2004年09月18日(土) |
「12ページの詩集」 太田裕美 1976. |
歌謡曲かフォークかと言われていた頃の太田裕美さんのアルバムです。 フォークでも歌謡曲でもどっちでもいいです。好きなだけだから。
このアルバムは「君と歩いた青春」「最後の一葉」という名曲が収められています。 あと、作家陣が谷村新司、山田つぐと(かぐや姫)、イルカ、荒井由実、阿木耀子、宇崎竜童、田山雅充といわゆる当時ニューミュージックの旗手と言われた人達が曲を作っています。
それぞれが曲作りをした人の個性あふれる曲ばかりで、ほんとうに色んなタイプの曲が並んでいます。 よく、曲作りを頼まれるとその歌い手さんのイメージで作るといいますが、 このアルバムの曲は裕美さんのイメージをもちろん考えたのだろうとは思いますが、 作家の人の個性がより強く出ていると思います。
言葉使いが時に古典的で摩訶不思議な阿木さんは「あさき夢みし」で
”まどろみ まどろむ まどろみ まどろみの中 あなたの顔が想い出せない あさき夢みし 色の褪せてる絵のように
と不思議な歌詞を書いています。 これに曲をつけた宇崎さんは才能と愛を持ち合わせている人だなあと当時思いました。 阿木さんは曲作りのことは全く考えずに詞をかく人だそうで、百恵ちゃんの「絶体絶命」を書いたときも、「これには曲は作れないだろう。」と思ったそうですが、 宇崎さんは見事な曲を作られました。 最強の天才同士のカップルです。
「青い傘」は荒井由実さんの作詞作曲ですが、ユーミンが作った歌とは思えないほど 地味な歌です。
”私のさしてる青い傘は 歩道に浮かんだしみのようね あなたが気づいてくれたならば 何も言わずに帰ります
地味だけど、しーんと心に残りました。
「紅い花緒」は谷村新司さんらしい和風な歌です。
「ミモザの下で」はこれもまたイルカさんらしいかわいらしいかぼそい歌です。
”夏の終わりに知り合った 鳥の言葉がわかる人 山のバス停 走りながら 手をふってくれた あの日もらったアドレス 大切にしまいすぎて 私なくしてしまったの あなたは待っているでしょうか?
「鳥の言葉がわかる人」イルカさんらしいフレーズです。 会ってみたいです。そんな人に。 でも、私は絶対にアドレスを大切にしまいすぎてなくこすとはないなあ。 一目見た瞬間にほとんど憶えるだろうな。
一番最後の曲は裕美さん作詞、作曲の「恋の予感」でとてもシンプルないい曲です。
非常に充分読み応えのある「12ページの詩集」に仕上がっている名盤です。
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