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■ 勝手に「ゴルゴ13」(その6)
2004年12月15日(水)
最大の屈辱
「諸君もすでに知っての通り、先日2人のFBI捜査官が高層ビルの42階で狙撃された。」 「やはり狙撃犯は……」 「着弾地点と窓ガラスの弾痕から、狙撃犯は1km以上も離れたビルの屋上から銃を発射したことがわかった。こんな神業ができるのは世界中探してもゴルゴ13しかありえないだろう。」
「彼らはなぜ殺されなければならなかったのですか?」 「2人の捜査官は、ゴルゴ13の出生に関する情報を掴んでいたのだ。」 「何しろゴルゴ13は、生年月日、国籍、血液型など、全てが謎の包まれていますからね……。」 「そうだ、星座占いや血液型占いはおろか、動物占いもできない。」 「……動物占い……短いブームでしたね……」 「ああ、100円ショップで類似品も売られていたものだ。」
「しかし、なぜゴルゴ13は、そこまでかたくなに出生の秘密を知られたくないのでしょうか。今更ゴルゴの年齢や国籍、血液型を知られたところで、ゴルゴの仕事に何ら支障はないと思うのですが。」 「そうだな、例えゴルゴ13の身内が判明したとしても、これまでイデオロギーに関係なく仕事をこなしてきた、冷酷非情にしてプロ中のプロであるゴルゴのことだ、何のためらいもなく肉親に向けて引き金を引くだろう。」 「……では、なぜ……」
「ゴルゴ13の出生は、彼にとって最大の屈辱だからだろう。」
「……最大の……屈辱……ですか?」 「そうだ、今や世界中の国家が恐れ、そしてその政治的利用価値を認めて野放しにしている世界最高のスナイパー・ゴルゴ13が、実はあのほのぼの一家の人間であることが世に知られたら、それこそ彼のプライドはボロボロに崩れ去ることだろう。」 「……そうですね、その説が事実なら、世界中に衝撃が走りますね。」 「その情報を掴んだ2人の捜査官が狙撃されたことで、この説はいよいよ現実味を帯びてきたな。あの冷静沈着なゴルゴがこんな墓穴を掘るとは……彼も相当動揺しているに違いない。」 「……ええ、まさかゴルゴが磯野家の人間だったとは……」
ズキューン!
「ゴ……ゴルゴ!一体どこから!やはりお前は磯野波平の……」
ズキューン!
(完)
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