2007年06月17日(日) |
『run』 TULIP 2007.5.30 |
チューリップのラスト・オリジナル・アルバム。 今年のツアーで完全に解散するチューリップのラスト・アルバムは二枚組。 正直なところあんまり期待してなかった。 が、DISC-1を聴き始めてびっくり。 なんというかチューリップのセカンド・アルバムを聴いているような錯覚に陥った。 もちろん音はきれいになり、財津さんのボーカルも落ち着きが増し、姫野君と上田さんの声にはすこし曇りもある。 が、基本的な音とその姿勢はセカンド・アルバム「君のために生まれ変わろう」のあの音を彷彿させた。 上田さんと姫野君は最後のチューリップの舞台を伸び伸びと歌っていて、そこには今までの軌跡が見えるようだ。 「明日のクライシス」で財津さんは「未来はたちまち 今日になるから 目の前に来るから」だから「何かを始めよう」と まるでこのバンドの終わりは、次の始まりなんだと言いきかせるかのようだ。 「自分に素晴らしい」という曲には財津さんのこだわりが大いにある。 「自己満足でいい 自分を信じて 自分の価値は自分で決めるのさ」 と歌っている。 若いときの私ならばこれを聴いて、そうか、自分の好きなようにやっていけばいいんだと単純に思っただろう。 でも、この言葉、この曲は35年間ファンのために、ファンの喜ぶ歌を作り、それでもファンやマスコミから批判を受け、なおかつ曲作りとライブとファンを大事にし、気を使い葛藤しつづけた財津さんだからこそ書けた歌だと今は思う。 ただ回りのことを気にせずに自分勝手に生きてきた人の言葉ではない。 若さの残る言葉の中に深い円熟味が隠れている。 自分勝手に生きることと自由に生きることの違いがこの歌からは聴こえてきた。 DISC-1のラストの姫野君が歌う「Rainbow」はなんで杉真理作詞なんでしょう。 今までメンバー以外の作詞ってあったのかな。 しかもラストの曲だなんて意味不明。 財津さんの声はまだまだつやつやで若い。しかし深い。 でも、いくらなんでも財津さん「天使になるから」は聴いててこっちが恥ずかしいですよ。 本当にわっかいですねえ。でも、歌詞をよく読んでみるとただの若さではないこともわかるけど、やっぱりこれは私は恥ずかしいです。
DISC-2は財津さんのソロ・アルバム。 最後まで聴いてみて、なんでTULIPの初期のアルバムに聴こえるのかわかってきた。 アレンジです。アレンジ。 時に荒削りに、時にシンセで宇宙に連れて行くかようなあのチューリップの独特のアレンジ。 あと、まるで弾き語りかなと思えるようなシンプルなアレンジ。 アレンジがあの頃のチューリップなんだ。 DISC-2の方はそれは深い人生を歌い上げる財津さんの若く深い声が心に沁みてくる。 「すべては忘れた」「見えないものも信じられるさ 愛が信じられるなら」は過去との惜別こそが未来だと感じられる。 ラストの「たった一日で君との永遠が見えたんだ」は私にはちょっと不可解で同じような気持ちにはなれない。
でも
生きてゆくことが 何故か下手くそで 前向きになんてとても なれやしない
このフレーズには参ってしまった。 前向きになるなんて私には難しすぎる。 財津さんもそう思うのかなあって恋しい気持ちになったよ。
チューリップのラスト・ライブのチケットとりました。 楽しみです。
|