包装する様は、「Mr.ビーン」そのものでした。
 そしてヒュー・グラント、彼はこれまでにも様々なラブストーリーに出演していますが、今回は何と英国首相役!おそらく彼の今までのキャリアの中で最も高い地位の役だと思いますが、でもやっぱり、今回もヒュー・グラントでした。着任早々若い秘書に恋をしてしまうキュートな独身英国首相という設定で、ちょっと非現実的な感じも受けますが、こんな首相が実際にいたら、きっと素敵だろうなあと思います。

 皆さん、この世は愛で満ちあふれているんですよ。



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