選挙にでるのは御輿の上に飾りになるようなものだ。 応援してくれる人たちはそれをうんしょと担ぎ上げる。 力技で、 口説で、 お金で、 担ぎ上げて票を集める。
北海道の雪深い街の町長が倒れ、 東京で安穏と会社生活をしていたショウタが次期候補として担ぎ上げられそうになる。 この町は母の一族が観光バス、旅館、スキー場を経営している上に成り立っている。 そして父親は町長。だから当然のことだった。 それでもいじめられっこだったような優しい青年である彼は迷うが、フリージャーナリストの男が耳打ちする。 「権力を手に入れられますよ」 と。 先輩の両親も先輩自身もショウタの親の会社にやとわれていることから その場でショウタは高校時代いじめられていた先輩をねじ伏せる。 「それが権力というものです」 の言葉にいい気になってショウタは一度は立候補することを決める。 しかし、温泉の入浴剤疑惑、共同利権、恐喝の疑いがかかり、さらに父の死が…。 彼は立候補するのだろうか。
という話。 個人的な正義と、個人的な幸せが切磋琢磨する選挙という世界を悶えながらみていた。 正義を通したいショウタと、会社の従業員600数人とその家族を含めて1400人の幸せをどう秤にかけて選択すればいいんだろう? どちらも分かるんだ。 だって自分の生活は大切だもんね。いきなり会社がなくなったら皆困るでしょ?子供の教育費とかローンとか困るよね?たぶん。 それも確かです。 それでも、あたしは正義を通したい青臭い気持ちは失いたくない、どうしたらいいの?とショウタと一緒に悶えてました。(笑)
実際は本当のテーマは真の正義を選ぶか、めのまえにいるひとたちの幸せを選ぶかではなくて、へなちょこショウタがどんな圧力にも負けない人間になったことが重要だったかと思います。 泣きながら、なきくずれながら、それでも頑として自分の意見をまげないショウタに、それでよかったのかを問いながら、胸が熱くなった。 こういうひとが選挙にでて勝ってほしいと思った。 そして政治をして欲しいと思う。 自分に優しい政治をしてくれる人はいいなと思うけど、自分の思う公平な正義をまっとうしてくれる人間は信用できるのだ。そのひとがいうことなら、納得いかなくても「仕方ない」って思ってしまうような理想にもえた人がね。(実はそういう人、ほんっと、面倒くさい部分もあるんだけど、笑) 悶え、自分だったら決断することができるだろうかと自問しつつ芝居はおわりました。 気のぬけない会話ばっかりだったので腕に力をいれて芝居をみてたので結構疲れました。(爆) そして、単純にみて、気持ちいい芝居かといわれればそうでないかもしれない。けど、みて、おもしろかった芝居と言えます。
立ち上がる勇気というか。 自信はなくても、人のためにはならなくても、立ち上がることをためらってはいけないと思いました。
あ、選挙はどうなったの?って。じゃ、ネタバレします。↓↓ドゾ。 じつはリョウタは立候補します。 この立候補にいたる理由がおもしろいけどこれはナイショ! でもね。選挙の結果はわかりません。わかんないまま終わるのです。 結果の電話をとったままのスローモーションで客席の祈りだけを一身に浴びながらねvv あたしはショウタは選挙に勝ったらいいなと切実に思ってます……。
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