Mako Hakkinenn's Voice
by Mako Hakkinenn



 「逃亡者」を追跡
2004年10月03日(日)

 1993年に公開されたハリソン・フォード主演の「逃亡者」をTBSがリメイクした、ドラマ版「逃亡者」をビデオで中盤まで一気に観ました。

 ハリソン・フォードの「逃亡者」は、妻殺害容疑で死刑判決が下った外科医キンブル(ハリソン・フォード)が、無実を晴らすため逃亡するというストーリーで、そんな彼の前に法の執行官ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)が執拗な追跡を開始するというサスペンス・アクションです。
 一方、日本版の「逃亡者」は、主役の逃亡者・保護観察官の永井徹生役を江口洋介、それを追う刑事・峰島隆司役を阿部寛が演じています。
 日本版もオリジナルの映画同様、「妻殺し」という身に覚えのない罪を着せられた男が、無実の主張が全く受け入れられないと悟り、逃亡者となることを決意するというストーリーを踏襲しています。常に追跡者に怯え、絶望にさいなまれる日々。しかし、無実を証明するため、そして、家族への愛のため、男は逃げ続けなければならないわけです。

 オリジナルの映画が好きだった僕はそのストーリーをよく覚えていますが、映画では逃亡者キンブルが唯一信頼を置いていた親友が実は黒幕であったことが最後に判明します。で、ドラマでも第1話からその映画版の親友に相当する、永井の無二の親友が登場します。この無二の親友は弁護士で、以前永井に命を助けられた経緯があり、永井の無実を証明するために協力しようとします。しかしこの親友の弁護士は、殺害された永井の妻とも親しく、さらにこの弁護士を演じる役者の演技もとても偽善くさかったので、映画同様主人公が信頼していたこの弁護士が黒幕なんだなと思い、第1話から犯人が誰かわかっちゃったな〜などと思いつつ、その展開を見守っていきました。

 すると、何とこの弁護士が第2話でいともあっけなく殺害されてしまったではありませんか!しかもその殺害現場に居合わせてしまった永井は、妻殺しだけでなく弁護士殺害の罪まで着せられてしまうことに!
 いや〜これには騙されましたね。さすがにあれだけ話題になった映画のリメイク版ですから、オリジナルのストーリーを知っている人も多いでしょうから、さすがに少しはストーリーを変えてくるだろうとは思っていましたが、見事にやられましたね。今にして思うと、あの弁護士役のいかにも自分が怪しいと思わせるような演技は、その視聴者の予想を裏切るための演出だったのでしょうか。

 日本版では、逃亡する側のみならず、追跡する側にも様々な状況・ドラマがオリジナル以上に展開していきます。組織から外れているが抜群の能力をもつ警視庁刑事、致命的なミスの失点を回復すべく必死な所轄の刑事、この事件の解決を図り更なる出世を狙うキャリア警官などが、警察の縄張り争いや組織事態の問題、プライベートな問題なども抱えながら追跡捜査に臨みます。それは逃亡の成否にも微妙な影を投げかけることになります。
 加えて逃亡先で主人公が出会う人々との間に生まれる人間ドラマ、絶望の淵へと落ち込みかける主人公を奮い立たせる我が子への愛など、様々な要素を織り込んだエピソードが盛り込まれています。
 やはり2時間でまとめ上げる映画とは違い、ドラマは全11話かけて毎週観る者を引きつけ続けながら展開していかなくてはならないわけですから、映画よりもさらに奥が深い作品になっていると思います。

 それにしても、このドラマの警察は本当に理不尽だなあと思ってしまいますな。もちろん犯人の巧妙な罠によって、犯行に使われた全ての凶器に永井の指紋が付着していたりと、あまりにも状況証拠が完璧なまでに揃いすぎていますので、犯人扱いされても無理はないとは思いますが、そこまで証拠が揃いすぎていたら、逆に怪しいとは思わないんでしょうかねえ。何せ全ての犯行に使われた凶器がご丁寧に同じ形のナイフでしたからねえ。普通あえて同じナイフを使わないし、指紋を残さないために軍手ぐらいするでしょう。
 特に理不尽なのが、永井を執拗に追う、阿部寛演じる峰島刑事。彼は過去に妻子を少年によって殺害され、当時は少年法が改正される前で、被害者の遺族に犯人である少年の情報を一切知らされなかったことに憤慨しており、「犯罪者に人権などない」と言い切り、永井への発砲許可を取り、永井を射殺することも辞さない構え。実際橋の上で永井を追いつめると、おもむろに心臓めがけて銃を発射したりという暴挙に出たりします。
 いくら妻子を殺害された過去があるとはいえ、「犯罪者に人権などない」だなんて、アンタ警察失格やんけ……。警察に容疑者を裁く権利などないで。

 などと思っていたら!永井が妻や親友の弁護士を殺した犯人(実行犯)と思われる男を突き止めて追いつめた矢先に、どこからともなくライフルが撃たれ、犯人が死んでしまい、永井の無実の証明ができなくなってしまうことに!そしてそのライフル発射地点と思われる場所からは、峰島刑事の痕跡が!そしてライフルを抱えて立ち去る峰島刑事のカット。さらにその後の峰島刑事の回想シーンでは、峰島刑事の妻子を殺害した少年の傍らに、保護観察官の永井の姿が!峰島刑事が、阿部寛が真犯人なのか!?

 ……と、僕が今回観たのはここまでなのですが、ここまでで全11話中まだたったの5話なんですよねえ。今後の展開、まだまだ予想できない大どんでん返しがいくつも待っていそうです。いや〜!面白いわこのドラマ。


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