私が中学一年生の時に南こうせつのかぐや姫の「神田川」が大ヒットしました。 私にはまだ「神田川」の歌には短調なメロディーの曲だなという感情しかありませんでした。 その後、抒情派フォークというこれまでのメッセージフォークとは違った 音楽が登場しました。
中学二年の時にN.S.P.というグループの「夕暮れ時はさびしそう」を聴いて 変った歌だけれど、ちょっと好きだなあと思い、N.S.P.は気になるグループになりました。 その後、「お休みの風景」で完全に好きになってしまいました。 この歌は今聴いていても、とても変った歌で最初は淋しいちょっと暗めの詞、曲で始まり、 サビの部分は完全にファルセットで歌われています。 それが妙に印象に残りました。 お休みの日に彼女と二人で出かけようと思って楽しみにしていたのに、 だめになってしまうという単純な歌なのですが、 サビのファルセットせいで、より一層中学生の私はセンチメンタリズムに浸ってました。
そして、お小遣いをためて、アルバム「2年目の扉」を買いました。 このアルバムは一曲一曲が生々しい生活観のある歌でありながら、 あくまでも抒情詩でもあります。 抒情詩でありながら、時に生々しいというミスマッチに惹かれていきました。 私はあまり生々しい詞は好きではないのですが、天野さんの書く抒情詩の部分にはどんどん惹かれていきました。 そして、その後もしばらくその路線を走りつづけ、「赤い糸の伝説」という曲においては 男性が女性をひたすら待つという設定になっており、 当時高校生だった私はこんなこれほどまでに優しい男の人はいないだろうなあと思ってました。 それまでは女性が都会へ出て行く恋人を待つという歌がほとんどだったと思うので、 ちょっと信じがたい感じがありました。
その後、リーダーの天野さんが書く詞、曲はどちらもめきめきと上達し、アマチュアらしさは次第になくなり、 いかにもプロのライターという作品が作られるようになりました。
8枚目のアルバム『明日によせて』に収録さえている「弥生つめたい風」や その次のアルバム『黄昏に背を向けて』に収録されている「北北東の風」「あの夜と同じように」 『風の旋律』の「SO LONG」「面影橋」のあたりがすごく好きです。 私はこの頃の曲が一番好きです。 この後、ふきのとうの細坪さんと「愛のナイフ」を作ったりして、試行錯誤していたのかもしれませんが、 たしかに段々とサウンド志向、あとビジュアル嗜好?になっていったようで だんだんとNSPの音楽から離れてしまいました。
しかし、NSPのアルバムはそれこそ擦り切れるほど聴きました。 手書きのわかりやすい文字の歌詞カードも大切な宝物でした。 この頃は本当に抒情派フォークが好きだったなあ。
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