だいたいあたしは泣きものに弱い。 さらに戦争ものと動物がでてくるとかなり駄目。 なので皆さんお察しの通り案の定泣かされてきました〜。
方南くみ「あたっくNO.1」
ええ。 それはそれはもう号泣でカーテンコールで手を叩くよりもわんわん泣く方を選んだつう位です。(照) あたし、後半ぼろ泣き状態で終わる。 芝居がおわったあと、目をさわったらマキアージュのマスカラがすっかりはげてました。くっ!キレイにぬったつもりだったのにこのざまーーー!!!!(ばか…)
まだ週末があるのでネタバレはしたくないので、大まかな感想のみですが。
あたしは口先の理想論でなく、人種問題とか差別問題とか領土問題とか宗教問題に絡んだ戦争というのは、本当はすんごーーーーくいやなんだけど、武力や力を行使しなければ解決しないという場合もあると思う。 ただの説得でなくせたらいいけど実際そうはならないですね、じっさい。
でも明らかにこの芝居の戦争は、現実感のない戦さです。 その当時でさえ、みるひとたちがみれば間違っていると分かっている戦争だったと思う。 あの1941年当時、小学校に入らない前の幼い子供であった亡き父は東京で開戦をむかえ、そのあと戦況の激化で東京にいられず祖母のふるさとの新潟にいったら、小学校で「絶対日本はアメリカに負ける」と言い張っていじめにあったそうだ。 そんな、子供でも分かる勝敗の判断だったんだよねー。 子供でも納得いかないと分かる位に国力が違う。 ましてや研修で世界を回り、当時のアメリカが日本とどう違っていたかをしっていたひとたちにとっては歴然とした差を知っていたと思う。 なんであの戦争をはじめたのか?な祖国!!! そこが納得いかないからこそ、そして結局日本はアメリカに負ける未来を知ってるからこその悔し涙もあたしにはありました。
芝居は潜水艦の日常ののどかな風景からはじまります。 一等兵横川さんの誕生日を祝おう!って、ケーキをつくって、歌を歌おう!って。 そして、狭い船内での昇進なあせり、同性愛的な話、仕事の話。 笑いのままに潜水艦の上を敵艦が通り過ぎるような緊張があり!? 主人公のようであり、狂言回しのようである現代人ちっくなテラ中尉が、 自分がライバル視していたフルセ中尉と一等兵ヨコが死を覚悟して『あたっくNO.1』することを決めているのを知る。 もちろんもめる。 ⇔みるからに犬死を納得できない。 もめる。 でもかれらはもう2年も前からこのために訓練していたのだ。 すぎてしまったヨコの誕生日にケーキと前輪だけの自転車!のプレゼントで集うと、 「ありがとう、ありがとう」 を満面の笑顔で繰り返すヨコ。 彼は自分が士官学校に入ったことによって初めてYシャツを着て靴を履いた。家族が薬を飲み、白いコメを食べた。遠くはなれた家族に感謝される末っ子の満足な人生だから。
「この幸せを返したい」
食卓にのぼるほのかに温かい蒸気をじぶんの手のひらにかざして幸福を思い、その恩を海軍に返すために特殊任務につく。
世界の情勢がわかっている。アメリカには負けるだろう。でも自分でとつげきするしかないことを知っているフルセ中尉。三男だからね。そして自分がやらなければ誰か他の人間がしなくてはいけないから。
職業への責任感と矜持、そして仲間への親愛が彼をそうさせる。
笑顔で手を振るふたりに、 「泳いででもにげろー!」 とわけのわかんない声をかける整備課のウツキ。 できるわけないけど、出来て欲しいなと舞台みて泣きながら笑った台詞のひとつです。
でも帰ってくるのは、人の心だけ。 アメリカの通信で、 「小さい潜水艦を開けたら誰もいなかった」 っていうのをみつけて、 「生きていたらいいな」 っていうラストだけど、決して言ってる本人もあたしたちも信じてない。 ましてや、次は言っている本人達が死に向かう戦争に挑むことになるだろうことも皆暗黙の了解だ、と思うのがまた悔しい。
なんで、もう、だめなのは分かっているのに戦争するの? 勝ち負けが必要な戦いでもなかったし、 勝って日本はどうするつもりだったの?
あたしは今ごはんも食べられるし、好きな本も読める。好きな服も着れる。好きな芝居もみれる。好きな友達とバカ話してお酒も飲める。ふらふらしているけど、仕事も探せばまだちゃんともらえる。 幸せだ。 このなまぬるいような幸福は、それでも、平和があってこそのものだ。 大事にしたいと思っている。 では大事にするためには何が必要なのか。 それを考えさせる芝居でした。
はー。実際みておもかった芝居だった。 でもみてよかったと思う。 かなしいことだけの芝居でなく、楽しいこともいっぱいあった潜水艦勤務なんだって、幻想でも思えたからね。
さて、ライフ役者。小野健太郎氏。 七三分けアンード、 黒縁瓶底めがねの軍医だってばよ!!! うーーーーわああああーーー、耽美劇団ってどこの話よ? そして、その耽美劇団で2回もポスターになっている顔だよ? てな感じで小野さんお得意(?)のキモさ満載の大尉だったりしました。 あたし、別のジャンルで好きな話が軍隊の話で、好きなキャラが軍医の佐官だったりするので、みている最中に佐官の彼とムラマツ大尉の落差が何度も頭をよぎり眩暈がしました。(これは違う涙) いや、ムラマツさんはムラマツさんでよかったんだけど! あんまり思いを込めたかんじでなく、さっぱりとしたマイペース理科系男チィックで面白いし、 「人の命を預かるのに〜」 のくだりはタメのない、さらりとした流し方で、くどくなくて、だからこそあたしには重く響いた。 文科系男子の熱さでない分、うちに秘めるインテリの無力感が漂うところが好きです。(告白中)
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